09/09/10 22:11:58 Pm0a7Zo10
639 :6/7:2009/09/10(木) 10:32:33 ID:hinMIqEV0
わざとダラダラと伯母と話し、落ち着いてからまた車を発進させた。
オーディオのスイッチを入れてみたら普通についた。
「あははは!」思わず声が出た。
ここまで来たら町に出るまでもうすぐ、かなり元気を取り戻して
ブルーハーツをがなりながら先を急いだ。
少し広い府道に出る手前の最後の集落を抜けようとした時、
ふとミラーが捻じ曲がったままなのに気付いた。
町に入れば後ろが見えないのは危険だ。
ミラーを元の位置に戻していくと、だんだんその中に・・・
嘘や!!なんで!?
後部座席にヤツが座ってる!!
満面の笑み。
こんな気持ち悪い笑顔は見たことが無い。
ヤツは笑いながら言った。
「当たるよぅ・・・」
ミラーの中に気を取られていた。
前方を見たら左側の岩肌が眼前に迫っていた。
体が動かない。
あかん!死ぬ!
そのとき、再び携帯が鳴り響いた。
ふっと体が自由になり、ブレーキを踏み込みハンドルを切った。
凄まじいブレーキ音と避けきれずホイールとボディを削る金属音。
府道に出る交差点のすぐ手前だった。
「だから崖のとこの方がよかったのに・・・」
か細い声が聞こえて恐る恐る振り向いた。
女は少し離れたところに立っていた。
元の無表情に戻っていた。
心なしか怒っているようにも見えた。