09/11/23 20:03:27 h+GGaiAu0
友人の話。
高校生の時分に仲間三人で、山に星を見に行った帰り道のことだ。
ダラダラと駄弁りながら歩いていると、トンネルが見えてきた。
「そういや、ここって出ると噂されているよな」
一人が面白そうにそう言う。
「行きも通ったけど何も出なかっただろうが」
そう詰まらなそうに返すもう一人の声を聞きながら、暗いトンネルに入った。
古い隧道であまり整備もされていないので、中に灯りはない。
懐中電灯を頼りに足を進めていく。
・・・何かおかしい。
それほど長くないトンネルの筈なのに、何時まで経っても向こうの出口が
見えてこない。
他の二人はそのことに気が付いているのかいないのか、中に入ってからは
ずっと黙りこくったままだ。
やがてトンネルが二股に分かれた場所で立ち止まった。
古い煉瓦とコンクリートで作られた壁の奥は真っ暗で、照らしてみても
その先が見えない。
「ここ、一本道だったよな」
自分の声が震えているのがわかる。