09/11/28 20:00:12 lT58Jnbh0
知り合いの話。
仲間と二人で、地元の山を縦走していた時のことだ。
夕食を食べ終え片付けをしていると、何処からともなく音が聞こえてきた。
ポン、ポコン・・・と何か太鼓でも叩いているかのような、そんな音だった。
「狸囃子か。首吊り狸かな?」
「かもね。近頃は聞かないってことだったが」
そんな会話を交わし、各々持参していた刃物を取り出すと、山に向かって振り回す。
「研いでるぞー、だから切れるぞー、当たると痛いぞー!」
「でも出来ることならー、こういう物は使いたくないぞー!」
取りあえず闇の奥にそう叫んでから、刃物をザックの上に置いて休むことにした。
いつの間にか、あの囃子音は聞こえなくなっていた。
久しぶりの再会で酒を飲んだ夜、そんな話を聞かされた。
「何だそれ?」そう聞く私の顔が余程キョトンとしていたのだろう。
二人は笑いながら説明してくれた。