【霊感持ちの】シリーズ物総合スレ10【友人・知人】at OCCULT
【霊感持ちの】シリーズ物総合スレ10【友人・知人】 - 暇つぶし2ch2:本当にあった怖い名無し
09/09/13 10:54:51 KHWmfwid0
立てたんだけど、スレ番そのままにしちゃいました・・・すまんです
次スレ立てる人は12でお願いします

3:本当にあった怖い名無し
09/09/13 11:02:41 79YYglpb0
>>1

そのまとめ更新とまってね?

4:本当にあった怖い名無し
09/09/13 11:08:14 R5A/9lBqO
単発、コテなしも大歓迎です。

5:本当にあった怖い名無し
09/09/13 11:15:46 N5k0uEXM0
>>1おつ


   ______
   /   ./お 田 ,!
  /   ! 断 中,!
  / ,ハ,,ハ ! り  ,!
 /( ゚ω゚ )`ー‐,!
 `ヽ、   \_,!
    `ヽ、ノ\,!
      `ヽ,!


6:本当にあった怖い名無し
09/09/13 11:24:16 R5A/9lBqO
田中氏も山田氏も佐藤氏も、鈴木氏もみんな御一緒にどーぞー!

7:本当にあった怖い名無し
09/09/13 11:33:37 cnvchORM0
>1乙
シリーズじゃない単発はこちら

死ぬ程洒落にならない怖い話を集めてみない?228
スレリンク(occult板)
不可解な体験、謎な話~enigma~Part56
スレリンク(occult板)
ほんのりと怖い話スレ その60
スレリンク(occult板)
じわじわ来る怖い話27じわ目
スレリンク(occult板)
【神社】寺社にまつわるオカルト話12【寺】
スレリンク(occult板)
◇ 心霊ちょっといい話 ver.15 ◇
スレリンク(occult板)
身近にあった因果応報の話 その5
スレリンク(occult板)
後味の悪い話 その108
スレリンク(occult板)
誰も信じてくれないけど本当にあった話
スレリンク(occult板)
番外
身のまわりで変なことが起こったら実況するスレ172
スレリンク(occult板)
【降霊】検証実況スレ本館【交霊】part35
スレリンク(occult板)

8:本当にあった怖い名無し
09/09/13 11:49:35 R5A/9lBqO
先生!シリーズの定義が曖昧では?

9:本当にあった怖い名無し
09/09/13 11:51:34 79YYglpb0
前スレより

3 名前:本当にあった怖い名無し[sage] 投稿日:2009/06/17(水) 16:32:22 ID:6nnXLPvV0
テンプレのまとめサイトは更新が止まっているので・・・

こちらが現在更新中のまとめサイト
URLリンク(us.eek.jp)

10:本当にあった怖い名無し
09/09/13 16:18:00 KHWmfwid0
>>8
1・単発ものでないこと

以下よろしく

11:本当にあった怖い名無し
09/09/13 23:59:45 fr96jZls0
どんなシリーズ物も第一話は単発に見える。
出来れば同時おr短期間に第一話と二話を投稿してもらえるとラスカル。

12:本当にあった怖い名無し
09/09/14 06:44:13 EokeAF+7O
勝手な事言ってんじゃネーよ!

13:本当にあった怖い名無し
09/09/14 07:29:08 eJelz0kb0
   ______
   /   ./お N5k ,!
  /   ! 断 0uE,!
  / ,ハ,,ハ ! りXMO ,!
 /( ゚ω゚ )`ー‐,!
 `ヽ、   \_,!
    `ヽ、ノ\,!
      `ヽ,!

粘着キチガイおことわり

14:本当にあった怖い名無し
09/09/14 07:31:15 eJelz0kb0
>>お前だろ!ウニの作品にケチ付けるのも
シネヨ!!



15:本当にあった怖い名無し
09/09/14 07:32:10 eJelz0kb0
14は
>>5宛て

16:本当にあった怖い名無し
09/09/14 09:43:09 RVqj/JAC0
新スレ乙
実質11スレ目ね

17:本当にあった怖い名無し
09/09/14 10:02:42 uc+Jvdu50
どうにかしてスレを落としたい奴がいるようだな
粘着質できもい

18:本当にあった怖い名無し
09/09/14 10:08:18 EokeAF+7O
オレが落ちないようにカキコするからなー

19:本当にあった怖い名無し
09/09/14 15:47:15 6EoNnywnO
スレ落としたい奴がいるっってwwwwwwww
ちゃんと保守れよwwwwww


20:赤緑 ◆kJAS6iN932
09/09/15 09:11:10 0zFkBu7i0
[人形(中)]
1/9
舞「まず…佳澄さんに、教えておくことがあるわ」
佳澄「?」

舞「夏美さんのこと。夏美さんと、この病院との関係」
佳澄「…関係?」
私「私の事件の話ね…」
あの事件のこと―。

舞「夏美さん、辛いだろうけど…」
私「ううん、平気よ。もう平気。でも、どこでそれを?」
舞「あなたのお祖母さんに聞いたの」
あぁ…そうか、なるほど。

舞「佳澄さん、夏美さんはね…あなたに会う以前に、一度、記憶を消されているの」
佳澄「え…」

舞さんはそう言ってから、事件の話をする。
私には辛い記憶だけど、受け止めないといけない事だ。


21:赤緑 ◆kJAS6iN932
09/09/15 09:15:00 0zFkBu7i0
2/9
佳澄「―そんなことが…」
話を聞いて、佳澄が私を見る。その目には何か…今まで見たことの無かった感情が込められていた。
私は笑顔でそれに応える。
私「うん…。でも、もう平気よ」
佳澄「そう…」
何か思い悩むような顔をする佳澄。

佳澄「それじゃ、あれは―」
私「?」
佳澄「やっぱり、夏美だったのね…」
私「…何が?」
佳澄「…なんでもない」

舞「―夏美さんのお祖父さんのことで…」
話を続ける舞さん。
舞「この件は全て終わったと思えたわ。シズエさんもそう考えていた」
私「…」
舞「でも、佳澄さんの存在があったの」

佳澄「私の…?」


22:赤緑 ◆kJAS6iN932
09/09/15 09:19:45 0zFkBu7i0
3/9
光一「ぅ…ん…」
あ…。
舞「あら、気が付いた?」
光一「あ、あれ?俺…」
佳澄「…思ったより早いじゃない」

光一「あ!えぇっと…」
舞「話をしているところだから、そこで休んでいなさい」
光一「ん、あぁ…。何か頭がクラクラするから…そうする」

良かった。弟さんは無事みたいだ。私みたいになってしまったら、どうしようかと思った。

佳澄「私が、どうしたの?」
佳澄が話を促す。

舞「…佳澄さん、あなたが生まれたのよ」
佳澄「私が生まれた…」
舞「そう。この病院で…死んだまま、生まれたの」
佳澄「死んだまま…?」

私はハッとする。まさか、そんな―

舞「夏美さんが、あなたのお母さんよ」


23:赤緑 ◆kJAS6iN932
09/09/15 09:23:27 0zFkBu7i0
4/9
佳澄「…嘘よ。そんなの」
舞「そう思う?」
佳澄「ありえないわよ。そんな…」

舞「夏美さんの、あなたに対する気持ちは知っているはずよ」
…許してしまう。私は佳澄のことを、最後には許してしまう。
例えどんなことになっても、この子のすることを、許してしまう。

舞「あなたの方も、夏美さんには特別な感情があったのでは?彼女を完全に、物言わぬ人形にはできなかったでしょう?」
佳澄「それは、別に…ただの…」
佳澄は口ごもる。

舞「夏美さんの手術で死んでしまった魂…それは完全に消えること無く、この病院に居続けたわ」
私の…子供の…。

舞「それは、夏美さんから切り離された憎しみの記憶と、牧村家の霊能力…
それと、父親である男の、非人道的とも言える歪んだ精神。それらを引き継いだわ」
私「そんな…」
歪んだ、憎しみの心…。そんな悪いところだけ?私は自分の子に、何も良いところはあげられなかったの?

舞「それはすぐに、人としての形を持つようになったわ。夏美さんの記憶の形をとって、丁度その年の姿に」


24:赤緑 ◆kJAS6iN932
09/09/15 09:28:03 0zFkBu7i0
5/9
舞「佳澄さん。あなたのその名前は、どこから?」
佳澄「…」
私「佳澄」
佳澄「拾った、名札…」
舞「そう…」
私「そんな…」
私は佳澄を抱きしめる。
私「ごめんね…名前、付けてあげられなくて、ごめんね…」
佳澄「…いいのよ、そんなの…意味…ない―」
そう言って佳澄は深く項垂れる。

舞「…話は以上よ」
私「…」
私にとって…佳澄にとっても、あまりにショックな話だった。
これから、私たちはどうすれば…?

…と、突然、佳澄が立ち上がる。
佳澄「…話はよく分かったわ」

私「佳澄…」
佳澄「私がなぜ、こうなのか…。お陰さまで、よく理解できたわ」


25:赤緑 ◆kJAS6iN932
09/09/15 09:31:09 0zFkBu7i0
6/9
佳澄はジッと舞さんを見つめながら言う。
佳澄「でもね…だから、何だって言うの?私のしていることに、ちょっとした理由がついただけよ」
私「佳澄、そんな…もうダメよ」
私も立ち上がって言う。

佳澄「…うるさいわね」
私「こんなこと、もう…やめないと」
佳澄「こんなこと、ね…」
佳澄は私を睨みつけ、こう言った。

佳澄「誰のせいで、こうなったと思っているの?」
私「…」
佳澄「全部、あの男のせいにするつもり?」
私「それは…」
返す言葉が思いつかない。
私はあの事件では被害者だった。でも、佳澄にとっては―


26:赤緑 ◆kJAS6iN932
09/09/15 09:35:04 0zFkBu7i0
7/9
佳澄「いきなり母親面して…気に入らないわ」
光一「おい…そんな言い方ないだろ?」
佳澄「あら、居たの?光一君」
光一「う…」

私「私のこと、許せないのは分かるけど…」
佳澄「分かる?本当に分かるの?…冗談じゃないわ」
私「…私にできることがあれば、言って」
佳澄「…」
佳澄は私を見つめる。

…舞さんは、そんな様子を何も言わずにジッと見ている。
そして佳澄は一言、こう言った。

佳澄「私のところに、帰ってくればいいのよ」

私「…分かったわ。あなたの物になれば良いのね?もう一度―」
光一「物とか、もうそういうのは…」
私「いいのよ、光一さん。ありがとう」
光一「いや、でも、そんなの…」
舞「黙っていなさい、光一」
光一「…え?」
舞「夏美さんが、自分で決めることよ」


27:赤緑 ◆kJAS6iN932
09/09/15 09:40:51 0zFkBu7i0
8/9
光一「そんな…」
舞「私たちは、それを見届けるだけ」
光一「…」
私「…ありがとう、舞さん」
舞さんにお礼を言ってから、私は佳澄に問い掛ける。
私「どうすればいい?」

佳澄「同じようにすれば良いわ。ほら、そこに…」
すぐ傍の病室の、入口の床を指差す佳澄。
私「あ…」
そこには、一本の短剣が落ちていた。

私「これ、あのときの…?」
私はそこまで行き、それを拾い上げる。
間違いない。昔、私が持ってきた短剣だ。

佳澄「そうよ。誰かが持っていくことも無いからね」
私「これで、もう一度…?」
佳澄「何度も言わせないでくれる?」
私「…分かったわ」

私は短剣の切っ先を、自分の胸に当てる。
私「これで―」
佳澄「ちょっと…違うでしょ?」
ため息を付いて、佳澄が言う。
佳澄「何も分かってないのね…。自分で刺してどうするの?私を介しなさいよ」
私「あ、そっか…」
私は佳澄の前に行き、あの時と同じような格好になる。


28:赤緑 ◆kJAS6iN932
09/09/15 09:49:35 0zFkBu7i0
9/9
私「佳澄…」
佳澄「…何?何か言い残したい?今度はもう、余計なことは何も言わない人形にするんだから」
私「私の気持ちは、変わってないわ。あの時と同じよ」
佳澄「…あら、そう」
ヤレヤレといった態度の佳澄。
ごめんね、こんな風にしちゃって…。許してね、何もあげられなくて…。
私は心の中で謝り、佳澄を見つめたまま手に力を込め、彼女に短剣を突き刺す。

佳澄「…ッ」

前と同じように彼女の息が詰まる音がして、私は即座に短剣を引き抜く。

傷口から血が溢れ出てくる。
しかし彼女はそこを押さえることもせず、ただ私を見つめている。
佳澄「ふふ…やったわね…」
彼女は力なく笑う。その口元からも血が流れてきている。
私「これで…」
佳澄「そう、これで―」

佳澄「あなたは自由よ…」

そう言うと、佳澄はその場に崩れ落ちた。



29:本当にあった怖い名無し
09/09/15 10:03:09 7WOQMW6bO
やれやれ、お次は学芸会の台本かよ…

30:本当にあった怖い名無し
09/09/15 10:51:40 W34H82Ag0
乙~♪

31:本当にあった怖い名無し
09/09/15 11:39:17 7xcT3wikO
>>29
おまいの例えがちょっと上手いと思ってしまったw

32:本当にあった怖い名無し
09/09/15 13:08:43 EjQ+jlW1O
>>29の表現力が、既に赤緑氏を越えた件

33:本当にあった怖い名無し
09/09/15 18:26:46 Kp55HoFP0
>>29
辛辣だが秀逸。

34:本当にあった怖い名無し
09/09/15 18:50:22 Wd0RECZE0
>>29
中々に上手い事を言う

35:本当にあった怖い名無し
09/09/15 19:28:34 jHXCD1GK0
>>29

よっ!この例え上手!
学芸会赤緑はもういいって・・・・

36:本当にあった怖い名無し
09/09/15 21:09:31 O9cm8/VaO
赤緑氏乙
俺はなかなか好きなんで
次また暇なときよろ

37:本当にあった怖い名無し
09/09/16 00:07:16 B2GxwbgUO
あ。。。。自分>>31なんだが、赤緑氏には頑張って欲しいと思ってる
田中はNG指定だけどね

38:本当にあった怖い名無し
09/09/16 03:06:28 F8/p7wwCO
自分も、馴れ合わず定期的に淡々と投下する赤緑に好感がもてる。
色々と言う人間はいるだろうが、頑張ってほしい。

39:本当にあった怖い名無し
09/09/16 09:04:32 tcAFKLb/O
赤緑氏乙。次回作を楽しみにしていますよ
ウニさんだって散々罵詈雑言を浴びせられながらも
投稿し続けた結果、現在のポジションに至っていますからね


40:本当にあった怖い名無し
09/09/16 12:16:03 JwhGuRAWO
>>39
君、いじめられっ子を慰める担任の先生みたいだね

41:本当にあった怖い名無し
09/09/16 13:44:56 NaKIo4FDO
赤緑氏乙。俺も楽しみにしてる一人だよ。頑張って下さい。

42:本当にあった怖い名無し
09/09/16 13:49:50 O5KJ23f8O
余計なこたぁ言わなくていいんだよ、たこ助。
すぐにその気になるだろが、あのドドメ色。

43:本当にあった怖い名無し
09/09/16 14:14:22 MGHsmwkg0
俺も赤緑の作品を楽しみにしてるから批判ばっかりされて書く気を失われたら困るから
応援の書き込みをする気持ちはわかる

44:本当にあった怖い名無し
09/09/16 14:47:53 hfvUIgrZ0
粘着キチガイさんはID変え放題だからな・・・
そこんところ投稿する人は理解しといて欲しい

45:本当にあった怖い名無し
09/09/16 14:49:15 ZGwBflvg0
なんで文句いいつつこのスレ見てるんだろうね
それが生き甲斐なのかな

46:本当にあった怖い名無し
09/09/16 14:52:43 hfvUIgrZ0
このスレを潰すのが生きがいですから

47:本当にあった怖い名無し
09/09/16 16:16:16 b4BGSh7O0
色んな意見が出るのはいいんじゃねーの

否定的な奴もいないと悪役は成り立たんよ。

48:本当にあった怖い名無し
09/09/16 16:46:22 PaO8EYpK0
ここの否定的な奴らが『意見』言ってるように見えるか? 量産型の下っ端悪役どもにしか見えないんだけど。




49:本当にあった怖い名無し
09/09/16 18:51:49 O5KJ23f8O
ザクを舐めるなよ。
多数決ならシャアザクにも負けないぜ。

50:本当にあった怖い名無し
09/09/16 19:12:46 +vL92VhG0
>>48
褒めてる奴もまったく内容を褒めてないよな
ただ「乙」
ほんとこれだけ
ウニと同列にしてる馬鹿がいるけど、最近のウニへの賞賛レスと学芸会へのレス読み比べてみろよ

51:本当にあった怖い名無し
09/09/16 19:29:29 CZKiAWOOO
別に誰もウニと同等とは言ってないだろ
人の文章どーのこうの言う前にもうちょい読解力付けろw

52:本当にあった怖い名無し
09/09/16 21:50:51 /eHrzsPb0
俺の場合、ウニのは長ったらしくて読む気がしない
のでまとめスレでも見ないかぎり、一生見ることはないな。

53:本当にあった怖い名無し
09/09/16 21:59:26 PaO8EYpK0
「乙」一言だろうが、やっぱ内容の無い暴言よりはマシだよ。
道にツバ吐く奴多すぎ。

54:本当にあった怖い名無し
09/09/16 23:35:03 JwhGuRAWO
>>53
毎日通る道に酔っ払いの吐瀉物が撒き散らされていたら、気分が悪いだろ?
それと一緒だよ

否定意見とはいえ、「乙」「面白かった」等のマンセーレスよりも余程内容に触れてるし、何より的を得てるよ?

反論あるならどうぞ^^

55:本当にあった怖い名無し
09/09/16 23:59:34 PaO8EYpK0
>>54
いや、反論もなにも俺とアンタは同じこと言ってるみたいだが?

56:本当にあった怖い名無し
09/09/17 00:03:58 B2GxwbgUO
>>55
ですよねー
レスアン間違えたんじゃね!?

57:本当にあった怖い名無し
09/09/17 00:21:33 +p14ExXe0
>>56
ねーw

58:本当にあった怖い名無し
09/09/17 01:24:22 n1E7sQ5GO
ここまで誰一人反論できず…とw

59:本当にあった怖い名無し
09/09/17 01:27:26 hOn8ynJuO
>>54
的を射る、な

60:本当にあった怖い名無し
09/09/17 01:33:23 +p14ExXe0
静かだな…

61:本当にあった怖い名無し
09/09/17 01:42:17 e5U3kmiZ0
>>59
当を得る でも可。

62:本当にあった怖い名無し
09/09/17 12:20:24 7b4rkoUB0
>投稿者All
楽しく読ませて頂いてます。

63:本当にあった怖い名無し
09/09/17 13:01:17 rA4D+dOhO
ピクニックの感想文読みたいんじゃなくて怖くなりたいのよ、みんな。
楽しくなってどーする?
早う来て我らの肝寒からしめん、ハゲ。

64:本当にあった怖い名無し
09/09/17 13:02:22 L0qNweJDO
まとめサイトにあるA坊主の話で、富士五湖道を題材にした話があるんだけど、これ読んでビビった。
先輩が昨年の夏に深夜1人で通ったらしいんだが、高低差からか耳鳴りが酷くなって車を脇に止めたらしい。
外でタバコと飲みかけのコーヒーを飲んで一息つき、さあ出発するかと走り出し、暫く走って何の気なしに後部座席を見ると、その窓一面に手形がついていたらしい。霧の濃い夜だったと言ってた。
何の関係もないかもしれないけど、有名なスポットなのかな?


65:本当にあった怖い名無し
09/09/17 14:18:20 Lft22Rjk0
>>63
洒落コワに行けばいい。
ここにはお前が望む話は何一つない。

66:本当にあった怖い名無し
09/09/17 19:27:51 yzrQ+fQE0
>>55-56
おいおい>>54>>53と同じ事言ってないだろ。よく読め
>>53
 「乙」であれ暴言よりマシ

>>54
否定意見とは言え「乙」等のマンせー意見より内容に触れて的を得てる

>>53は学芸会肯定者、>>54>>は学芸会否定者。読解力付けろよ

67:本当にあった怖い名無し
09/09/17 20:35:58 TRZxaIC50
>>66
いや、同意見だよ。わかってもらえなくて残念だよ。

68:本当にあった怖い名無し
09/09/17 20:53:50 e5U3kmiZ0
ウニも赤緑も同Lvの練り足りなさ、クドさ、
台詞優先で表現が稚拙。そんな風に感じます。

69:本当にあった怖い名無し
09/09/17 21:52:06 9dE+BUPM0
だがそれがいい
嫌いな人もいるのも分かるが好きな人もいると分かってほしい

70:本当にあった怖い名無し
09/09/17 23:17:01 TRZxaIC50
そしてストーリーとキャラは凝ってていいなと思ってる。これに関しては誰の反論も聞かない。

71:本当にあった怖い名無し
09/09/18 09:15:11 Cv5gKaMA0
ウニはもっとぶっとんでイイと思う
いや、ぶっとぶべきだ
石像に「お前は暗示をかけられた人間だよ」とささやくぶっとびこそウニの魅力であり真骨頂
ウニ=ぶっとびと言っても過言ではない
オチ?伏線回収?
細けぇことはいいんだよ!

72:赤緑 ◆kJAS6iN932
09/09/18 10:47:18 zB7yUgZU0
[人形(後)]
1/9
私「…え?」
佳澄が倒れ、私はしばし呆然とする。
私「何で…!?」
私は短剣を放り投げ、彼女を抱き起こす。
佳澄「…っバカね…また、騙され・・って…」
私「騙すって…そんな、何でよ?」
佳澄「消える…なら、せめて…」
私「消える…?」

佳澄「…約束、したから…ね?」
佳澄は片手を上げ、私の頬に当てる。
佳澄「私の、大切な…」
私「佳澄…!」
私はその手を握る。

佳澄「ひと…」

カクリ、と佳澄の身体から力が抜ける。

そして…その身体は、一瞬にして消え去ってしまった。


73:赤緑 ◆kJAS6iN932
09/09/18 10:52:18 zB7yUgZU0
2/9
私「何で…?どうして、こんな…」
あまりに急な出来事に、頭が混乱する。
一体何が?なぜ、消えてしまうの…?

近くに舞さんが来る。
舞「夏美さん」
私「舞さん…佳澄、なんで…消えるって…?」
舞「存在理由が無くなったからよ」
私「どういうこと?」
舞「人を物として扱えなくなったから。それを人として認めてしまうと、自分の存在が…嘘になるからよ」
私「そんな…そんなのって…」

舞「立って、夏美さん」
私「うぅ…」
イヤ…もう、こんなの…
舞「約束よ…。あなたは、行かないといけない」
私「約束…」
舞「さぁ、立って…」

舞さんに言われ、私は立ち上がる。
私「どこに…?」
舞「ついてきて。光一も」
光一「あ、あぁ。うん」


74:赤緑 ◆kJAS6iN932
09/09/18 10:55:53 zB7yUgZU0
3/9
舞さんは病院の奥へと進んでいく。
それに力なく続く私。少しふらつくと、弟さんが手を貸してくれる。
果たして救いはあるのだろうか。こんな私に…何もできなかった私に、救いは…。

舞「ここね」
舞さんが立ち止まる。そこはこの廃墟に似つかわしくない、綺麗な扉の前だった。
私「ここは…?」
舞「佳澄さんの部屋よ。入りましょう」
そう言って舞さんは扉を開けて中に入る。私たちもそれに続く。

そこは真っ白な壁の、清潔感に溢れる部屋だった。
置いてある家具はとても少ない。
簡素な箪笥に、化粧台、柱時計…止まっている…それに、ベッド。
そのベッドの上には―
…!

あぁ…
そうだったのね…

約束、か。

ベッドの上では、1体の人形が、私が迎えに来るのを待っていた。

黒いボタンでできた目で、おめかしをした格好のまま…ずっと。


75:本当にあった怖い名無し
09/09/18 10:57:20 IC7mRsQRi
待ってたぜ

76:赤緑 ◆kJAS6iN932
09/09/18 10:59:58 zB7yUgZU0
4/9
―姉に続いて部屋に入ると、夏美さんはベッドに座っている人形に目を奪われたようだった。
少し古い感じはするが、綺麗な服を着た、小さな女の子の人形だ。
そうか。あれが、あの…。

夏美さんは、ゆっくりとその人形の元に向かう。
ここまでフラフラと歩いてきた彼女だったが、その足取りはしっかりしていた。

人形を手に取り、抱きしめる夏美さん。
その子に何かを言っている。

俺はちょっと視線を逸らす。なんだか涙が出そうになったからだ。
姉は…?と思い見てみると、彼女は優しい目で夏美さんたちを見つめていた。

そうしたまま、しばらく時間が過ぎていく。
夏美さんは人形に話しかけ、頭を撫で、手を取り、服を整え…たくさんの愛情を注ぐ。

やがて…

夏美さんが言う。
夏美「舞さん。…この子を、私の家に連れて行って欲しいの」
舞「分かったわ」
夏美「ありがとう。あそこなら1人じゃないし…きっと、会えるから」
舞「…そうね」


77:赤緑 ◆kJAS6iN932
09/09/18 11:05:48 zB7yUgZU0
5/9
夏美「…私、もういかないと。”お迎え”ってやつが来たみたい」
見ると、夏美さんの身体が段々とぼやけていく。

夏美「舞さん、本当に…ありがとう。光一さんも、力になってくれてありがとう」
舞「いいのよ」
俺「あぁ…」
俺は多分、何もしていない。また何も…

夏美「それじゃあ、ね」
笑顔になる夏美さん。
その身体は徐々に薄れていく。

舞「さようなら、夏美さん」
夏美「さようなら…」
薄れていくと共に、そこから光が溢れてくる。
夏美「あ…光…」
彼女は光に包まれ…
夏美「見える…私の、大切な―…」

そして、完全に消えていった。


78:赤緑 ◆kJAS6iN932
09/09/18 11:10:48 zB7yUgZU0
6/9

外に出ると、辺りはすっかり暗くなっていた。

病院から出る途中、姉は一本の短剣を拾った。
俺「あ、それ…」
白谷さんを刺した短剣だ。
舞「これも持っていくわ」
俺「うん…そうだね」

舞「ミセリコルデ、ね」
俺「…はい?」
舞「これの名前よ。慈悲の短剣」
俺「へぇ…慈悲、か」
慈悲の心…夏美さんにはあっただろう。では、白谷さんには?
…きっとあったのだろう。夏美さんから受け継いだ、その心が。
舞「出ましょう」

外に出た俺たちは、車に乗り込む。人形は、姉の膝の上だ。

俺「それが、白谷さんだったのかな」
舞「まぁ、そんなところね」
俺「ふーん…」
俺はまじまじと人形を見る。
俺「…人形も寝るのかな?」
舞「何で?」
俺「だってほら、夢を見るとか…って」
舞「さぁ…どうかしらね」
姉は、人形の頭を撫でながら言う。


79:赤緑 ◆kJAS6iN932
09/09/18 11:16:29 zB7yUgZU0
7/9
舞「小さい女の子が人形を可愛がるのって、母親の真似事なのよ」
俺「あぁ、聞いたことある」
舞「自分が母親に言われたことを、人形に言ったりするの。叱られたこととか、褒められたこととか」
俺「ふむ」
舞「だから…」

姉は人形を持ち上げて言う。
舞「人形は、自分自身でもあるのよ」
俺「…」
何か意味深だ。
母親としての感情だろうか?男の俺には、ちょっと分からないことかも知れない。
…ただ、人形が自分自身と言うのなら、それを捨ててしまうことはどういう意味を持つのだろう。
そのとき捨てるものは、人形という物だけ…?

…ん?そういえば―
俺「そういえば、姉貴って…」
舞「何?」
俺「人形って、持っていたっけ?何か、こういうのは無かったような」
舞「…これと言って持ってなかったわね」
俺「ふむふむ…」
舞「…どういう意味かしら?」
俺「いや別に…何となく」
人形遊びをする姉の姿は、何となく想像しづらい…何て言ったら怒るだろうな。


80:本当にあった怖い名無し
09/09/18 11:19:56 AMdyGumIO
ドラクエ乙

81:赤緑 ◆kJAS6iN932
09/09/18 11:20:57 zB7yUgZU0
8/9
舞「私にはね、必要なかったのよ」
どこか澄ました顔で言う姉。
俺「…なんでさ」
舞「だって、光一で遊んでいたから」
俺「…へ?」
舞「さ、早く行きましょ?」
俺「あ、あぁ…」

今、シスコン云々以前に、俺が姉に対して逆らえない本当の理由が分かったような気がした…が、取り敢えず車を出―

…あ!!
大事なことを思い出した。
なんてこった、俺は…。

俺「姉貴…あの…お姉さま…」
舞「今度は何?」
俺「ごめん…俺、姉貴にとんでもないことを…」
急に思い出した。俺は、操られて―

舞「あぁ、私、襲われたわね」
事も無げに言われる。


82:赤緑 ◆kJAS6iN932
09/09/18 11:25:34 zB7yUgZU0
9/9
俺「ごめん、ほんとに…」
舞「別にいいのよ。そうなるって分かっていたし」
俺「あら、そう…」
舞「それに…」

姉が俺を見て言う。
舞「あんなので、私が死ぬと思う?」
俺「え…?」

舞「…ほら、早く出してよ」
俺「あ、あぁ」

よく分からないけど、やはり俺は姉貴には敵わないようだ。

俺はアクセルを踏み込み、車を発進させた―。




83:本当にあった怖い名無し
09/09/18 11:39:55 IC7mRsQRi

次も頼む

84:本当にあった怖い名無し
09/09/18 11:41:47 He3x7RQG0
乙!

85:本当にあった怖い名無し
09/09/18 11:51:29 o4tUIVVqO
赤緑乙


86:本当にあった怖い名無し
09/09/18 14:16:18 BWbLR/lMO
そろそろ学芸会Zに名前変えようぜ。

87:本当にあった怖い名無し
09/09/18 15:13:34 AMdyGumIO
体育館で寝ると風邪ひくよな。

88:本当にあった怖い名無し
09/09/18 15:15:07 dmNvd/DqO
稚拙、の一言だね
こんなゴミをウニと比較するのはどうかと思う

89:本当にあった怖い名無し
09/09/18 15:51:54 j7oMuk/P0
稚拙なゴミと分かってるのに・・・!
でも悔しい、読まずにいられないっ!
ビクンビクン

90:本当にあった怖い名無し
09/09/18 19:02:14 iqi0xSnyO
今までに完結した話ってナナシシリーズと沙耶ちゃんシリーズ以外にある?
この話の作者さんの新作が読みたい。

91:本当にあった怖い名無し
09/09/18 19:06:38 pARZAjEOO
赤緑乙
古乃羽出ないのかよ…

92:本当にあった怖い名無し
09/09/18 19:36:44 gXuXTMUP0
>>67
いや、どう読み取っても同じ意見じゃないだろ
本気で同意見だといってるのか?ちゃんと説明してくれ

93:本当にあった怖い名無し
09/09/18 20:05:26 AMdyGumIO
ほらほら、目くそも鼻くそも仲間割れすんなよー、足下掬われるぞ。

94:本当にあった怖い名無し
09/09/18 21:04:45 Ni35gEte0
>>92
なんか呆れた……

95:本当にあった怖い名無し
09/09/18 22:00:23 dmNvd/DqO
>>92
文盲に何言っても無駄だよ
納得できない気持ちはわかるが諦めろ

96:本当にあった怖い名無し
09/09/18 22:06:59 ifzUc8O10
>>70
読んでないだけ。で、今読んできた。読んでみての感想。

・表現
内容は会話が多く、演技指導がないだけの台本状態。
描写が薄いのが最大の欠点。その所為で存在感が無い。
故に、よく言えば幻想的だが、登場するあらゆるものに存在が希薄なため
真っ白な空間に人形が置いてあるだけのような印象をうける。
他にも足りない感じを強くうけるが、描写不足によるものだと思いたい。

・内容
霊能の登場するファンタジー小説だが、
ファンタジーであることよりも、暗い要素に重きをおいてある。
だが、それでいて現実的な描写が殆どなく、違和感を覚える。
キャラ名にも非現実さが濃く現れすぎていて、過分に作り物っぽい。
霊というより 麗感目指していたりするのだろうか。
作り物にもリアリティは必要であり、特にリアルな人間の暗い部分に焦点をあてるなら、
その描写にも現実味がないと薄っぺらく感じられてしまう。


ウニのは く ど い 。言葉遣いを洗練して、スッキリと書いてほしいか。


其々に好きって人もいるんだからそれぞれの良さがあるんだろう。
だが、読み手は『批判しないこと』=『その作品を賞賛すること』という失礼な勘違いをしてはいけないし、
書き手は読み手の意見を受け止めつつ、作品に生かす努力をしなくてはいけないと思う。
だが、いわれるままを反映して直ぐに書き方変えてしまう・止めてしまうという、
形にならないよう。今作はこのまま書ききれるよう自分を貫いて頑張ってもらいたい。

…自分偉そうすぎキメェ、けど投稿する。

97:本当にあった怖い名無し
09/09/18 23:04:46 Ni35gEte0
>>96
いや、言いたいことはわかるし、ウニ本人にもこういった感想は必要だと思う。
内容の無い薄っぺらな罵倒には負けないでほしいな、ウニなら大丈夫と信じてる。

98:本当にあった怖い名無し
09/09/18 23:31:29 ifzUc8O10
>>97
前半が赤緑さんのレビュー
ウニさんのは真ん中の1行だけ・・。
クドさがなければ、かなり良い線いくとおもったのでそれだけ。
確かに難しいんです、限られた文字数に表現を圧縮するのは。

はいもう、半年Romります。
作者さんがたの健闘を見守りつつ草葉の陰から応援することにします。

99:本当にあった怖い名無し
09/09/19 00:03:26 uwfFCVv80
>>98
草葉の陰から応援しちゃうの?
オカルティックだ…。

100:本当にあった怖い名無し
09/09/19 00:05:37 tsi1P0MS0
100get

101:本当にあった怖い名無し
09/09/19 00:54:58 cSTvm05dO
>>98
赤緑氏のレビュー、的確だと思った
かなりグロテスクな場面が多いはずなのに、緊張感や切迫した雰囲気が伝わってこないのはそういう理由なんだな
感情移入できないっていうのは、この手のファンタジー物としては致命的だよね

102:本当にあった怖い名無し
09/09/19 03:18:33 PaCiulDzO
俺はただ、霊感持ちの友人・知人の
リアルなオカルト話しを観覧したいだけだ。

103:本当にあった怖い名無し
09/09/19 03:45:21 iTHJmkuW0
そうそう。
ここのタイトル通りのお話が読みたいだけだよね~

104:本当にあった怖い名無し
09/09/19 05:19:25 cJcOThf9O
シリーズ物総合スレ10、だが?

105:本当にあった怖い名無し
09/09/19 13:14:36 vFdqWwrv0
>>94-95
だからさ、同じ意見だと言うならきちんと説明しろって
俺は普通に違う意見だと読み取った。理由はきちんと書いてある
反論もせず文盲だと罵るばかりか?

106:本当にあった怖い名無し
09/09/19 14:51:11 f+cIUSoqO
メンヘル男ほど面倒くさいものはないな。
いつまでも鬱陶しい。

107:本当にあった怖い名無し
09/09/19 15:42:07 afNPMZRW0
赤緑相変わらずつまんね。
もう書かなくていいよw

はい次

108:>>95
09/09/19 18:09:55 cSTvm05dO
>>105
だからオマエは間違ってないってのw
一応、オレはオマエを庇ったつもりなんだけどね
性格悪い自演厨にからかわれてただけだから、あんまり気にすんな

109:本当にあった怖い名無し
09/09/19 20:34:46 GNK/B2TG0
>>108
性格悪いけど自演じゃねーよw

>>105
あのさ、こっちこそ本気で言ってんのか聞きてーんだよ。
あんたってなんかさ、>>95へのレスといい自分側の人間を敵だと思い込むクセあるんじゃないか?
ていうか人の話聞いてないだろ。

説明まだかって、>>53>>54を本当に読み返してるなら説明なくてもわかるはずだ。

俺が言いたいのも「否定派でも的確な指摘をする意見は役立って良い」ってこと。
(これはまず同意見だよな?)
なのにここには内容のない罵倒が蔓延してる。「死ねだ」の「消えろ」だのね。
だから「道にツバはく奴多すぎ」って言ったの。
これに対しては>>54
「毎日通る道に酔っ払いの吐瀉物が撒き散らされていたら、気分が悪いだろ? 」
これも一緒のこと言いたいんだろ?例え方が違うだけで。

俺はそれを踏まえ、皮肉も含めて「これだったら『乙』一言の方が気分を害さない分マシだな」
っつったの。「内容の無い暴言よりは」ってところちゃんと読んでほしかったな。
ちなみになんで俺が>>66では学芸会肯定者になってんだ、誰もそんなこと言ってないだろ勝手に決めんな。


もうこれ以上ひっぱるなよな、いい加減俺もお前もしつこすぎるし。迷惑かけすぎ。
ってか説明させんな! ギャグ説明するみたいで恥ずかしいんだぞ!  てか熱くなったのバレたじゃん、どうしてくれる!

110:本当にあった怖い名無し
09/09/19 21:15:00 SQCA1JVhO
あー、ほんのりからこっちに流れた兄貴の人と母親の人こないかなー

111:本当にあった怖い名無し
09/09/19 22:26:01 i0NKMR6i0
>>109
[草葉]>>98) <まだ空いてますよ

112:本当にあった怖い名無し
09/09/19 23:30:57 cSTvm05dO
わかってないのは>>109
ちゃんと前後の文脈読もうよ
この場合、道端の吐瀉物ってのは作品に対する罵詈雑言のことではなく赤緑の投下そのもののことだろ
まともな理解力を有するのは>>105だけってのも…なんか情けない話だね

113:本当にあった怖い名無し
09/09/19 23:59:27 a+RfW7wq0
>>109
分かる人にはわかってますよ

114:本当にあった怖い名無し
09/09/20 00:23:43 qFFjIA9I0
>>112


115:本当にあった怖い名無し
09/09/20 00:26:12 qFFjIA9I0
>>109
>>112
……はい解散!

116:本当にあった怖い名無し
09/09/20 03:24:31 2rEEZQ/jO
要は、投下レスの内容に対して
返答レスが、各々の良悪しに限らず
どれだけ触れてるか触れていないかの違いだってさ‥。
それは、個々の感じ方だから一概にソレだ!
とは言えない。とか 言ってみるw

117:本当にあった怖い名無し
09/09/20 04:00:22 whHIpGsyO
>>112
そうだとしたら、そもそも>>53へのレスとしておかしくねーか?

118:本当にあった怖い名無し
09/09/20 04:30:13 cVeuyfSRO
>>117
まだやってるの?
つか、どうしたら納得…つか消えてくれるの?

119:本当にあった怖い名無し
09/09/20 07:28:47 FQTB6IFyO
皆がスルーすりゃレスのしようが無くなるんじゃねーの?

120:本当にあった怖い名無し
09/09/20 09:22:01 nWWD63wmO
もはやネタなのかもしれんが、敢えてのマジレス
>>117
何もおかしくない
仮にも読み物スレに君みたいなのがいる事が不思議だな、とは思う

121:53
09/09/20 13:08:46 pfllXUXH0
>>116-120
なんかいろいろ迷惑かけたし、すまなかった。もうちょっと大人になるように努力するよ。

122:本当にあった怖い名無し
09/09/20 13:10:38 pfllXUXH0
>>112
おk納得した。納得したからもう終わろうぜ。


123:本当にあった怖い名無し
09/09/20 13:12:49 paycKrG40
ちっ!
もっと書き込んでいいんだぞ。
まだ言い足りないことたくさんあるだろ、この機会に全部吐き出しちまえよ。
オマエはりっぱな荒らしになる素質持ってんだから勿体無いぞ。


124:本当にあった怖い名無し
09/09/20 15:26:35 MusDJ9kG0
このように、赤緑が降臨すると荒れまくります
もう来ないでください><

125:本当にあった怖い名無し
09/09/20 16:19:12 /ae7wGeW0
赤緑不要論者が消えればすむこと

126:本当にあった怖い名無し
09/09/20 16:26:02 MusDJ9kG0
逆だろ
学芸会君が消えれば済むことだろ
学芸会君の作品の質の低さが荒れる原因なんだから、今いるアンチが消えても新しいアンチが生まれるだけ
その新しいアンチが来る度同じ台詞を吐き続けるのか?w

127:本当にあった怖い名無し
09/09/20 16:57:36 /ae7wGeW0
必要とされて無いやつが消えればいいだけ。
粘着すれば日本人は言うこと聞くと思うな、ボケ。

128:本当にあった怖い名無し
09/09/20 17:52:40 wdBe0BmTO
>>124
> このように、赤緑が降臨すると荒れまくります
> もう来ないでください><

キモ

129:本当にあった怖い名無し
09/09/20 17:56:15 wdBe0BmTO
>>126
> 逆だろ
> 学芸会君が消えれば済むことだろ
> 学芸会君の作品の質の低さが荒れる原因なんだから、今いるアンチが消えても新しいアンチが生まれるだけ
> その新しいアンチが来る度同じ台詞を吐き続けるのか?w

キモすぎ

130:本当にあった怖い名無し
09/09/20 18:39:31 YbSkyKCd0
教授ん時と同じ流れですね
歴史は繰り返す…か

131:本当にあった怖い名無し
09/09/20 18:58:13 wdBe0BmTO
>>130
教授だけに歴史かw

132:本当にあった怖い名無し
09/09/20 19:03:58 YbSkyKCd0
でも作者がいなくなるって歴史は繰り返して欲しくないんだぜ
人は歴史から学ばなければならない

133:本当にあった怖い名無し
09/09/20 20:01:31 PQiOJz11O
赤緑氏は大丈夫ですよ
耐性が無ければとっくに消えてると思います


134:本当にあった怖い名無し
09/09/21 00:14:43 rCnof9wUP
教授は2chから追い出されたけど、ちゃんと話は終わらせたからいいんじゃないか?
赤緑氏にはここで完結を迎えてもらいたいとは思うけど。。。

135:本当にあった怖い名無し
09/09/21 00:53:59 WzMdpajLO
赤緑乙です。
今までご苦労様でした。


136:本当にあった怖い名無し
09/09/21 09:51:24 +weSQmR60
舞編はおしまいなのかね?

137:本当にあった怖い名無し
09/09/21 10:40:22 tZDaZyWM0
あたりまえでしょ、終わりですよ。
何で、死ねとかバカとかもう来んな~とか言われてまで
このクソスレに書かなくてはいけないのですか、しかもタダで!
じゃね~。


138:本当にあった怖い名無し
09/09/21 12:46:41 YfRctmZT0
死ねとかバカとかもう来んな~とか言ってんの一人だけどな

139:本当にあった怖い名無し
09/09/21 12:56:36 tZDaZyWM0
ハゲとも言われた。


140:本当にあった怖い名無し
09/09/21 13:43:28 I4grK8rr0
赤緑氏乙
一つの物語が完結を見た

今回の話が大詰めかなと思ったけど
まだ最大の謎が残されてるよね
次回も楽しみにしています

141:本当にあった怖い名無し
09/09/21 13:47:21 y/Ugh3Te0
Me too.

142:本当にあった怖い名無し
09/09/21 15:49:34 BDH4Oc5e0
あのさ、田中の人の体験読みたい奴って居る?
俺は結構読みたい派なんだけどさ。
読みたい人ってどれくらい居るのか、挙手して

まぁ俺は田中の人のブログ見つけたからそこで読めるんだが。

田中の人に対してキチガイ粘着荒らし居るから、読みたい人挙手で
挙手多かったら単独スレたてるわ。

143:本当にあった怖い名無し
09/09/21 16:17:55 tZDaZyWM0
ブログあんならそれでいいだろ。
これ以上混乱するような事すんなよ、みんな頭ヨワイんだから、ハゲ!

144:本当にあった怖い名無し
09/09/21 16:53:24 N+A3HrkCO
はい!携帯なのでみたいです。

145:本当にあった怖い名無し
09/09/21 17:24:08 552sZsey0
赤緑つまね~
相変わらず成長しない糞文だなw
文才ないからさっさと首吊ったら?
ここの信者どももついでにあの世に連れてけよwww
ばいなら~wwwwwwwwwwwwwwwwww

146:本当にあった怖い名無し
09/09/21 17:44:51 csl+SOT60
>>142
ノシ
でも一人だけ専用のスレってオカ板のローカルルールに抵触したはず
それにそんな事したら赤緑専用、ウニ専用、忍専用スレ立てろって事になってメチャクチャになるからやめたほうがいいよ
田中の中の人のブログについて詳しく・・・と言いたい所だけど、粘着が荒らしにいっても困るしあえて聞かんでおく

147:本当にあった怖い名無し
09/09/21 18:02:41 WzMdpajLO
ってかこんな所で自分のブログの宣伝すんなよー。

148:本当にあった怖い名無し
09/09/21 18:37:28 I4grK8rr0
>>142
本人の許可は得てるのか?
誰がどのスレ立ててどう体験談語ろうが自由だと個人的に思うが
場合によっては無断転載スレってことになりかねないぞ

あと、前回の田中さんの行動見る限り2chにスレ立てるのはお勧めできない
アンチや文法気になる名無しが、何か書き込むたび脊髄反射しそうだから
スルースキルの無い書き手がどんな騒動起こすか
昔、某スレッドで目の当たりにしたことがあるし

149:本当にあった怖い名無し
09/09/21 18:54:29 tZDaZyWM0
田中なんてどこにでもいるせいか全く印象ない。
何した人だよ?


150:本当にあった怖い名無し
09/09/21 19:54:41 yTBlTco6O
上京して大学に入ってすぐのことだった。下宿先のアパートの近くを散歩していた折、裏通りにある一件の古本屋を見つけた。
昔懐かしな風情のその店は外見からして客に媚びるという考えがないようで、入口と思しき扉の上に
『灯鳴堂書店』
と、立派な書体だがギリギリ読み取れる程度の木看板が付いている。
ガラス越しに覗ける店の中は割合あっさりとしていて、そこかしこに古本が積み上げられている、というのを期待してた僕はちょっと裏切られた気分だ。

中学生くらいまでは結構な本の虫だった僕だが、ここ最近は改めて本を読む機会がなかった。
当時読んでいたお気に入りの作家の続編でも転がってないものかと、冷やかし半分で店に入ってみる。

カランカラン

扉に付けられていた鐘がなる。コンビニなどで聞く電子ベルに慣れていた身には妙に懐かしく、新鮮に聞こえた。

「いらっしゃーい」

店の奥にあるレジから聞こえてきた声は、まったく僕の意表をつく若い女性の声だった。
雰囲気的には、還暦をとうに過ぎた寡黙な主人がジロリとこちらを見やる、そんな店なのだけど・・・。
その場違いな声にひかれて店の奥に目をやると、見た目僕とそれほど変わらないように見える女性がこちらを見て微笑んでいた。
腰まで届きそうな綺麗な黒髪を一つに縛り、なにか憂いを含んだような目をした女性だった。
非常に綺麗な人ではあるのだが、幽気とでもいえばいいのか、常人離れした雰囲気がある。

彼女がこの灯鳴堂の主人、黒沢京子。
僕がこの世とあの世で起きる事件に巻き込まれるきっかけになった張本人でもある。

ツヅク

151:本当にあった怖い名無し
09/09/21 19:57:16 kAbKBNQM0
wktk

152:本当にあった怖い名無し
09/09/21 20:05:36 tZDaZyWM0
トリつけな~

153:本当にあった怖い名無し
09/09/21 20:40:39 sLgSU8N7O
田中とかwwwww本人乙としかwwwww
専用スレwwwwwww
はやくwwwはやくたててwwwwwww

>>150
期待


154:喪中 ◆TksQdIG5Po
09/09/21 23:10:50 fDb+9UeZ0
その事件が起きたのは5年前の事だった。当時小学生の私にはその頃そんな事件があった事など知りもしなかった。
私はこの春スポーツで有名な、とある私立高校へ入学した。

特別得意なスポーツがある訳でもないが、地元でこの学校に入る事は一種のステータスとなっていた事と、某デザイナーがデザインしたという非常に可愛らしい制服を着てみたいという理由で入学を決意した。
学校にはスポーツの特待で授業や試験が一部免除される通称特待科と、国立大などを目指す進学科、その他大勢の私のような生徒が通う普通科があり、生徒総数も方田舎にしてはかなりの人数になる。
それぞれのクラスではほとんど交流がなく、クラス変えもドロップアウトや著しい活躍や成績の向上を除けば無い為に同学年でも知らない顔がかなり居る。
もともと人見知りをするタイプの私はクラスの友達だけで十分過ぎる程だった。
学内には一通りの設備が整っている。プールや体育館、学食や購買などの基本的な設備の他にも、この話の舞台になるクラブハウスがあり、自主トレ用設備や座学用の教室、県外遠征の生徒が宿泊できる設備まで整っている。
生徒なら誰でも利用出来るというふれ込みだったが、ほぼ体育会系の生徒が占有していた。

とまあ普通ほとんど寄り付く事はないのだが、一般の生徒が利用するとしたら、期末のテストで赤点を取った生徒、もしくは何らかの理由でテストを受けられなかった生徒はその後の休みの期間に補習や追試を受けるために数日間ここに寝泊りしなければならなず、
その為に宿泊施設を利用するという時くらいだ。
言ってみればここに寝泊りする事自体不名誉な事であり、出来る事なら避けるべき事態なのだけど。そして非常に遺憾ながら私は高校生活最初の夏休みをニ日半をここで過ごすハメになったのだ。
とは言っても赤点を取った訳ではなく、風邪を引いてしまいいくつかのテストを欠席してしまったと念の為、書き加える。

今回この地獄の学習会には1年生全体で22名が参加する事になり、私のクラスからは私の他にもう1名居た。
鹿島智子。私がクラスの中で気軽に話が出来る数少ない友達の一人だ。少し茶色く染めたツインテールで、まだ幼い愛らしい顔つきをした人懐っこい女の子。
あいにく私とは違った理由で参加しているので、その可愛らしい顔が憂鬱に染まっていた。


155:喪中 ◆TksQdIG5Po
09/09/21 23:12:34 fDb+9UeZ0
8月5日。
夏休みで乗客も疎らな電車に乗り、学校へ向かう。駅前の商店街で智子と一緒になり共に登校する。溜息が多い智子を励ましながら長い坂道を登っていく。
途中、野球部の一団が外回りのランニングをしている所とすれ違う。その中にはクラスメイトの男子で智子の意中の彼という人の姿を見つけた。
同じ中学出身で、地区大会ベスト4のエースだったらしいが、この学校ではその実力も補欠にも入れない3軍からのスタートであり、特待科には入れなかったという。かなり厳しい世界なんだと思う。
その彼の姿を見た智子は先ほどの憂鬱がどこに吹き飛んだのか、機嫌はすこぶる良くなった。現金な子だ。

グラウンドの反対、少し奥ばった所に今日泊まるクラブハウスが見える。
この4階建てのクラブハウスの周りには背の低い植栽が植っていて、ある一点だけ途切れたように植栽が無く、いつも綺麗な花が手入れをされている。
最初に来た時は園芸部か何かが間借りして植えているのかと思ったが、生憎この学校にはそんな部活は無かったので誰が世話をしているのかいつも不思議に思っていた。
クラブハウスを通り越しその先にある校舎に向かう途中で、私は何かに呼ばれたような、いや誰かの視線を感じたような感覚をおぼえ振り返る。休みの為人の通りも少なく、背後には誰も居なかった。
不思議に思いつつも気のせいという事にして前を向こうとした時、クラブハウスの屋上に違和感を感じた。

そこには、黒く長い髪を風でなびかせた色の白い女子生徒がこちらのほうを見下ろしている。
距離はかなりあったが雰囲気で綺麗な子だと感じた。特に知り合いでは無さそうだったので、私は前を向き直し校舎に向かう。
気になったので校舎に入る際にもう一度後ろを振り返ったがその子の姿はすでになかった。
早く行こうと智子に急かされ教室に向う事にした。

156:屋上の幽霊 喪中 ◆TksQdIG5Po
09/09/21 23:14:15 fDb+9UeZ0
赤点を取ってしまった人の為の補習が主な内容のイベントの為、私のように事情があり参加する生徒は基本的に補習を免除、つまり居ても居なくてもいいのだが、その後行われる追試の試験範囲をしっかりカバーする内容なのでほぼ全員が授業を受ける。
私もテストを受けられなかっただけとはいえ、正直ギリギリの学力で入学しているから授業についていくのが精一杯だ。厄介なイベントではあったがあやふやな点を復習できるので私としてもそれほど苦痛ではない。
午前中集中して授業を受けている内に、昼休みを告げるチャイムが鳴り、智子と私は学食へ向かう。
学食内はお昼時という事もあり、ジャージや様々なユニフォームを着た運動部で賑わっていた。空いている席に座り、智子と雑談しながら食事をする。
食事中、ふと朝に見た女生徒の事が気になって智子に話題を振る。
「クラブハウスの屋上って閉鎖されてなかったっけ?」前に誰かに聞いた覚えがあった。智子だった気もするが、よく覚えていない。
「あー、確か先生がそんな事言ってたような気がする。でもどうして?」ああ、そうか。先生だ。危ないから閉鎖されているとか何とか。
「朝、屋上に」そう言いかけた時、私達の隣にサッカー部の上級生二人組が座った。ちょっと外見も中身も軽そうで、私はこういった人達が苦手だ。
そして案の定、話しかけてくる。「君達かわいいね、1年生?」この台詞は、こういった人達の挨拶代わりなのだろう。
私も街で時折、こういった感じで知らない人に話しかけられる。かわいい、スタイルがいい、などと言われればそれはそれで悪い気はしないが、いつも無視をしていた。
しつこく食い下がる男も居れば、なんだよブスと吐き捨てられる事もある。関わらないに越した事はない。そんな男達にひょいひょい付いて行くほど馬鹿ではないつもりだ。
「えー、そうなんですかぁー?」気付けば智子がその二人と楽しそうに会話をしている。おいおい愛しのエース君が見てたらどうすんだ・・。
智子は八方美人な所があり基本的に軽い。誰彼構わず付いていく事はないが会話を拒まないので男子からよく勘違いされる。しかも本人には全く自覚が無いのである。罪作りな女だ。
私の隣の男子が、私の髪を見て「綺麗な髪だなー、触ってイイ?」などと言い、手を伸ばそうとしたのできっぱりと「やめてください」と拒否。

157:屋上の幽霊 喪中 ◆TksQdIG5Po
09/09/21 23:16:27 fDb+9UeZ0
私が結構キツめに言ったからか、その男子も素直にゴメンと謝罪したので事なきを得たが、それ以上絡んできたら冷やしたぬきの残りのつゆを頭からかけてやろうと本気で思った。
「智子、私保健室行くから」と言い席を立つ。保健室に用は無いがこの場から立ち去りたかったのだ。智子も気付くだろうと思ったのだが、返ってきたのは「いってらっしゃーい」という答え。
勝手にやってろ、とトレイを返却口に戻し食堂から抜け出した。三人の笑い声が私に向けられている気がして少し気落ちした。

保健室に入ると、保険医の佐山先生が居た。三十路直前だが、20代前半に見える。優しい顔立ちと、白衣。近付くとわかるのだが、ほんのり石鹸の香りがする清潔な美人。
どこの調査か知らないが男子生徒の憧れのお姉さんNo1、男性教師の嫁さんにしたいNo1、そして一部の女子生徒からもお付き合いしたい先生No1といった栄光を6年連続獲得しているという校内一有名な先生だ。
「あら加藤さん。また胃痛かな?」私の顔を見るやその優しい声で気遣ってくれる。これも人気の秘密の一つ。
「はい、出来れば胃薬を頂きたいのですが」特に胃は痛くないのだが、その気遣いをふいにしてはいけない気がして嘘をついた。
先生は薬箱から胃薬を取り、コップに水をいれ私に差し出す。私はそれを飲み終えると、少し先生と雑談を交した。
佐山先生は非常にモテるのだが、男性と付き合っているという話を聞いたことが無い。その筋の女子から慕われている為、同性愛者の噂もあった。またそれを裏付けるような話を聞いた事がある。放課後の保健室で女子生徒を抱きしめている先生を目撃したという話だ。
あくまで噂は噂であるが、楽しそうに私の話を聞いてくれる先生の茶色の瞳や艶のあるピンクの口紅が塗られた形の良いな唇をどうしても意識し、見蕩れてしまった。
私は特別女性が好きという訳ではないし、気になる男子もいる。先ほどのいい加減そうな男子のようなのはお断りだが。しかしもしも先生に迫られたら断りきれないのではないか、という疑念を持たせる魅力があるのだ。
会話が途切れそうなので、私は先ほど智子に聞けなかった話を切り出す。
「そういえば、クラブハウスの屋上って閉鎖されていましたよね」
私の何気ない問いに先生の顔色がほんの一瞬だが変わったのを見逃さなかった。

158:屋上の幽霊 喪中 ◆TksQdIG5Po
09/09/21 23:19:20 fDb+9UeZ0
「ええ、そうらしいね。でも、どうして?」すぐに笑みを取り戻し、私に尋ねる。
私は朝、屋上で見かけた女生徒の事を先生に伝える。先生は私の話を聞いた後、ちょっと困ったという表情で「見間違いじゃないかしら」と答えた。
何か隠さないといけない事でもあるのだろうか。先生が答え辛そうなので私もそれ以上会話を続ける事が出来なくなり、胃薬の礼をして保健室を出る。

午後の授業が始まる頃、智子が戻ってきた。
私は先ほどの件でまだ頭にきていたので、無愛想に「おかえり、楽しかった?」と嫌味っぽく言う。
「電話番号しつこく聞かれて困った」とニコニコした顔で答える。困ったなら困った顔をしなさいと。教える気が無いのはわかったが、いつかトラブルに発展しそうで少し心配だ。
それから15時まで授業をうけ、その後追試3科目を行う。その内2科目が私の受ける物理と現国だった。授業を聞いていれば誰でも合格点が取れるので、難なく解答用紙を埋められた。
赤点組は全ての教科を受ける必要があったが、私と数人居た試験を受けられなかった人達はその教科以外は自由にしてていい為、2科目が終わった後は読みかけの推理小説を開いて全てのテストが終わるのを待つ。
茹だるような暑さの中、快適に時間を潰せるのはこの教室か保健室くらいだろうが、保健室は今日はもう行き辛く時間を潰すにはここしかなかったのだ。

ようやくテストが終わり、智子と一緒に食堂へ向かった。時間は18時を少し回った所で、外はまだ明るい。学食は夜遅くまで部活をする運動部の生徒の為に夏休み中でも19時まで開いている。
昼とは違い、カレーかソバ・うどんの3択なので二人でカレーを食べる。
本当は外に食べに行きたかったが、商店街まで続く長い坂道を思うと学食しかあり得なかったのだ。
食事を終え外に出るとすでに外は夕闇に包まれつつあった。

二人並んでクラブハウスに向かう。20時までに入浴を済ませないとシャワーだけになってしまう。私は浴槽派なのでシャワーしかないというのは御免だ。
流行りのシャンプーの話をしながら歩くとすぐに目的のクラブハウスが見えてきた。

159:本当にあった怖い名無し
09/09/21 23:19:45 sLgSU8N7O
>>喪中

字多いな。でも④

160:屋上の幽霊 喪中 ◆TksQdIG5Po
09/09/21 23:21:14 fDb+9UeZ0
あれ、やっぱり屋上に誰か居る。
朝見た光景と同じように、そこには一人の女生徒が見えた。もう暗くて顔までは判別つかないが、確かにそこに居る。
歩いてくる私達に気付いたのか、その人が私を見たような気がして目を離せなかった。その姿は夜の闇に消えてしまいそうな儚さを感じる。
「智子、ホラ、アソコ」私は智子の話を中断し、屋上を見るように促す。
「え、なになに?UFO?」いや、女の子が居る、と言いかけた所で気付く。その姿はもうそこに無かった。
「あれ?」
「なになに?どした?まさか女の子が居たとか?」
「うん、居た。朝も見たんだけど。」そこまで言うと智子が急に怖い顔をする。
「ここ、女の子の幽霊が出るらしいよー・・・」
まっさかー!と笑い飛ばしたかったが智子の声色と表情が妙に硬いのと、私自身、その子が果たして人間だったかどうか確かめる術を持たず自信が無くなってしまった。
しばしの沈黙の後、「部屋、行こ」と智子が笑って言った。

幽霊や亡霊など一度も見た事が無かったが昔からそういう話には他の女子と同じように好きな方だった。テレビで心霊番組があれば欠かさず見ていたし、恥ずかしながら実録!心霊写真集などのいかがわしい本も何冊か本棚にある。
見間違いだろうか。いや、どうだろう。私の心に引っ掛かったのは佐山先生の表情だ。何かを隠しているような、そんな表情。
もしかしたら、何かあるかも知れない。そんな不安とも期待ともとれない感情が徐々に私の胸を侵食しはじめていた。
部屋についても何だか落ち着かなかったが、何よりお風呂に入り嫌な汗を流したかったので智子と二人で浴室に向かう。

よく言えば奔放、別の意味ではがさつという性格の智子は脱衣所で無造作に制服を脱ぎ、恥じらいもなく中に入る。女同士で恥じらいも糞もないのはわかるが、もう少し、こう、ねぇ。
私も制服を脱ぎ、自分と智子の制服をたたんであげ中に入る。二人で並んで体と髪を洗い、湯船に浸かる。
「やっぱ胸、おっきーね。触っていい?」「ダメ。」 そんなやり取りをしながら今日のテストがどうだったとか、明日のテストは厄介だとか他愛の無い会話をした。
本当は幽霊の噂を聞きたいと思っていたが、なかなか口に出せずにいた。

161:屋上の幽霊 喪中 ◆TksQdIG5Po
09/09/21 23:22:46 fDb+9UeZ0
お風呂からあがり、いくつかある洗面台に備え付けられたドライヤーで髪を乾かしながら私はついにその事を口にした。
「幽霊の噂って?」
「あれ、里絵子、幽霊とかの信じるの?」智子は笑いながら答える。
私はそれらしき少女を見ているのだ。できる事なら、そんな噂は全くの出鱈目だと思いたい。
「なんかね、何年か前にこのクラブハウスで自殺した女の子が居たらしいよ」
あくまで噂であり、この程度の噂ならどこにでも吐いて捨てる程ある。智子は続ける。
何年か前に、このクラブハウスで飛び降り自殺をした女生徒が居たらしい。理由はわからない。その話はタブーとされて、運動部の中でひっそりと語り継がれているとの事だ。
その数年後から、ここで寝泊りした生徒の中に幽霊の話が出るようになった、という物。
「まあ、噂だけで実際見た人は知らないし。この話に詳しい子を知ってるけど、どうだかなー。」
そう、噂。信憑性はまるでない。私はどこかでこの話を耳にして、心のどこかで期待して、存在しない幽霊の幻を見たに違いない。幽霊の幻とは妙な言い方だが、そんな所か。
「私は信じてないけど、行ってみる?」
「行くって?」私が聞き返すと智子はニヤリと笑い天井を指差した。

階段で4階に昇り、屋上へ向かう階段を見つめる。その必要が無いからか、その先の照明は蛍光灯が外されており薄暗く、不気味な雰囲気を醸し出していた。
パタン、パタンとスリッパの音を響かせながら一段一段昇っていく。実は誰かがその先に潜んでいるのではないだろうか。
誰か、ならまだいい。この世ならざる者がこの先に待ち受けているとしたら。そう思うと足が重くなる。智子が私のシャツをぎゅっと握っている。彼女も信じていないとはいえ怖いらしい。
階段を昇りきると、屋上へ出る扉があった。鉄製の扉で赤く塗装されており、上半分は曇りガラスになっており月明かりを覗かせていた。
何より気味が悪いのは、マジックで「天国への扉」と悪戯書きが施されているのである。悪趣味な。大方、運動部の男子がこの噂を聞きつけ落書きしたのだろう。
私は一息飲むと、ドアノブに手をかけ、左へ捻り、そして意を決して引く。
ガツ、と音がしただけで扉は開かなかった。鍵がかかっているのだ。屋上は閉鎖されたままだ。


162:屋上の幽霊 喪中 ◆TksQdIG5Po
09/09/21 23:23:42 fDb+9UeZ0
押しても引いても、開かない。私は振り返り、智子に首を振って伝える。
「ほらね」今まで怖がっていたのが嘘のように楽しそうにパタパタと階段を駆け下りる智子。
そのほらね、というのはどういう意味だろう。屋上が閉鎖されていた事に対してか?そうなら私が見たのは幽霊か幻になる。幽霊を信じていないという智子が使うのはちょっとおかしい気がした。私の見間違えだという事を言いたかったのだろうか。
何だか悔しくてもう一度ドアノブを捻り開かない事を確認して私も階段を下りた。下りきった頃にはきっと私の見間違えだ、と考えられるようになっていた。

部屋に戻り、このイベントが地獄のイベントである事を智子は再認識させられていた。赤点組はレポート用紙10枚に渡る反省文を明日の朝までに提出しなければならない。
朝から夕方まで授業やテストに追いかけられた後、更にこの仕打ち。おまけに明日の朝は6時からラジオ体操に強制参加させられ、遅刻したらレポートが追加される。
泣きつく智子を少し哀れに思い、レポートを手伝う。10枚分も反省する言葉がある訳ないのに気付き、ほとんどが今日の感想文になってしまったが。書き終える頃にはすでに0時近くなっていた。

このクラブハウスは男子は2階、女子は4階で異性の部屋に入ることは固く禁止されている。
禁を破った者はいかなる理由をもってしても停学処分、大会への出場停止処分、大学への推薦中止、事と次第によっては退学処分まである為に忍び込む人はいないとの事だった。
実際、過去に何組かが停学・退学処分になっていて、これが十分な抑止になっているという。その偉大な先人は、事と次第を起してしまったという事か。
電気を消して寝るまでの間、智子と色々な話をした。驚きだったのが智子が、すでに、その、経験済みであった事だ。受験の前、家庭教師の大学生と。その生々しい告白と、私が大幅に遅れをとっている事が気恥ずかしく、聞き手に回る他無かった。
しばらくして智子の寝息が聞こえてきたので私も溜息をつき眠りにつこうと思ったが、智子のキスの話が頭から離れずしばらくは眠れなかった。

163:屋上の幽霊 喪中 ◆TksQdIG5Po
09/09/21 23:24:52 fDb+9UeZ0
夢を見た。不思議な夢。怖い夢。

夢の中の時間は深夜だろうか。気付くと私とその子はクラブハウスの屋上に居た。
その子の事をどこかで見たことがあるような気がして必死に記憶を探しましたが思い出せない。彼女と私を隔てるのは緑色をした、低めのフェンス。
私はフェンス越しの彼女に向かってやめて、やめてと呼びかけるが、彼女には私の声が届かないようだった。
彼女は一瞬こちらに振り返り哀しそうな目で私を見て、一言、ごめんなさいと呟いた。
刹那、彼女の体が宙に舞い、落下。
永遠にも感じる時間は、思い出したくもない鈍い音で終わりを告げる。
咄嗟にフェンスにしがみつき彼女の姿を探したが、私の位置からは下が見えない。
半ば夢と気付いてたし、智子とあんな話をした為にこんな悪夢を見る事になったのだと心の中で叫んだ。
早く目覚めてくれ、と祈るもその願いは叶わず、私は星空の下で呆然としていた。
どれくらいそこに居ただろうか。一瞬風が強く吹き、泣くような、うめくような声が聞こえる。
「すけて・・・たすけて・・・・」
生きている?彼女は助かったのか?木か何かに奇跡的に引っ掛かり、下で私の助けを待っているのか?
踵を返し屋上から階段を走り降りる。救急車を呼ばなければ。階段の途中、一瞬だけ振り返るとドアに書かれた天国への扉という悪趣味な落書きが見える。
・・・生きているはずがない。落ちたのは4階建ての屋上だ。建物の周りには低木しかないし、彼女が引っ掛かる木の枝も、建物の出っ張りもない。
でも、確かに声は聞こえた。聞き間違えではない。助けを待っているんだ。
迷いを断ち切る為に3段飛ばしで階段を駆け下りる。
そして一階に降り立った時、私の夢はブラウン管のテレビを消すように、そこでブラックアウトを迎える。

164:屋上の幽霊 喪中 ◆TksQdIG5Po
09/09/21 23:26:12 fDb+9UeZ0
「大丈夫?」
目が覚めると心配そうな顔をして智子が私の顔を覗き込んでいた。
ずいぶん魘されていたようだ。時計を見ると朝の5時を少し回っていた。
心配そうな智子に、ひどく寝汗をかいてしまったのでラジオ体操の前にシャワーを浴びると告げ私は部屋を出る。

フラフラしながら浴室に向かい、シャツと下着を脱ぎすてる。
あの夢は何だったのだろうか。
熱めのシャワーで脳が活性化してくるのを感じながら、夢の中の事を思い返す。
私は夢の中でこのクラブハウスの屋上に居た。そこにあの子が居て・・・・飛び降りた。高さは4階建ての屋上。
このクラブハウスの周辺には低木の植栽しかなく、クッションになりえる訳がない。間違いなく即死だろう。じゃあ、あの助けてという声。何か腑に落ちない。
私の声はあの子に届かなかった。けれどもあの子は振り返り、確かにごめんなさい、と言った。誰に?私に?
そしてあの黒く美しい長い髪を靡かせて落ちていった。
・・・黒い髪。唐突に記憶が蘇る。
昨日、私はあの子を見ている。顔こそはっきりとは思い出せないが、朝登校する際と、夕食を終えクラブハウスに戻る際、屋上にあの子は居た。
まさかとは思うがアレは予知夢みたいな物で、これから最悪の事態に陥るのではないか。
いや、やはり屋上に居た事自体が不自然だ。あの場所は立ち入りを禁じられて鍵がかかっているのを実際に確認しているし、第一、夏休みにあんな所で一体何をしていたというんだ。

夢を見た経緯を改めて組み直す。
私は、自分でも忘れているがこの建物で幽霊が出るという噂を聞いていて、無意識で屋上に少女の幻を作り上げた。
それから智子の話を聞き、彼女が屋上から飛び降りる様を想像した。それが夢の中で起こってしまったのだ。
なぜ一度も立ち入った事の無い屋上の様子が鮮明に夢に現れたのかはわからない。だけど、それは深層心理にあった私の屋上像だと思えば納得できる。
それと振り向きざまに見た天国への扉という落書き。悪質な悪戯なら自殺の後に書かれたもので間違いないが、あの文字ははっきりと見えた。
つまり、やはり私の深層心理が作りあげた架空のストーリーだったのだ。

ようやく自分で納得できる回答を組み上げ、シャワーをとめる。もうすぐラジオ体操の時間だ。

165:本当にあった怖い名無し
09/09/21 23:58:26 Lhnv7cKT0
新作来たか!

166:屋上の幽霊 喪中 ◆bfuvSRTZj6
09/09/22 00:26:16 cIUACdkC0
8月6日

ラジオ体操を終え、朝食を摂りに学食へと向かう。一度クラブハウスの屋上を振り返ったが、誰も居なかった。
グラウンドではすでに野球部が練習をはじめており、バットとボールがぶつかる金属音が鳴り響いていた。
鮭と目玉焼きを箸でつつきながら、朝はパンしか食べないのに、とボヤく智子へ、決意とともにある事をお願いする。
一度は自分が作り上げた夢だと納得出来たが、どうしても二つの疑問が残り、その疑問を解く手掛かりが欲しかったのだ。
一つは、佐山先生。あれは何かを隠している顔だった。あの表情が私の夢だけで全ては片付けられない事を物語っている。
もう一つは、自殺の真相。智子はあくまで噂だと言う。もし私がその噂をどこかで耳にしていたとするなら、その噂話ももっとはっきりした輪郭を持っているはずだ。

「昨日言ってたあの話に詳しい子、紹介してくれない?」
「んー、おっけ。ちっと待ってね。」そう言うが早いか、メールをする智子。人見知りするタイプの私は会ってどう聞いたらいいのだろうか急に不安になる。
初対面でいきなり幽霊の噂話をするとか頭がサイコな子に思われないだろうか。そんな事を思いながら溜息をつくと智子の携帯に着信音が鳴る。
「おっけ。今日部活で登校するから、お昼一緒に食べようってさ。でもどうしたの?まさか・・・怖い夢見ちゃった?」と笑みを浮かべる智子。
朝の失態を見られて急に気恥ずかしくなった私は返事の代わりにいじわるな智子の朝食に添えられていた水気の飛んだイチゴを一つ箸でつまみ口に入れる。
「ひどい・・・本気で楽しみにしてたのに・・・」と心から落胆する智子に「ご馳走様でした」と言い渡し席を立った。

身支度を終え、教室に向かう。午前の内容は私の追試とは関係ないもので、参加は免除されていたが智子が寂しいとかいうので教室で本を読むことにした。
図書室で借りた推理小説を読み進めて行くうち、とあるページに何か落書きがしてあるのを見つける。
「犯人は教授。」
そのまま本を閉じ机に伏せこみ、深い溜息とともに犯人を呪った。教授じゃなくこの馬鹿な落書きをした糞ったれの犯人を。
時計は間もなくお昼を指そうとしていた。頭が痛い。


167:屋上の幽霊 喪中 ◆bfuvSRTZj6
09/09/22 00:27:43 cIUACdkC0
この場所から見える風景。あの日、どんな思いでここに立ったのか。どんな思いでこの風景を見たのか。
私はやり場の無い怒りに苛まれる。
何故こんなに苦しまなければならないのか。何故こんなに哀しいのか。
理由はわかっている。が、どうする事も出来ないのだ。
この場所に立ち、ここからこの風景を見ることくらいしか私には出来なかったのだ。
グラウンドで必死にボールを追いかける野球部。プールで競いあう水泳部。走り続ける陸上部。
この場所から見る風景はまるで現実感がない。
夕闇迫る中、ふと下を見ると二人組の女子生徒が歩いてくる。
その一人と目が合う。
不思議そうに私の事を見つめる目。綺麗な目。柔らかそうな唇。
もし私と彼女が親友だったら、私の気持ちを理解して貰えるだろうか。
・・・いや駄目だろう。
もう決めた事だから。
それでも内にある迷いが私の心を揺り動かしている。
私は溜息をつき、空を見上げる。
すでに夏の恒星がチラホラと輝いていた。

168:屋上の幽霊 喪中 ◆bfuvSRTZj6
09/09/22 00:28:25 cIUACdkC0
智子の友達は私の心配が杞憂に思えるくらい、明るい子だった。
券売機で冷やし中華を購入し、大きな声で「オバちゃん!お酢、大目にね!」と注文をつける。学食のオバちゃんも笑顔でそれに答える。
彼女は智子と並んで座り、私は彼女の前に座った。
お互いに自己紹介し、食事を始める。彼女はナカガワリョウコと名乗った。リョウコは良い子だよ、と洒落なのか漢字を教えたのかわからない微妙な事を智子が言う。
そういえば新体操部と言ったっけ。学校指定ジャージの下にレオタードを着ているのがわかった。さすがにレオタードで校内をうろつく訳にはいかないようだ。
豪快に冷やし中華を啜り、そして豪快にむせ返りながら「すっぱい」と顔をしかめる。
酢をあれだけ入れればこうなるのは明白じゃなかろうか。
「お酢はね、体を柔らかくするんだって婆ちゃんが言ってた。」と説明する彼女。それ、科学的根拠が無いらしいよと言いかけたが、気持ちはわからなくもないのでやめておく。
私もきつねうどんを食べ終え、彼女が食べ終わるのを待つ。
「で、3サイズと好きなタイプが知りたいんだっけ?」・・・どんなメールを送ったんだこの子は。初対面の女子が3サイズ聞くか?
智子のかわりに弁解し、本題に移る。

「あー・・。アレか、あの話かー」一瞬で明るい顔が陰った。この反応は何だろう。
「私から聞いたって言いふらすのはやめてよね。」と、釘を刺しながら小声で話はじめる。
「これは噂じゃなくて、実際にあった話。5年前にね。」
5年前の夏の夜。一人の女生徒がクラブハウスの屋上から身投げした。理由は不明、遺書はなかった。発見者は宿直の先生。
落下地点は植栽の、花が咲いている場所。そう言われて、あそこだけ何故花なのかが理解できた。
当時はマスコミが来て報道もされたらしいが、夕方のニュースになっただけでそれ以降は何も無かった。
学校側も遺族も大げさにしたくなかったらしく、始業式の朝礼で事故で亡くなったという事にされ、黙祷したくらいで大きな騒ぎを避ける事が出来た。
遺族のほうは自殺したなどと言われ好奇の目で晒されるよりかは事故として扱ってもらった方が良かったのだろう。
学校としても生徒が学校内で自殺をしたと知られればそのダメージは計り知れない。双方合意による、大人の都合という奴だ。

169:屋上の幽霊 喪中 ◆bfuvSRTZj6
09/09/22 00:29:52 cIUACdkC0
そしてそれから不審な事が起こるようにる。
まず発見者の先生がノイローゼになり、転勤する。噂好きの女子の中ではその子の呪いと噂がたった。
その後、遠征でクラブハウスに泊まった他校の生徒が幽霊を目撃したという噂が広まる。
宿直制も事情を知る先生方が敬遠し、警備会社へ依頼するようになったという。
しかしそういった噂もしばらくして沈静化し、その在校生が卒業してしまえば都市伝説のような七不思議として残るだけとなる。
ここまで一気に噂について語った良子が深い溜息をつき、私の目を見ながらこう言った。

「この自殺した人、山吹美咲さん。私の知ってる人なの」

ガツンと何かに殴られたような衝撃だった。知り合いの知り合いでお茶を濁すのがこういった噂話のセオリーな訳で。
「いわゆるご近所さんでね。ちょろっと色々あって、一緒によく遊んでもらったのよ」
モノクロだった話が急速に色を帯びる。実在した人物。少なくとも良子が嘘を言っているようには思えなかった。
聞いてはいけない質問だったが私は覚悟を決め、問おうとする。
「いやー、色が白くてねー、黒髪が似合ってて、優しくて綺麗な人だったよ」
私が質問する前に良子が答えてくれた。やはりそうだ。その容姿と屋上の彼女、夢の中の彼女が一致する。彼女が山吹美咲なのだ。
私は面識が無いにも関わらず彼女を見ていた。屋上で。夢の中で。何だろうこれは。山吹美咲は私に何かして欲しいのだろうか。
良子の表情が陰った理由も解り、申し訳なく思った。誰だってお世話になった人の死を噂話にしたくないはずだ。
「だからさ、この話はあまり広めないで欲しいんだなー。ちょっと色々あってさ。私から聞いたってのもダメだからね。」
そういいながら周囲を伺う良子にどこか不自然さを感じたがそれは固く約束し、彼女は部活に戻っていった。

「ねえ、何でそんなに気にかかってるの?」良子が去ったあと、お茶を飲みながら私に問いかける。
私が見た事や夢の事を智子に話たら彼女はどう思うだろう。私を笑うだろうか。私を怖がるだろうか。
「何でだろう?」微笑んでそう答える他無かった。多分、本当に怖いのは友達を失う事だから。

170:屋上の幽霊 喪中 ◆bfuvSRTZj6
09/09/22 00:30:58 cIUACdkC0
あの幽霊、山吹美咲が何を求めているのか、答えが見つからない。
夢の中では助けてと言っていたが、何をどうすべきなのか。死んだ人間を助ける術なんてあるのだろうか。
自縛霊として現在も死の瞬間を繰り返す彼女を救う事。自分の死を受け入れさせる事。
しかし私にはその正しい作法なんか知る由も無い。必死に考え何とか見つかった答えは、花を手向け、彼女の冥福を祈る事くらいなものだった。
私が受ける英語の追試まではまだまだ時間がある事を確認し、智子に少し遅れて教室に戻るからと伝え、駅前の花屋に向かう事にした。

長い下り坂を駅前に向い、木陰を選びながら歩く。それでも夏の日差しは容赦なく私の肌を突き刺す。暑いと言い始めれば限が無いので違うことを考えよう。今年はどこかに行こうかな。去年は受験だったので図書館くらいしか思い出がない。
もうすぐ16歳だ。私だって彼氏の一人くらい欲しい。理想を述べるなら、背が高くて、頭が良くて、清潔で、優しくて、でも厳しさも持ち合わせていて、眼鏡が似合って、顔も人並みより少し格好よくて、私を好きで居てくれる人。
そこまで考えて自分でも思わず笑ってしまう。これだけ注文の多い女は向こうからお断りだろう。こんなだから彼氏出来ないんだろうな。
そんな事を考えながら歩くと、意外にも早く花屋さんに着いた。若い女性の店員が店先の花に水をやっていたので、お供え用として見繕ってもらう。
こんな感じかしら、と作って貰った束は高砂百合とかすみ草だった。今日はお客さん少ないからと、少し値引きしてくれたので感謝して代金を支払い学校へ戻る。
帰りの坂道は暑さもピークの時間帯であった為に倒れこみそうになるくらいきつかったが、ほんのりと甘い百合の香りが私を支えてくれた。

彼女が発見された場所へ着くと、私はその花束を供え、両手を合わせた。
私はアナタの事を何も知らないし、何もしてあげられないけど。アナタの苦しみを理解してあげられないからこんな事くらいしか出来ないけど。でもどうか、心安らかにお眠り下さい。

私は彼女の為に祈りを捧げ、教室に戻る。クラブハウスを見上げたが、彼女の姿はなかった。届いただろうか。届いて欲しい。

171:屋上の幽霊 喪中 ◆bfuvSRTZj6
09/09/22 00:32:34 cIUACdkC0
皆の邪魔をしないように静かに教室のドアをあけ、必死で睡魔と戦う智子に気付かれないよう席につく。
間もなく補習が終わり、次の時間は英語の追試だ。チャイムが鳴るまで念のために復習する。特別苦手な訳ではなかったのでさほど心配する事もない。
そしてその英語のテストも時間を結構残したまま回答を埋める事が出来た。イージーミスの見直しだけして、ぼんやり外を見ながら時が過ぎるのを待つ。
外では野球部が相も変わらずボールを追いかけている。それを遠目に見ながら物思いに耽る。

私は何の為に勉強しているんだろう。将来の夢なんて漠然としすぎてわからない。適当に進学して適当な会社に入り、その間にいくつか恋愛をしていずれ結婚し、子供を産み老いて行くのだろう。
まるで実感がない。子供の頃の夢、何だっけ。ああ。思い出した。インディ・ジョーンズだ。夢というか、憧れの人?
世界には私の知らないとんでもない秘密が隠されており、いつか私が海に山にと駆け巡り、その謎に挑戦するのだ。
確か小学3年生の頃にそんな作文を書いて父兄参観に来ていた母を赤面させた事があった。思い返すと死にたくなるほど恥ずかしいが。
私は現実を少し冷めた目で見る節があり、いつも何か特別な事が起こる事を願っている。
そしてその思いに至った時、私はある事に気付いてしまう。

私は心のどこかで今も何か非日常的な事が起こる事を望んでいるのではないか。
今回の件にしてもそうだ。私は怖い、気味が悪いと思う反面、この状況を心のどこかで楽しみ、期待している。
不思議な夢を見た事も「私が選ばれた」事として喜んでいるのではないだろうか。花を手向ける事で彼女の物語の登場人物となり、自分に酔いたいのではないか。
馬鹿な。人が死んでいるんだ。私は傍観者であり、自らの死をもって完結した彼女の物語に土足で踏み入れる事などできない。
心から冥福を祈る?彼女を救いたい?。彼女の苦悩を理解したい?
全部違う。私はただの野次馬根性丸出しの覗き魔なのだ。
そしてやってくる激しい自己嫌悪。
認めたくない。私自身が卑下すべき人間である事を認めたくない。
目が回る。クラクラする。逃げ出したい。
気付けばテストが終わっており、私はその場から逃げるように教室を出て保健室に向かった。


172:屋上の幽霊 喪中 ◆bfuvSRTZj6
09/09/22 00:34:16 cIUACdkC0
保健室に向かう途中、自分でも気付かない内に泣いていた。
保健室から出てきた生徒とすれ違ったが、泣き顔を見られたくなかったので下を向いてやり過ごす。その人は私が泣いているのに気付いたのか、振り返ったようだが私は早足で立ち去った。
部屋の前で涙を拭き、入室する。鍵はあいていたが中に佐山先生の姿はなかった。

私は窓際のベッドで横になる。何も考えたくない。このまま自己批判を続けたらどうにかなってしまいそうだった。
シャツのボタンを緩め少し胸が解放され楽になる。深く布団をかぶり雑念を振り払う。
いい匂いがする。淡い柑橘系の香水。優しい香り。私の前にさっきの子が寝ていたのかな。
知らない誰かに優しく抱かれているような錯覚を覚え、それが心地よかった。

どれだけ時間が経ったのだろう。気付くと満天の星空の下、屋上に居た。
これは夢か。見渡すと、一人の少女がフェンスを背に座り夜空を見上げていた。
山吹美咲。
私は静かに彼女まで歩き、隣に座り、同じく天を仰ぐ。不思議と怖いとは思わなかった。
満天の星空の中、白鳥座のデネブが白く輝いており、星がこんなに綺麗だという事を改めて思い知る。
まるで夢の中のようだ、と思った所で夢である事を思い出し苦笑する。
そんな私を不思議そうな顔をして美咲が覗き込む。背中まで伸びる美しい黒髪。白い肌。長い睫。愛らしい唇。
彼女の細くてしなやかな手がすーっと伸びて私の頬を触り、私の涙を優しくふき取る。スローモーションのように彼女の顔が近くなり、唇と唇が触れ合った。
軽く、長いキス。そこから溢れる想いは、悲しみだった。

彼女の唇が離れ、その時間が終わりを告げる。
目をあけると、最初に見た夢と同じく彼女の表情は暗く、ある一点を見つめていた。
その視線の先を追っても私には何もない暗い空間が広がるだけ。
彼女は立ち上がり、その方向を見つめながら後ずさる。彼女の体がフェンスをすり抜ける。幻のように。
まさか。やめてくれ。もういいんだ。もうアナタがそんな事を繰り返す必要はない。お願い、やめて。
その視線の先に一言、ごめんなさい。と呟き、彼女の体は宙を舞った。私はそれを呆然と、見送った。


173:屋上の幽霊 喪中 ◆bfuvSRTZj6
09/09/22 00:35:36 cIUACdkC0
目を覚ますとすでに夕方だった。まだ明るいが完全に寝ていたようだ。チャイムが鳴り、カタリ、と誰かが立ち上がる音がしてカーテンが開けられる。
「起きた?大丈夫?」佐山先生だった。
「びっくりしたわよ。職員室から戻ったらアナタが寝てるんだもの。」先生はひんやりした手のひらを私の額に当てる。
「ん、熱は無いみたいね。でも念の為、はい。」体温計を受け取り、胸の隙間から脇に刺す。
体温を測る間、保健室で寝ていた経緯を説明した。夏バテか、寝不足かしらと優しく笑う先生。
この笑顔で何人の男子生徒が彼女の虜になったことだろう。一部の女子生徒からも多大な人気を誇る先生だ。あんな夢を見たからだろうか。先生の唇を意識して赤面してしまった。
「怖い夢を見ました」自然と口から漏れる。先生は冷蔵庫から麦茶を取り出し、コップに注いでいる。
「先生は山吹美咲って生徒をご存知ですか?」何でこんな質問をしたのか。口に出してから後悔する。
先生は一瞬ピクリと肩を動かしたが、何も無かったように麦茶を冷蔵庫にしまう。
「・・・知ってるわ。」コップを一つ、私に渡してくれた。
一口麦茶を飲んで私は決意し先生に夢の話と屋上で下から見上げた少女の事を少しづつ語る。

「不思議な事もあるものね。」そういうと先生は優しく、また少し悲しそうに微笑んだ。
「私がこの学校に来たのは6年前。彼女は2年生だった。」私の話を真剣に聞いてくれた後、先生は語り始める。
貧血気味でよく保健室の世話になっていた彼女と先生はすぐに仲良くなった。大人しい性格で、なかなか新しいクラスに馴染めない。
そんな相談を受けたり、勉強を教えたり。とても綺麗な子で男子生徒からも人気があったけど、そんな性格からかなかなかハードルが高い子だった。
保健室の常連で私と仲良くしてるのを見て、同性愛者と噂がたったり。でも彼女の名誉の為に言うけど、決してそんな事は無かったわ。
彼女は星を見るのが好きで、たまに一緒に屋上から星を見たりした。どこか、放っておけない子。妹みたいで可愛かったから。

先生は遠く昔の事のように彼女の思い出を語る。私の知らない山吹美咲がまた少し色をつける。

174:屋上の幽霊 次さるったらまた今度 喪中 ◆bfuvSRTZj6
09/09/22 00:38:34 cIUACdkC0
年が明けて冬休みが終わり、学校が始まると彼女は恥ずかしそうに私に報告に来た。彼氏が出来たって。
私も自分の事のように喜んだわ。ウチの妹にも好きな人が出来たんだ、ってね。お節介だったかも知れないけど念の為に避妊の大切さを教えたりした。
彼女はそれから暫らく、保健室には来なかった。彼氏が出来たんだもの普通なら幸せいっぱいだよね。私はちょっとだけ寂しかったけど、彼女が幸せならそれが一番だと思っていた。

「でも、それは間違いだったのかも知れない。」
久々に校内で見た彼女は暗く、悲しい目をしていた。私の前では明るく振舞っていたけど、私に心配かけたくなかったのかも知れない。
彼女は3年に進級し、目に見えて暗い表情をするようになったが私に相談しに来ることは無かった。
5月の連休前、保健室を訪れた彼女。泣いていたわ。ここから先は、想像にお任せするけど、とても辛い選択を選ばなければならなかった。
それでも彼女は誰と付き合っているのか、その人の素性だけは明かさなかったの。

そして夏休みのある夜、彼女は。
気付くと先生の声は震え、目には涙が溜まっていた。先生の後悔が棘となり私の胸を冷たく刺す。

先生が落ち着くのを待って二人で保健室を出る。
「加藤さん、あなたの夢に出てきた子は、この子でしょう?」薄暗い廊下で、先生は定期入れからパウチングされた写真を取り出す。
山吹美咲と先生。二人の笑顔が写った写真。まさしく、彼女だ。
「この話はアナタの胸に閉まっておいて。言いふらすような真似はしないでね。」
「変な噂が立って故人を辱める事は、私にとっても悲しい。でも、私なんかよりもっと悲しい人が居るのだから。」
先程も誰かに言われたような既視感を覚える。誰だっけ。
「もし何かを見ても、知らないフリをする礼儀ってものもあるのよ。」去り際に先生が残した言葉。
それは一体、何に対してだろうか。幽霊?
私は美咲が死んだ後も無意味に苦しむ姿は見たくない。これが本当の意味で素直な気持ちだった。
自縛霊としてあの場所に留まり、何度も何度も死を繰り返すだけの存在になってしまっているとしたら。救いが無さ過ぎる。


175:屋上の幽霊 喪中 ◆bfuvSRTZj6
09/09/22 00:39:50 cIUACdkC0
一応、智子が居るかも知れないので食堂を見に行ったが姿は無かった。
すっかり暗くなってしまった。クラブハウスへ向かう途中、グラウンドでは野球部がトンボかけをしている。今日の練習はこれまでなのだろう。
建物へ近づくにつれ、暗い考えが頭の中を駆け巡る。
美咲の自殺の背景。先生の言い回しから察するに恐らくは、妊娠で思い悩んでいたのではないだろうか。
多分正解だろう。そして中絶を決断した。その事を苦に飛び降りたのだろうか。
ごめんなさい。彼女の最期の言葉。あれは母としてなのか。愛する人の子を産めなかった事についてなのだろうか。
いずれにせよ、悲しい話だ。私以上に先生は辛かっただろう。妹のように思っていた人の死。自殺を止められなかった罪悪感。
美咲の事を知れば知るほど、どこに救いがあるのかわからなくなる。やはり、私には何も出来ないのだ。

そんな事を考えながら歩いていると、気付けばクラブハウスまで来ていた。
もう一度、手を合わせておこう。
再度その場所に立ち、手を合わせる。

あれ、ない。
私が手向けたはずの百合の花束がない。辺りを見回しても、やはりない。
誰かが悪戯したのか?悪趣味な。どこへ行った?誰が持ち去った?
ふと、頭上を見る。

誰もいないはずの屋上に彼女がいた。山吹美咲が。黒い髪を靡かせながら。

また飛び降りるつもりだろうか。いやそんな事はさせない。今度こそ、とめてみせる。
考えるより先に走り出す。革靴を脱ぎ、スリッパも履かずにクラブハウスの中へ。屋上へ。

階段を駆け上がる。1階から2階へ。2階から3階へ。会ってどうする。気付かないフリをするのも礼儀だって?
彼女が幻だろうが幽霊だろうがとめてみせる。3階から4階へ。4階から屋上へ駆け上がる。

そこに天国への扉があった。
ここまで来て、もし鍵がかかっていたらという不安が頭を過ぎる。
呼吸を整え、一度大きく深呼吸して、息を呑む。そっとドアノブに手をかける。お願い。開いて。


176:本当にあった怖い名無し
09/09/22 00:54:06 V5AQWbvPO
喪中氏なんかトリップ変わってるよw

っ④

177:本当にあった怖い名無し
09/09/22 00:57:44 NvKj4w8f0
結構いい
私怨

178:本当にあった怖い名無し
09/09/22 01:15:51 NvKj4w8f0
再紫煙

179:本当にあった怖い名無し
09/09/22 01:31:39 NvKj4w8f0
つ、つづきをくれ・・・・・・

180:本当にあった怖い名無し
09/09/22 01:51:03 lEXSRpQBO
いや、もう沢山。

181:本当にあった怖い名無し
09/09/22 04:05:42 jFukL7E90
久々の良作
文章もしっかりしていて、こんなところに投下するのは正直もったいないと思う
しかし続きを期待!

182:本当にあった怖い名無し
09/09/22 09:24:19 Y66XCQ9S0
話がありきたり。
先の予想が容易。
アマ根性丸出し。

183:本当にあった怖い名無し
09/09/22 13:00:50 Xgj0mctsO
長いのは全く読む気がしない。
それより>>150の続きが見たい。

184:本当にあった怖い名無し
09/09/22 13:50:01 V5AQWbvPO
幽霊とキマシタワーな展開にパンツ下ろして待機するしかないだろjk


185:本当にあった怖い名無し
09/09/22 19:44:40 xPWURZIdO
>>150ツヅキ

店の中で本を物色していて気がついたのだが、どうにも横文字なタイトルの本ばかりが目につく。しかもどれも相当に古い。中には革表紙のものもちらほら見受けられた。
どうやら僕にはちょっと読めそうにもないものばかりだ。本に値段を示すものが一切ないのも気になった。

「どういったものをお探し?」
レジの女性から声をかけられる。
「あ…いえ、その…」
まさか中学時代に好んで読んでいた伝奇SF作家の名前を、この店の偉そうな本達を前にして口に出す勇気はない。
オロオロしてる僕の様子を見て、さもありなんといった感じで話を繋げてくれた。

「この店はね、ちょっと特殊な本ばかりが置いてあるの。そうね、一口で言えば魔術書の類ね。錬金術関係や宗教関係もあるけど…」
そこで一旦口を閉じ、改めて僕のことを見つめた。
「ふふ。変な店でしょ?あなた好みの本はないかもしれないわね」
「そうなんですか…。すごいですね…」
何がすごいのかもわからず感想を口にする。魔術書?錬金術?一体全体なんのためにそんな本ばかりを…。
もしかしたら来てはいけない店に入ってしまったのかもしれない。適当に謝ってすぐに店を出よう。そう決心し、行動に移そうとした時だった。
「とはいえ、この店が見えて入ってきたお客様ですもの。おもてなしはしなきゃいけないわね」
「?」
「そうねぇ…あの本だったら大丈夫かしら。あぁでも初心者じゃ魂が抜かれて終わりかしら。だとしたら…」

一人で何事か物騒な事を呟きながら、本棚を探し回っている。
これはいけない。多分妖しい宗教かなにかの店だ。古本屋の装いをしているのは僕みたいな知らずに入ってくる客に警戒心を抱かせないためだ。
女性が本探しに夢中になっている隙に逃げようと、じりじりと扉に近付いていく。
あとちょっとだ…。そっと手を伸ばし取手に手をかける。よし!脱出出来る!そう確信した瞬間だった。

「あった!これならあなたでも大丈夫でしょう」
ふいに大きな声を聞いた僕は驚きのあまり取手から手を離してしまっていた。

ツヅク

186:喪中 ◆bfuvSRTZj6
09/09/22 20:51:43 A81kAZyR0
日付またいでさるが解除された途端トリップが変化したのだけど・・・。
横入りしたみたいで申し訳ないので ”灯鳴堂” さん支援
>>150 >>185


187:本当にあった怖い名無し
09/09/22 22:36:15 QumvNTQB0
両方とも期待

188:屋上の幽霊 喪中 ◆bfuvSRTZj6
09/09/22 23:50:39 A81kAZyR0
意を決してドアノブを回すと、驚くほどあっさりと開いた。鍵はかかっていなかった。

そして目視15メートル先に彼女が静かに佇んでいた。月明かりが彼女を照らす。この世のものとは思えない程、幻想的で美しかった。いや、この世のものでは無いからこそ、か。

私は一歩、歩み寄る。表情までは読み取れないが、彼女も私を見ている。ゆっくり歩みを進める。一歩、一歩。
彼女まで10メートル。お互いの表情が見える所まで来た。
「お願いだから、もうやめて。」彼女に言葉を投げかける。
一瞬、驚いた表情をした美咲。私の言葉が届いたのだろうか。もう一歩距離を詰める。
「美咲さん、あなたはもう死んでいるの。繰り返さないでいいの。」更に言葉を投げかける。
少しの沈黙と考え込むような表情をして、彼女は口を開いた。
「・・・・死んでいる?」夢の通り、とても綺麗な声だ。良かった。会話が出来る。私の言葉は彼女に届くし、彼女の声を私は聞くことが出来る。
「アナタは、誰?」彼女が私に問いかける。
「私の名前は加藤里絵子。」彼女の問いかけに答える。落ち着け。落ち着け。落ち着け。
「美咲さん、あなたは5年前、ここで死を選んだの。覚えている?」
「ええ、覚えているわ。でも何故アナタはそれを知っているの?」
「あなたの夢を見たのよ。夢の中で、あなたはそこから、飛び降りた。」
今までほとんど無表情を保っていた美咲の顔が驚きを見せる。生きている人間と何が違うんだろう。
「それでは、アナタがこの花を?私の為に?」彼女の足元に、私が彼女の為に手向けた花が置いてあった。花と・・・あれは、本?
「そう。あなたを想って花を贈った。半分は確かに興味本位だった。でもあなたの事を心から祈ったのは本当よ。」
「それで、私の苦悩は理解出来たかしら。」
「正直、わからないわ。いくら考えても、答えには辿りつけなかった。でも、あなたを少しでも理解しようと私なりに考えた。」
「そう、それじゃ、アナタは何をしにここに来たの?」
「あなたを、救う為に」
その言葉を聞いた美咲はキョトンとした顔の後、吹き出した。私は幽霊でも笑うのか、という疑問はもう持たなかった。
その笑いがいつしか嗚咽に変わっていた。泣いている。涙を流している。


189:屋上の幽霊 喪中 ◆bfuvSRTZj6
09/09/22 23:51:40 A81kAZyR0
誰が花を供えてくれたのだろうか。佐山先生だろうか。
今でも想ってくれる人が居る事に、少しだけ救われた気がする。
もうあれから5年も経っているんだ。その年月が過ぎても、私の心が晴れる事はなかった。

階段を駆け上がる音が聞こえる。段々近付いてくるのがわかる。誰だろう。
私は振り返り、扉を見つめる。やがてその曇りガラスに人影が映る。
ガチャリ、と音を立てて扉が開いた。そこには息を切らして私を見る、女の子が居た。
昨日、ここから歩いているのを見かけたあの子だ。先程も、保健室の前ですれ違った。泣いていたように見えたけど。
「お願いだから、もうやめて。」
唐突に彼女が私に向け言葉を投げかける。説得するような、懇願するような、そんな言葉。
「美咲さん、あなたはもう死んでいるの。繰り返さないでいいの。」
その一言で理解した。この子は事情を知っている。恐らくは佐山先生あたりに聞いたのだろう。誰かに言う人では無いと思っていたが、やはり一人の人間だ。
私は真剣なその子の口ぶりに、話を合わせて少しからかってやろうと思った。
「死んでいる?アナタは、誰?」
「私の名前は加藤里絵子。」多分、特待科か普通科の子だろう。
「美咲さん、あなたは5年前、ここで死を選んだの。覚えている?」
「ええ、覚えているわ。でも何故アナタはそれを知っているの?」どうせ噂を興味本位で聞いて回ったに違いない。くだらない。
「あなたの夢を見たのよ。夢の中であなたはそこから、飛び降りた。」
夢の中で?どうして?無関係のアナタが?私は驚きを隠す事ができなかった。
「それでは、アナタがこの花を?私の為に?」
「そう。あなたを想って花を贈った。半分は、確かに興味本位だった。でもあなたの事を心から祈ったのは本当よ。」この百合は、この子が・・・。
「それで、私の苦悩は理解出来たかしら。」
「正直、わからないわ。いくら考えても、答えには辿りつけなかった。でも、あなたを少しでも理解しようと私なりに考えた。」
「そう、それじゃ、アナタは何をしにここに来たの?」
「あなたを、救う為に」
私を、救う為に。何て恥ずかしい事を言う子なんだろうと思う。思わず素に戻り、吹き出してしまった。
でも、演技にはとても思えない、彼女の本心からくる言葉が嬉しくて。本当に嬉しくて。泣いた。


190:屋上の幽霊 喪中 ◆bfuvSRTZj6
09/09/22 23:52:26 A81kAZyR0
彼女はその場で崩れ落ち、感情のままに泣いた。どれくらい泣いていただろう。私は黙ってその姿を見ていた。
彼女が泣きやむのを待って、最大の疑問を投げかける。

「アナタは誰なの?」

そう。生きているのだ。この幽霊は。髪型、顔の形、肌の白さは間違いなく写真で見た山吹美咲その人だ。
でも生きている。この場所に実在する。私は担がれたのだろうか。良子に。佐山先生に。山吹美咲本人に。
「ここで死んだのは、私の姉よ。」
一気に私の中の疑問が氷解する。
「私は澤岡美里。以前の名前は山吹美里。アナタと同じ1年。勿論、人間よ。」
今まで気付かなかったが、よく見ると同じ一年のリボンをしている。
妹が居たとは知らなかった。良子も先生も一切そんな話はしていなかった。しかし思い返すと、美里の存在は彼女達の話の中の違和感として存在していた。
『だからさ、この話はあまり広めないで欲しいんだなー。ちょっと色々あってさ。私から聞いたってのもダメだからね。』
『変な噂が立って故人を辱める事は、私にとっても悲しい。でも、私なんかよりもっと悲しい人が居るのだから。』
良子は美里と当然顔見知りであり、同級生であり、家に遊びに行く仲だったのだ。あれは美里を気遣っての言葉だったのだろう。
先生は先生で、私が屋上で見た人物が美里である事を確信していた。土足で踏み入れてはならない領域を遠回しに注意してくれていたのだ。

「加藤さん怖がらせてごめんなさい。話、聞いてくれる?」
私達はフェンスにもたれかかって座り、美里が語る言葉に耳を傾ける。

私の名前は美里。私には5つ離れた姉が居た。それが自殺した美咲。幼い頃から私はお姉ちゃん子で、いつも姉さんの後ろをついて回っていた。本当に大好きだった。
小学生になってもそれは変わらず、中学生の姉さんを困らせた。私が駄々をこねるから、姉さんは部活にも参加しなかった。多分、仲の良い友達の誘いを断って私と遊んでくれていたんだと思う。
私が高学年になり、姉さんが高校生になってもその関係は変わらなかった。いつでも私と一緒。私は嬉しかったが果たして姉さんも同じだっただろうか。

191:屋上の幽霊 喪中 ◆bfuvSRTZj6
09/09/22 23:53:09 A81kAZyR0
でも当時の私はそんな事を考えられなかった。姉さんも私と一緒に居て幸せだと、心の底から信じていた。
ある冬から姉が遅く帰ってくるようになった。今まで夕方には家に帰り、私と遊んでくれていたのに。夕飯の時間になっても帰って来なくなった。最初は週に一度くらい。それから一ヶ月もすると週三度になり、帰る時間も徐々に遅くなっていった。
姉さんは両親に天文部で夜の観察会があると言ってた。実際、先生と一緒の写真を見せたりして、親を安心させていた。
だけど私は信じなかった。姉さんは私と一緒に居る事が苦痛になったんだ。私は姉さんに嫌われてしまったと思い、毎日泣いた。
毎年5月の連休は家族と旅行をしていた。それを期に姉と仲直りするつもりだった。今までごめんなさいと素直に謝ろうと思った。
でもその旅行の前に、姉さんと両親が大喧嘩して中止になってしまった。今まで見た事ないほど、父と母は怒っていた。いつも優しい父が姉さんを叩いた。優しい母が姉さんを庇おうともしない。
そんな喧嘩ははじめてだったので私は怖くなり、自分の部屋で泣いた。
連休中も姉さんは遅く帰ってきたり、帰って来ない日もあった。もう父も母も姉さんと会話をしていなかった。そんな毎日が続き、私は姉さんと話をするタイミングを完全に失ってしまった。
そしてその年の夏休み、その機会は永遠に失ってしまった。

朝の4時頃、警察から連絡があり、父と母は血相をかえて家を出て行った。とんでもない胸騒ぎがしたが、私は連れて行って貰えなかった。
怖くなり姉さんの部屋に入り姿を探したが、今日も帰っていなかった。私は姉のベッドに潜り込んで寝ようとしたが、胸騒ぎと足の震えで眠れなかった。
昼前に母だけが帰宅し、私の為に食事を作ってくれた。血の気が完全に引いていて、作っている時も私が食べている時も、一言も口をきいてもらえなかった。
居間に居づらかったので、私は姉さんの部屋にひきこもった。暫らくして、下から母の号泣が聞こえた。そんな母の泣き声で私はようやく何が起こったかを理解した。認めたくはなかったが。
夕方、父が帰宅するとその足で私達は警察署へ連れて行かれた。向かった先は地下だった。
白い布を被せられた姉の亡骸。全く現実感が無かった。


192:屋上の幽霊 喪中 ◆bfuvSRTZj6
09/09/22 23:53:51 A81kAZyR0
姉さんが死亡に至った経緯が説明された。
姉さんは4階建てのクラブハウスから飛び降りた。しかし即死は叶わなかった。今、その下にある低木の植栽は当時は一面桜の木だった。
姉さんは2階ほどの高さで一度太い枝に引っ掛かったが、その衝撃で枝が折れ、他の枝を巻き込み再度落下した。
地面に激突した時、その巻き込んだ枝は姉さんの体を背中から刺し貫いた。状況からして飛び降りた時間は深夜2時頃。発見者は宿直の先生で3時半。
そして驚くべき事にその先生が発見した時、姉さんはまだ息があったのだ。
背中から枝が貫かれ大量に失血して、全身を強打しあらゆる骨がバラバラになってもなお、意識があったのだ。
その先生は即救急車を呼び、姉さんの名前を大声で呼び続けながら手を握っていてくれたらしい。
しかし、救急車の到着を待たずして姉さんは息を引き取った。最期の言葉は「ごめんなさい」だったそうだ。午前3時40分。姉さんは死んだ。

長い沈黙。かけるべき言葉が見つからない。
夜空の星を見上げながら、私は込み上げる涙を抑える事が出来なかった。

桜の木は全て、夏休みが終わるまでに抜いてしまったそうよ。そして、あの低木が植えられた。まるで証拠の隠滅みたいに。皆が姉さんの事を忘れたいが為だけに。
そして、この下の花はね。懇意にしてくれていた佐山先生が今でも手を入れてくれていたの。姉さんの事をいつまでも忘れないようにと。

それから私は、姉さんの死がどうしても受け入れられなくて中学2年まで不登校になった。
父と母は互いに自責の念に苛み、うまくいかなくなった。そして離婚。私は母に連れられて母の実家に入ったの。
「もうどうにでもなれって感じだった。あの日、姉さんの日記を読むまでは。」

今までと打って変わってその冷酷な口調にゾクリとする。姉を慈しむ優しい口調に憎悪の火が灯るのを感じた。
火葬される時、身の回りの物を一緒に棺に入れるでしょ。それを母が選ぶ前に、私は姉の部屋に隠された一冊の日記帳を見つけた。
姉さんが死ぬ前につけていた日記。それがコレ。

美里は床に置いてあった革表紙の日記帳を指差して見せた。革のベルトが巻かれており、鍵がついて本来は見れないようになっている。しかしそのベルトは鋭利な刃物によって切られていた。


193:屋上の幽霊 喪中 ◆bfuvSRTZj6
09/09/22 23:54:35 A81kAZyR0
私は中学2年の時、その日記の存在を思い出した。鍵がどこにも見当たらなくてね。壊してまでして見ようとは思っていなかったし。
その当時、毎日家に引き篭もっていたから髪はボサボサ、肌はカサカサで、鏡を見る度に死にたかった。そこに写るのはあの綺麗だった姉さんの妹じゃなかった。だから、死ぬ前に、読んでみようと思ったのよ。

死ぬ前に?冗談に聞こえない。目が笑っていない。

それを読んで、私は姉さんに愛されていた事を知ったわ。私を嫌いになんてなってなかった。本当に嬉しくて、救われた気になった。
でも代わりに、姉の本当の苦しみを知ってしまったの。私は、復讐こそが姉さんの魂を救う事だと理解したの。

重い空気が足元に纏わりつく。この子、やっぱり少しおかしい。

「加藤さん、あなたに理解できるかしら。理解しようとする勇気、ある?」
美里は足元の日記を拾いあげると、私に差し出す。
「あなたは姉さんの夢を見た。これはきっと、姉さんがあなたにも理解して欲しいと願っているからなのよ。」
「読んでも読まなくてもいい。あなたにあげるわ。私にはもう必要ないから。」

そういうと、美里は階段のほうへと歩き出す。そして思い出したように振り返り
「忘れてた。姉さんの為にお花を供えてくれて、ありがとう。嬉しかったよ。」
そう言い終えると、足早に去っていった。姿が完全に消えるのを見届けて、全身が脱力する。

彼女は幽霊ではかった。しかしそこに居たのは紛れも無く、山吹美咲の亡霊だった。
私は振り返り下を覗き、想像する。美咲はここから飛び降りて、一度桜の木に引っ掛かり再度落下したという。
普通、この高さから飛び降りれば即死だろう。木に引っ掛かり助かった、ならまだ救いがある。
そして神はただでは死なせなかった。自殺という行為こそが罰するべき罪なように、彼女を串刺しにし地面に叩きつける。
すぐには死なさず、長い時間苦しめてから死に至らせる。これを罰とするならば、それこそが罪に思えてならない。
私はこの日記を読むべきか読まざるべきか。残された百合の花から、甘い匂いが漂う。
この日記は、美咲が死へと向かう全貌が書かれており、恐らく死の前日まで続いている。
読む勇気はあるか。


194:屋上の幽霊 喪中 ◆bfuvSRTZj6
09/09/22 23:55:16 A81kAZyR0
読むにしろ考えるにしろ、とりあえず汗を流してからだ。
一人になった屋上で私は呟き、一呼吸してから革の日記帳を抱え、下へ向かう。
着替えをとりに部屋に行くと、すでにお風呂からあがった智子が居た。突然教室から居なくなった事を非難されたが、気分が悪くて保健室に行っていた事を伝えると逆に心配してくれた。
お風呂からあがったのに化粧をしている智子に、どこか行くの?と尋ねると、最後の夜だからみんなで花火をするという。先生も公認らしい。
私も智子に誘われたがまだ体調が悪いからと断り、智子も納得してくれた。

脱衣所の鏡の前で美里の事を思いだす。
まさか生きている人間を幽霊と間違えるなんて。これだけ偶然が重なったとはいえ、今もきつねにつままれた思いだ。
本当に綺麗な子だった。佐山先生に見せられた美咲の写真と瓜二つだった。美里という人間が本当に居るのだろうかと不安になる。
しかしあれは人間だ。良子や佐山先生が言うとおり、美咲は5年前に死んでいる。嘘をつく理由がない。
湯船に鼻まで浸かり、また考える。
私が見た夢もなんだか妙だ。美里は、美咲が私にも理解して欲しくて夢を見せたのだと言っていた。果たして本当にそんな事があり得るのだろうか。
死んだ者が枕元に立つというのは良く聞く話だけど。それが20名以上も寝泊りしている中で、私だけである事の意味がわからない。結局、私にどうしろと。
いくら自問自答しても答えは出なかったが、私はこう考えるようにした。
美里は姉の秘密という痛みを背負い続け、たった一人で苦しんでいるのだ。美咲の秘密を共有し、私が美里の理解者になる。私が味方になる。一人で背負う痛みも、二人で分け合えばきっと楽になれるのだ。
なんだ、私にも出来る事があるじゃないか。つまり、そんな感じだ。
妙に納得し、お風呂からあがる。濡れた体をタオルで拭き、新しい下着に足を通し、Tシャツとジャージに着替える。

自販機でジュースを買い、部屋に戻ると丁度智子が外に出る所だった。
「少し遅くなるかも知れないから、先に寝ててね」と智子。
かも知れないって?と聞き返すと、男女が夏の夜に花火をするんだから、何があるかわからないじゃない、という答え。
本当にわからないのはこの子だと思った。


195:屋上の幽霊 喪中 ◆bfuvSRTZj6
09/09/22 23:56:10 A81kAZyR0
布団の上で大の字になり、目を瞑る。お風呂で一度は決意したもののまだ迷いが残っていた。
果たして私という人間が彼女の秘密を覗いてしまって良いのだろうか。『理解しようとする勇気はある?』美里の言葉が頭をグルグル回る。
ここまで来て何を悩む必要があるんだ。理解してやるさ。それであなた達の心が少しでも軽くなるのなら。
意を決して起き上がり私は革の日記を取り出してページを捲った。

日記は10月から始まっていた。しばらくは日常の事が書かれており、その話題の殆どは美里と保健医の佐山先生の事だった。
そこから少し読み進めると、ある人物が浮かび上がる。もう一人の「先生」だ。名前は書かれておらず、ただ先生と書かれている。
内容から美咲が「先生」に憧れていて恋心を抱いていると確信した。更に読み進めるとその想いが徐々に強くなっていき、12月から先は美里や佐山先生の話題を抜いて殆どが「先生」の内容になってきた。

12月20日
先生を屋上に呼んだ。私の想いを伝える為に。受け入れて貰えないのはわかっているけど、もうどうしようもない。先生が来てくれた時、それだけで満足してしまいそうになった。
私は勇気を出して先生に好きですと伝えた。少しの沈黙の後、先生は静かに首を横に振った。わかっていたけど、涙が止まらなかった。先生は教師で、私は生徒だ。叶うはずがない。悲しいけどわかっていた事。
中略。
12月24日
先生に呼び出された。恥ずかしくて顔を合わせたく無かったけど、気付くと屋上に向かっていた。先生は既にそこに居た。
突然、先生に抱きしめられる。一瞬何が起こったかわからなかったけど、暖かかった。自分の気持ちを誤魔化しきれない、俺もお前が好きだ。先生は確かにそういった。嬉しくて涙が出た。つい先日は悲しくて泣いたというのに。
先生の唇が私の唇を塞ぐ。私のファーストキスは美里に奪われているけど、ごめんね、先生。ありがとう。
中略。


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