09/11/17 18:26:24 5s8Q8HvZ0
友人の話。
月の綺麗な夜、一人山道を歩いていると、行く手に黒い穴があった。
丁度、人がスッポリと入るくらいの大きさ。
落ちないように避けて進む。
高みに差し掛かった辺りで、月に照らされる山を眺めようと後ろを振り返った。
ギョッとした。踵の直ぐ後ろに、先程と同じような穴が口を開いている。
まるで穴だけが自分の後を付いてきたかのような、そんな想像をしてしまった。
足元に落ちていた石を、穴に蹴り落としてみた。
しばらくすると穴の縁が微妙に震え、ペッ!と勢いよく石が吐き出される。
慌てて石を避け、もう一度目を足元に向けた。
白々とした月明かりの下、もう穴などどこにも見えなかった。