10/02/03 23:42:26 7UW3t2BM0
知り合いの話。
彼は昔、犬を連れて猟をしていたという。
「気持ち悪い山があったよ。
山というか谷地なんだが、そこは絶対に犬を連れて行ってはいけない
と言われていたんだ。
近よっただけで、犬は尻尾を足の間に入れて怖気づいてしまうらしい。
うっかり足を踏み入れようものなら、いつの間にか連れていた筈の犬が
いなくなっている。
目を離した覚えもないのに、忽然と姿を消すらしい。
一旦尻尾を巻くと、もうその犬は駄目なんだそうだ。
何とか離さず家に連れ帰っても、その日の夜の内にいなくなってしまう
んだとさ」
「あそこには犬に執着する何かがいると言われていたよ。
だから僕は近よりもしなかった。
愛犬がいなくなると凹むだろうからね」
犬隠し。
その谷地はそう呼ばれていたそうだ。
何が犬を獲っていたのかは、今では誰もわからない。