10/01/13 21:01:29 QZN/BWZF0
山仲間の話。
朝飯にラーメンでも作ろうと、テントの中でお湯を沸かしていた時のこと。
いきなり冷気に襲われた。
骨の髄まで冷え切るような、冷たい空気に包まれる。
カチカチと自分の歯が鳴る音を、初めて聞いたという。
凍えて動けなくなっていると、始まった時と同様、冷気は突然に消え去った。
かじかむ指をほぐしていると段々と温みが戻ってくる。
ハッと気が付いて、火にかけたコッヘルを覗き込む。
つい先程まで湯気を立てていたお湯が、ほんの一瞬で冷たくなっていた。
面には薄氷が張っている。
あの冷気が包んだのは自分の体だけではなかったらしい。
「冬山に慣れている人が偶に遭難することがあるけど、アレってあんな冷気の
類に襲われたんじゃないか・・・そんなことを考えちゃったよ」
彼はそう言っていたが、閉め切ったテントの中に突然現れた冷気については、
今も説明が付けられないのだそうだ。