09/10/03 18:45:21 9SNNAnnl0
(続き)
ここまで語ると、祖父さんは「ところでな」と話を変えた。
「返し矢って知ってるか?」
「この辺りじゃ弓矢の時代から言われとる、まぁ一つの古い呪いみたいなモンだ。
射かけた矢を取られて逆に射返されるとな、これが絶対に命中すると言うんだ。
だから返し矢。
他の地方でもあるかどうかは知らん。
弓矢を主に使ってた頃は、当たらなかった矢も出来るだけ回収してたそうだよ」
「猟師内じゃ『あいつ返し矢をされたんじゃないか』って噂されるようになった。
誰にかって?
あいつに撃たれた奴に決まってるだろ。
正体なんかわからんがよ」
「儂自身は返し矢とか、実のところ信じちゃいないけどな。
・・・案外と、大きな声じゃ言えねえ裏事情とかがあったのかもしれんし。
まぁ何にせよ、人型のモノに矢鱈目鱈と撃ちかけるモンじゃねぇってことだ」
ここで酒を呷ると、祖父さんは話を締めくくった。