09/12/08 07:10:29 txHz/2tC0
○視点を変えて、サスペンス風に
「もしもし! 私メリー、今駅にいるわ!」
全力で走り続けたせいで息が切れていたが、それでもメリーは受話器に向かって怒鳴った。
『よろしい。では次のチェックポイントを指示する』
「娘は!? 娘は無事なのっ?」
『きみが我々のゲームをクリアすれば、死体置き場で面会する事態は避けられるだろう』
電話の向こうの声は冷酷に告げた。
メリーの娘が誘拐されて3日。
警察も全力を挙げて捜査しているが、いまだ犯人の特定には至っていない。
そして今日、犯人はメリーに対し不可解な要求をしてきた。
一定時間内に指定された場所へ行け。間に合わなければ娘を殺す、と。
目的地まで辿り着くと、その周辺の公衆電話からまた新たな目的地が指定される。
犯人の意図は不明だが、メリーに選択の余地はなかった。
娘は無事なのだろうか。
「せめて声を、声を聞かせて」
やや間があったが、電話の向こうから聞きなれた声がした。
『おかあさん……』
「待っててね、おかあさんがきっと、きっと助けるから」
『うん……』
幼い娘のか細い声を耳にして、つい周囲の風景がにじむ。疲労でその場に崩れ落ちそうになる。
いけない、しっかりしなければ。ここでくじけるわけにはいかない。メリーは涙をぬぐった。
『次のチェックポイントだ。本町2丁目タバコ屋前の公衆電話。今から15分以内』
それだけ言うと電話はプツリと切れた。
メリーは受話器を放り投げ、駆け出した。
……いちおう犯人側からすると、メリーの手口を逆手にとってメリーに反撃してる話なのだが、
スレの趣旨から若干ズレてるような気がしないでもない。まあいいか。