09/09/12 15:55:23 8ei2DH/T0
夜中、道を歩いていると大きなマスクをつけた女が声をかけてきた
「私、綺麗?」
男は壊れた人形のように大きく何度もうなずく、しかしそれは恐れとは違う眼差しだった
そう男は口の大きい女が好みだったのだ
朽咲音女 27歳、春の訪れであった
それからの音女の変わりようはすさまじいものがあった、もともとスリム体型で長身、
切れ長の目、長い黒髪のアジアンモデル系、何より支えてくれる彼のおかげで性格が明るくなったのが
一番の効能だったのだろう、誰もが振り返る美人が出来上がるまでそれほど時間はかからなかった
そして三年後ヨーロッパでは屈指のプレタポルテのショーで颯爽と翻る音女の姿があった、
しかし客席から彼女を見守る男性は、あのときの彼ではなかった、
一年前、モデルの夢を追うために海外に移住した音女とすれ違いの末、破局を迎えていたのである
しかし彼女は鮮烈なデビューの後、地元新聞のインタビューにこう答えている、
「ここにいるすべての人、愛する婚約者、そして私に勇気をくれたあの人にありがとうといいたい」と