09/08/10 18:59:05 b17QNpMB0
日本史上最大の被害を出した獣害は、北海道であったヒグマによる事件。
この事件以後もヒグマの被害は続発し、北海道開拓の妨げともなっていた時期がある。
北海道をバイク旅行した時に言われたのは、『だから野宿なんかしないようにしろ』と言う事だった。
このご時勢に熊?
北海道が嘗てヒグマの被害に悩まされた経緯等知らない俺は、内心全く信じていなかった。
第一、熊なんて見たこともないし、時折事件になるにしても自分とは無関係な世界の出来事だった。
そんな訳で『気をつける』と言って旅館を引き払い、地図を見ながらこのあたりに野宿しよう等と考えていた。
バイク専用のホテルはあるが、別に夏から秋に掛けての時期なので夜の寒さは余り気にならなかったから
野宿でも問題ないだろうと考えていたのだ。
熊が出る云々など、この時は綺麗に忘れていた。
夕暮れ近くまで走り、国道沿いにある小さな公園を見つけたのでここで野宿することにした。
地図には載っていないが、周りに民家もないために不審者として通報される事もなさそうだったのが理由。
公園と言っても、今にも壊れそうなベンチとブランコと小さな砂場らしき物があるだけだった。
街灯もない為に月光以外に明かりのないこの公園は、耳鳴りがするような静けさだった。
明らかに手入れされていないこの場所は実に不気味で、一人きりで野宿する事を後悔した記憶がある。
闇が怖いと感じたのはこの時が初めてだった。
何しろ、自分の呼吸音すら周りに響いているのではないか?と言う位の無音の世界に取り残されると
早く朝になってくれと心のそこから思ったものだ。
一人用のテントの中に潜り込むと、MDを聞きながら早々に寝た。
何か人工の音を聞いていないと、怖かったからだ。