09/11/20 21:53:32 upwfS3PB0
知り合いの話。
彼がまだ幼い頃、隣の借家に移ってきた家族があった。
同い年の気のいい男の子がいて、あっという間に仲良くなったという。
親しくなった後に教えてもらったのだが、隣家は矢鱈と引越ししていたらしい。
他所に移る予定など何もない彼が羨ましがると、悲しそうな顔でこう言われた。
「あんまり良くないよ。
折角友達ができても、すぐに別れることになっちゃうんだし。
学校によっても授業の進み具合とか違うしね、勉強も大変だよ。
でも仕方ないんだ。追われてるから」
「追われてるって・・・一体何に追われてるの?」
好奇心丸出しでそう聞いてみた。
「うちってその昔さ、遠くの山奥で神主みたいなことしてたんだって。
でも廃村になるから社をたたんで村を捨てたそうなんだ。
そこで祀っていた神様っていうのかな、山の主様がとても怖い神様でね。
祀っていないと祟りを落とす暴れ神だったんだって。
だからうちは一所に留まれないんだ。
神様、執念深くてきっと追いかけてくるから。
幸い神様は足が遅いらしい。
身体が石とか岩でできているって話だから。
だから神様に追いつかれる前に、うちは引越しして逃げ続けてるんだ」