10/03/22 12:38:15 deyveSb70
これが前世の記憶なのかは解らない。ただ、
遠い記憶を辿って行くと、いつも私は、一つの景色を思い出す。
ある屋敷の一室で、私は独りで誰かを待っている。部屋の中央は
ひな壇になっており、そこにはグランドピアノが置かれている。
暫くすると誰も居ないのに急にグランドピアノが鳴りだす。私は
驚いてその部屋から飛び出す。最近になって解ったのだが、曲は
ラフマニノフの"ピアノ協奏曲第2番"のような気がする。
部屋の外は薄暗く、灰色の長い通路になっていた。不思議な事に、
その両脇には小さな溝が掘られ、通路の先には、右の溝を囲む様に
灰色の人影が何かを話している。
私は躊躇いながらも、その人達に声を掛けるのだが、最初は誰も
私に気がつかない。内容は聞き取れないのだが、何か話に夢中に
なっているようだ。私がその人達に近づき、再度、声を掛けると
全員が一斉に私の方を振り返る。
イメージはそこで途切れ、私には未だに、灰色の人影が誰なのか
そこがどこだったのかも解らない。ただ幼い頃からこのイメージ
を夢で何度も見ていた。不思議な事に、私が成長するとともに、
夢を見る事は無くなったのだが、記憶として私に残っている。
そして、何故か、その事を思い出すと鳥肌が立っほど恐怖を感じてしまう。