【霊感持ちの】シリーズ物総合スレ10【友人・知人】at OCCULT
【霊感持ちの】シリーズ物総合スレ10【友人・知人】 - 暇つぶし2ch2:本当にあった怖い名無し
09/06/17 15:19:44 CCUG5B5pO
いらないスレ

3:本当にあった怖い名無し
09/06/17 16:32:22 6nnXLPvV0
テンプレのまとめサイトは更新が止まっているので・・・

こちらが現在更新中のまとめサイト
URLリンク(us.eek.jp)

4:本当にあった怖い名無し
09/06/18 16:18:07 swjQX8lp0
>>1乙!

5:本当にあった怖い名無し
09/06/18 16:56:06 C6mrb7lui
絶対あそこに居るんだけど

6:本当にあった怖い名無し
09/06/18 17:01:45 ERrcn5lA0
>>4-5
前スレまだ埋まってないんだからあっち先に消化しろやksg


7:本当にあった怖い名無し
09/06/18 18:31:36 gV2vaxQF0
omaemona

8:本当にあった怖い名無し
09/06/18 19:41:20 kNSJlKGD0
埋めてきたぜ
1乙(・∀・)

9:本当にあった怖い名無し
09/06/18 19:51:47 Pj+PihXiO
>>1

10:1
09/06/18 21:49:32 ybisCE5N0
前スレの>>975です

前スレが980いってたから急いでスレ立てたのに、
「乙」も言わずに「テンプレ議論が未だなのに独断のスレ立て」とか言うやつ
それに対して、オレが「あと10レスやそこらでまとまらないだろ」って反論したら
「一日経っても埋まってないんだから議論できた」とか結果論ほざくやつ(上と同一人物かも知れないけど)

はっきり言って、めちゃくちゃ 不 快 だ
そんなに新テンプレが欲しいなら、950いく前に議論まとめとけ
それも出来ないくせに動いた人間に文句たれんなカス

もう二度と、このスレのスレ立てには関わらない
最後になったけど、「乙」って言ってくれた人たち、ありがと

11:本当にあった怖い名無し
09/06/18 21:55:43 9tDwlZmpP
どういたしまして

12:本当にあった怖い名無し
09/06/19 00:08:58 fx8KgiR90
いつものあれだと思うよ
ちょっとでも自分が気に入らないとすぐ難癖付けたがるから

13:本当にあった怖い名無し
09/06/19 00:55:28 fx3zQLeT0
さて、作家の書き込みを待つとするか・・・(´ー`)y─┛~~

14:本当にあった怖い名無し
09/06/19 05:02:48 EbQs//0ZO
更新したのに御祝儀投下もないとは。

15:本当にあった怖い名無し
09/06/19 05:30:18 wBFlTKpD0
ご祝儀。

─ =≡∧_∧ =
─ =≡( ・∀・)  ≡    ガッ     ∧_∧
─ =≡○_   ⊂)_=_  \ 从/-=≡ r(    )
─ =≡ >   __ ノ ))<   >  -= 〉#  つ>>2
─ =≡  ( / ≡    /VV\-=≡⊂ 、  ノ 
─ .=≡( ノ =≡           -=  し'
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|
                  |
                  |
                  | ~~~~~~~~~~~~~~~~
                  |


16:本当にあった怖い名無し
09/06/19 15:40:18 dTuYxqPD0
>>10
落ち着けよ
ただでさえこのスレには変なのいるんだから一々真に受けてちゃ持たないぜ
ともかくスレ立て乙

17:1
09/06/19 16:53:54 3BFa8za00
>>15
わらたw

>>16
確かに、昨日はちょっと頭に血が昇ってたなー
今は大分落ち着いたよ

しかし、
「お前が言っていることは筋が通らない」
「不快だ」
ってことは、その「変なの」にきちんと言うべきだと思ってさ

「周りはお前が可哀相でスルーしてるだけで、
本来ならお前の言ってることなんて一切通用しないから。」
ってことだけをはっきりさせときたかったんだ

スレ立ての話を長々とすまん、もうROMに戻ります
作者の方、気長に待ってますので投下よろ

18:本当にあった怖い名無し
09/06/19 17:00:25 fx8KgiR90
言い分はわかるけど、
あんまりしつこいと構ってちゃんに見えるよ

19:本当にあった怖い名無し
09/06/19 17:10:49 q5rFZVXB0
ウザッ

20:本当にあった怖い名無し
09/06/19 22:41:48 aM+3iozvO
今夜は花金

21:プール ◆oJUBn2VTGE
09/06/19 22:43:16 fg91v0gN0
太陽の中に水しぶきが跳ねた。
それが一瞬キラキラと輝き、眩しさに目を細める。空には雲が一つだけ浮かんでいる。目に見えない大気の層の向こうにまっさらな青い色が伸びていて、プールサイドのベンチに仰向けになっている僕にも、突き刺すような日差しとともに生ぬるい風が頬を撫でてくる。
「ひと、いませんねえ」
「……なにか、言ったか」
水音を涼しげに響かせながら師匠が腕を止める。
大学一回生の夏だった。午前中、ダラダラと師匠の部屋で無駄話をしていたが、あまりに暑いので昼下がりに二人連れ立って市内のプールへやってきたのである。
ところが今日あたりさぞ込んでいるだろうと思っていたそのプールが、ガラガラだったのだ。受付のおばちゃんがうちわで顔を扇ぎながら「今日はすいてるよ」とだるそうに言っていたときは「まさか」と冗談を言っていると思っていたのに、
更衣室を出て階段を登りプールサイドに立つと、僕は自分の目を疑った。
陽炎が立つ焼けたコンクリートの向こう、太陽の光が照り返す一面の水の中には誰一人泳いでいなかった。
これほどのプール日和だというのに、敷地の中には僕らのほか動くものの影ひとつない、奇妙な空間がそこにあった。
師匠は全く気にしない様子で準備運動もそこそこに泳ぎ始め、僕はプールサイドにあったベンチに寝転がり身体を焼くことにした。泳ぐのは得意でなかったのと、師匠があんまり「なまっ白い」といって馬鹿にするからだ。
「今日、土曜日ですよね。どうしてこんな日の真っ昼間にガラガラなんでしょう」
「暑くて外出たくないんじゃねえか、みんな」
そんなことはないだろう。暑い日にこそ繁盛するのがプールのはずだ。
「なんか、街なかでデカいイベントやってましたっけ」
「いや、特にないな」
「じゃあコンサートとか、サッカーの試合とかもなかったですかね」
さあ、あったかも知れないが、と師匠は言ったあと水に沈み込んでターンをした。

22:プール ◆oJUBn2VTGE
09/06/19 22:45:49 fg91v0gN0
「あったとしても、何万人だかの周辺住民すべてに影響するとも思えないな」
その通りだった。集客においてプールと競合するようなものがあっても、分母のデカすぎるゼロサムゲームだ。あるいはサッカーの日本代表の試合や甲子園の地元チームの出る試合ならテレビの前にかなりの市民を縛り付けるかも知れない。
しかしそれでも総和の半数もいかないだろう。残りの半数は依然自由意志で猛暑日のすごし方を選択するはずだ。そしてなにより、そんな番組は今日の朝刊には載っていなかった。
もやもやした頭のままタオルで目に入りそうな汗を拭う。
もう三十分以上経ったが、誰も入り口に姿を現さない。僕と師匠だけの無人の世界だ。
「なんか、このプールで感染症発生の噂があったとかでしょうか」
僕が言うと、師匠が泳ぎながら返す。
「ないな。だったらとっくに閉鎖してるだろ。一人二人の噂ならともかく、街中にガボガボゴベ広がってるなら事実がどうあれ取り合えず閉鎖だ」
なるほど。それにそんな話まったく聞かない。
他になにか、人々の足をプールから遠ざける要因がないか頭を巡らせた。
プールに入るという目的に対する阻害要因のうち、分母である不特定多数の住民の中の、少数の分子である入場客に影響を与えるものはなにか。
考えてもさっぱりわからない。少しは発想の転換をしようと、思いつくまま口にしてみた。
「周辺道路の通行止め!」
「そんな様子があったか?」
確かに人通りはいつもと変わらなかった気がする。
「料金値上げ」
「ずっと据え置きだ」
「今日から近所に最新プールがオープン」
「それはあるかも知れないな。でもそんな情報、二人とも今日までまったく目にしていない。同じようにそれを知らなかった人がガボガボガボ他にいないというもガボガボゴホゴホゴホ……ゴホッ、ゴホッ……変だろうが」

23:プール ◆oJUBn2VTGE
09/06/19 22:48:27 fg91v0gN0
確かに二人とも新聞はとっているし、ローカル情報番組もわりと見ている方だと思う。折り込みチラシでも見た覚えがないので、最新プールの新規オープンはあまり現実的ではないように思えてきた。
なによりプールの窓口のおばちゃんが小首を傾げていたではないか。
「泳ぎながら喋るからですよ」と声を張り上げてやると、師匠は軽く咳き込みながらクロールのままクルリとターンをする。
見上げると、遥か上空を鳥が泳いでいる。その空の下に師匠が立てる水音だけが響く。
誰もいないプールはどこか現実感が希薄で、ジリジリと焼け付く太陽の光も身体の表面を舐めるばかりで魂の奥底までは届かない感じがする。
そろそろ泳ごうかな、と身体を起こそうとしたときだ。
視界の端に、水の中からプールサイドへ、ざばりと上る人影が目に入った。
なんだ、一人いたじゃん。
やけに青白い背中を見ながらそう思った瞬間だ。そんなことはありえないことに気づく。
僕は敷地のすべてが見通せる場所にいて、誰もいないことはずっと見ていたはずなのだ。
僕らがプールサイドに足を踏み入れてからずっと水の中に潜っててでもいない限り。
ゾクゾクと身体の中から急激に冷え始めた。
そんなはずはない。生身で三十分以上潜っていられる人間なんているはずがない。
学校指定のような水泳パンツをはいて、頭には青いキャップ。後ろ姿だけ見ていると小柄な男の子のようだ。
その背中が、振り返りもせず入り口の方へ遠ざかっていく。
ゆらゆらと揺れながら。
僕は身体を起こそうとしたその姿勢のまま硬直して、喉だけがひくひくと動いていた。
「……あ、あれ」

24:プール ラスト ◆oJUBn2VTGE
09/06/19 22:50:40 fg91v0gN0
ようやく言葉を発すると、水しぶきを派手に上げていた師匠がピタリと止まって僕の視線の先を見た。
揺れる背中が階段へ消えていく所だった。
スーッと師匠が僕の方へ寄ってくる。
「やっと諦めたか」
なにを言っているのかわからず、「はあ」と聞き返した。
「さっきから、ずっと水の中で足を引っ張ってきてたんだ」
プールサイドに肘を乗せて師匠はそう言った。
もう男の子の姿は見えない。
「ちょっと水飲んじまったけど、完璧無視してやったらついに諦めたらしいな」
ニヤニヤと底意地の悪そうな顔をする。
この人は、ずっとあの子の存在に気づいていて、なおかつこの僕とプールに人がいないことについて無駄口を叩いていたのか。
唖然として二の句が継げなかった。
「ここで死んだ子どもの霊かなにかだろう。で、今日は命日ってとこじゃないか。そうとうヤバイやつらしいな。周辺住民の深層意識の中に、今日はプールに行きたくないっていう心理を刷り込むほどに」
プールがガラガラだったのは、みんなの無意識の自己防衛本能だというのか。
だったら今日来ている僕らはなんだ。
男の子の去っていった方向に、水が滴った跡が伸びている。そこから陽炎が揺らめき立っているように見えた。
「そんなこともわからないのか」
と師匠は笑いながら言った。
そのとき、なんだかこの夏は、僕の知っている夏ではないという、確信にも似た予感が胸のうちにわいてきたのだった。
「とっくに踏み出してんだよ」
師匠はそう言うと、背面で水の中に飛び込んでいった。
バシャン、という音が耳を打ち、ついで「楽しいぞぉ」という声が空に弾けた。


25:また ◆oJUBn2VTGE
09/06/19 22:51:31 fg91v0gN0
明日

26:本当にあった怖い名無し
09/06/19 22:55:28 uSdl9jsXO
いらっしゃいw
ウニ乙
楽しみにしてます。

27:本当にあった怖い名無し
09/06/19 22:59:18 QiSFLLp60
また明日

うれしい言葉

28:本当にあった怖い名無し
09/06/19 23:00:54 KotofgqKO
ウニさん乙でしたノシ
明日も楽しみだ~


29:本当にあった怖い名無し
09/06/20 00:25:24 Pzyc8ikY0
うにいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!

30:本当にあった怖い名無し
09/06/20 00:35:59 cMnuklJ00
ずっと待ってた甲斐があった~

31:本当にあった怖い名無し
09/06/20 01:05:20 Zze2RLQVO
フオオオオオオオオオ!ウニさんキタ―――!!!!
おまけに明日もだと…?
ああなんて素晴らしいんだ俺の人生。


そうめん事件の前後か…
それにしても師匠は相変わらずいいキャラしてる。

32:本当にあった怖い名無し
09/06/20 03:10:36 qjCnyaTf0
乙です。
一足早く夏を感じた。

33:本当にあった怖い名無し
09/06/20 07:22:56 Or1VPjslO
>>25
乙です!スクール水着で正座して待ってます!

34:本当にあった怖い名無し
09/06/20 07:37:13 2LL8byGIO
安い人生だな

35:本当にあった怖い名無し
09/06/20 07:55:29 qsTVskyp0
>「とっくに踏み出してんだよ」

期待してますよ!

36:本当にあった怖い名無し
09/06/20 18:03:41 2kBj7kQm0
>>25
期待して待ってます!

37:本当にあった怖い名無し
09/06/20 22:59:50 aieKoyL8O
ウニまだー?

38:本当にあった怖い名無し
09/06/20 23:01:29 S0iOEN1H0
師匠のほう来てる


39:本当にあった怖い名無し
09/06/20 23:56:36 MjzJokaP0
スレリンク(occult板)
の922~。
こっちじゃなかったのね。

40:本当にあった怖い名無し
09/06/21 00:24:06 CPg6MC1W0
んでその次は洒落怖の83~

スレリンク(occult板:83-番)

連投でおサルさんに苦しんでいる模様…

41:本当にあった怖い名無し
09/06/21 00:59:13 dCWu0ef10
別のスレに投下するとまとめに載らない云々と暴れるキチガイも、ウニだけは容認してるのかw

42:本当にあった怖い名無し
09/06/21 01:27:10 uBY6oK3S0
内容の怖さとかで書くスレを分けてるからじゃないか?
田舎後編を除けば一応話を完結させてるし。
何だかんだと文句は言っても、それなりの質は保ってるわけだしね。

43:本当にあった怖い名無し
09/06/21 06:01:46 Grj7yoPtO
海産物も認める
いらないスレ第一位

44:本当にあった怖い名無し
09/06/21 12:10:04 tkryqmhzO
まぁ、師匠スレ以下ってことだわな
スレタイの厨臭さが此処の全てを表してるもの

45:本当にあった怖い名無し
09/06/21 15:23:56 K5Fvba6/O
>>42
怖くないのが一番オカルト
ウニはこのスレか師匠スレに書いてくれ

46:本当にあった怖い名無し
09/06/21 15:44:23 sOvHSOtq0
>>45
書き手が「洒落にならないほど怖い」と思ってるなら、
洒落コワに書くことは何ら問題ないだろ
(書き手がそう思ってないのなら、スレチになりうるけど)

それとも、「客観的な怖さの基準」ってのがあると思ってんの?
どんな話を怖いと思うかなんて人によりけりだし、おまいが怖くないと思う話を怖いと思う人もいれば、その逆もまたしかりだ
自分の価値観が世界の全てだと思うな

47:本当にあった怖い名無し
09/06/21 16:25:42 7EiFa3im0
少なくともこのスレ怖さ関係ないからどーでもいい話。
その辺の議論は洒落コワでやって。


48:本当にあった怖い名無し
09/06/21 23:01:01 V/3cRNwG0
シリーズ物自体、洒落怖から追い出されたような物だし向こうでわざわざ波立てる事ないのにな。
ウニが何を拘っているかは知らないけど、ここに投下される駄作と一緒にしないでくれ、というならそれも然りだ。
洒落怖自体終わってるからどこに投下しても同じだけどさw

49:本当にあった怖い名無し
09/06/21 23:16:39 hP/5kpeqO
洒落怖でずっと書いてきたからじゃね?

50:本当にあった怖い名無し
09/06/21 23:23:59 jcAkLfoKO
つーかこのスレで書いてて他にも書いた人はウニだけしかいないのか?

51:本当にあった怖い名無し
09/06/22 00:03:38 cRdN7wgb0
しかし洒落怖の終わってる具合は凄いな。
あのスレもうなくてもいいんじゃないか?

52:本当にあった怖い名無し
09/06/22 00:04:39 LDSGriIZ0
少し前まではもっと乱立ひどかったから、収まってきた方だよ。

53:本当にあった怖い名無し
09/06/22 00:21:47 pbvQmDOs0
シリーズものに書けば洒落怖行け
洒落怖に書けば師匠スレ行け
師匠スレ行けば、「わーウニだー」
茶筒…開かな~い

54:本当にあった怖い名無し
09/06/22 03:28:28 cRdN7wgb0
師匠をこのスレに書いて洒落怖に池なんて言われたことあったか?

55:本当にあった怖い名無し
09/06/22 03:45:50 pbyqEd0GO
>>48
洒落怖に投下しなければ叩かれない
シリーズ物は散々怖くないと言われ、ウニに至っては専用スレまでできた
2chで知名度やら人気やらは関係ない
洒落怖に書く理由は無いな

56:本当にあった怖い名無し
09/06/22 04:01:07 nei35vpn0
もはやオカルトでも何でもないし。
ただの読み聞かせスレ。
創作文芸板行けよ。


57:本当にあった怖い名無し
09/06/22 08:46:54 E03V0V3XO
あまりに個人的な意見だとは思ってるけど、ウニ氏には洒落怖に投下して欲しいな
荒らしから追い出されたまんまじゃ悔しいじゃん…

58:本当にあった怖い名無し
09/06/22 09:26:47 A9c6cOO80
ウニは洒落コワに来るな!
氏ね!

59:赤緑 ◆kJAS6iN932
09/06/22 09:45:46 W217a/1e0
[対峙(中)]
1/11
美加…。

古乃羽からの異常を察して、すぐに電話したのだろう。
霊感の有無は関係なく、彼女には注意しなければと思っていたが、やはり…。

舞「もしもし…美加さん?もしもし…」

さて、どうする?
このまま切る?
いや。それではつまらない。彼女のことを知るチャンスでもある。少し遊んでみるかな。

私「あ、あの…」
美加の携帯で、私は普段の口調で答える。
私「あ、すみません。えっと、美加の携帯触っていて…そうしたら掛かってしまって。あの、ごめんなさい」
舞「……」
私「えっと、あの、すぐ切りますね。本当にごめんなさい」
舞「美加さんに代わってくれる?」

私「えっと、美加、ちょっと今ここに居ないので…。その間に触っていて、なので」
舞「そう…」


60:赤緑 ◆kJAS6iN932
09/06/22 09:48:50 W217a/1e0
2/11
私「はい。あの、ごめんなさい。それでは…」
舞「待って」
私「…はい?」
しつこいな。

舞「あなた、お名前は何ていうの?」
私「私?えっと…佳澄、です」
私の名前は知っているかな?弟から聞いている?いや、知らないだろうな。

舞「そう、佳澄さん…」
私「はい」
説教でもするつもり?面倒な人ね。

舞「残念だけど、あなたの異常さは、電話越しでも分かるわ」

……
なんだ。ダメか。
私「あら…。やっぱり、分かっちゃった?」
舞「どんだけ取り繕っても、隠せないものはあるわよ」

まぁそうだろうな。私の思い描いていた相手なら、隠し通すのは無理だろうと思っていた。買い被りではなかった訳だ。


61:赤緑 ◆kJAS6iN932
09/06/22 09:51:59 W217a/1e0
3/11
私「では、改めまして…こんばんは、舞さん」
舞「こんばんは、佳澄さん」
さて、どれだけ探れるかな?

私「まさかこんな形で話すことになるなんて、思ってなかったな」
舞「そう…。2人は無事なの?」

2人。美加と古乃羽のことだろう。
でも私は、今ここに古乃羽も居るとは言っていない。
カマを掛けている? これは隠すべき?
…いや、隠す意味も無いか。どうせすぐに分かることだろう。

私「もちろん。ちょっと気を失っているだけよ。”まだ”何もしてないわ」
そう言いながら向こうの気配を探る。
…静かだ。外では無い。どこかの建物の中。誰の声も、気配もしない。
1人で居る。時刻は20時前…十中八九、家の自室だろう。

舞「何が目的なの?」
私「目的、ねぇ…」

もし彼女が今からここに向かうとして?
雨月家の住所は知っている。ここまで車で20分…いや、急げば15分。
でも彼女は免許を持っていない。それは分かっている。こんな所であの情報が訳に立つとはね。
と、なると…?


62:赤緑 ◆kJAS6iN932
09/06/22 09:56:04 W217a/1e0
4/11
私「私ね、欲しいものはどんな手を使ってでも手に入れるタイプなの」

私はテーブルの上に置いてあった古乃羽の携帯を手に取る。
マナーモードに変えてから、メールを打つ。宛先は雨月光一。
メールの内容は、「今、どこにいる?」

私「それと、自分の邪魔をする人は、決して許さないわ」
舞「つまり2人が欲しいのね。それで、邪魔者っていうのは私のことかしら?」
私「えぇ、そう。ハッキリ言って、物凄く、邪魔よ」

すぐにメールの返事がくる。さすが彼氏さん。
「家に居るけど、どうかした?」

家か。舞に”足”はある訳だ。
15分。私が今から車を呼んで2人を運び出す時間は…10分も掛からないだろう。私の”足”はすぐ近くに待機している。

舞「随分と嫌われているのね…」
私「それはそうよ。思い当たること、あるでしょ?」

舞が動き出すのを確認してからでも遅くは無い。
今はまだ…こちらのカードが完全に揃うまでは、会うのは避けたい。用心するに越したことは無い相手だ。それは認めざるを得ない。


63:赤緑 ◆kJAS6iN932
09/06/22 09:59:18 W217a/1e0
5/11
しかし、妙だな。

舞「何か気に障ることしたかしら?まだ会ったことも無いのに」
向こうには動く気配が一切無い。
部屋から出るような音も、弟を呼ぶこともしない。ただ部屋に居座ったまま、普通に電話をしているだけだ。

私「どこで恨みを買うかなんて、分からないものよ?」
助けに来ることを諦めているのだろうか?
…いや、それは無いだろう。
2人を連れ出すタイミングで連絡がいってしまったのは、こちらにとって不測の事態だ。
それは分かっているはず。向こうにとってはギリギリで巡ってきたチャンスと言える。
それに、諦めること=2人の死だから、そんな簡単に―

…まさか?

舞「勝手な言い分ね。そんなに自己中心的な考えをしていたら、ダメよ?」

こちらの機嫌を損ねるようなことを平気で言う。
この状態で普通、言うだろうか?友人の命が掛かっているのに。
この余裕は、やはり…

私「ひどいな、そんな。古乃羽に何かあったら、弟さんも悲しむんじゃない?」
舞「…」
私「彼女の自慢の目でも抉り取って、弟さん宛で送り届けてあげましょうか?」


64:赤緑 ◆kJAS6iN932
09/06/22 10:02:54 W217a/1e0
6/11
弟を使って軽く挑発をしてみる。
舞「悪趣味なのね」
私「2人とも可哀想だな…。お姉さんのこと、大好きだって言っていたのに」
舞「…それはあなたが言うことではないわ」

攻撃的だ。こちらを説得しようなんて、欠片も思っていない。
私「そう、確かにね」
舞「それにね…佳澄さん」
私「何?」

舞「光一もその2人も、私のものなの。…この意味が分かるかしら?」

私「へぇ…」

やはりそうだ。彼女は…
私「なるほどね…。すごくよく分かるわ」
私と、同じだ。
そしてこの言い分。それは1つの事実を意味する。間違いなく、腹立たしい事実を。


65:赤緑 ◆kJAS6iN932
09/06/22 10:06:12 W217a/1e0
7/11
私「…今日はもう、これでいいわ。話疲れちゃった」
舞「……」
私「また今度。そのうち、会うことになるでしょうね」
舞「そうね…」
私「じゃあそのときまでね。さようなら、舞さん」
舞「さようなら、佳澄さん」
そう言って私は電話を切った。

ヤレヤレといった感じで部屋を見渡す。
美加と古乃羽は気を失い、倒れたままだ。
私はしばらくそこで考え、自分に問う。

…答えは「No」。

ありえない。冗談じゃないわ…。

私は自分の携帯を取り出し、車を呼んだ。



66:赤緑 ◆kJAS6iN932
09/06/22 10:09:44 W217a/1e0
8/11
―20時ちょっと過ぎ。

古乃羽からのメールに返信してから、しばらく待つがなかなか返事が無い。
うーん、一体何だったのやら。確か、神尾さんの家に行くって言ってたけど…。
ちょっと電話してみるか、と思ったところで、ドアがノックされた。

舞「光一、ちょっといい?」
姉だ。
俺「んー、何?」
ドアを開けると、出掛ける準備をした姉が立っていた。

俺「あ、どこか行くの?」
舞「車を出してくれない?美加さんの家まで行きたいの」
俺「あぁ、呼ばれた?確か古乃羽も行ってるよ」
舞「そうみたいね」
俺「着替えるから、ちょっと待ってて」
俺は部屋着から着替え、出掛ける準備をする。

免許を持っていない姉は、俺に時々車を出してくれるようにお願いしてくる。
「とある高速道のトンネルに行きたい」とかいう謎の目的地を言うこともあるが、
運転は好きだし、何しろ姉のお願いなので、断ったことは一度もない。…はずだ。


67:赤緑 ◆kJAS6iN932
09/06/22 10:13:29 W217a/1e0
9/11
簡単な準備を済ませ、姉を乗せて家を出る。
ここから神尾さんの家まで、この時間なら15分もあれば着くだろう。
以前行ったときは電車と歩きだったが、道は分かっている。

俺「さっき古乃羽から、どこにいる?ってメール来てさ」
運転しながら姉に話しかける。
舞「何時頃…?」
俺「ついさっきだよ。10分くらい前かな?で、家に居るよ、って返事したのだけど、このためだったのかな?車を出せるかって」
舞「そう…かもね」
ん。なんか様子が変?

俺「具合、悪いとか無い?」
舞「ん?平気よ」
俺「そう…。何か元気ないように見えたからさ」
舞「…少し考え事をしていただけ」
俺「ならいいけど」
舞「光一もお母さんと一緒で、心配性ね」
姉はそう言って窓の外に顔を向ける。ちょっとふくれたかな?
そりゃまぁ、過度に心配されるのは嫌かもしれないけどさ。


68:赤緑 ◆kJAS6iN932
09/06/22 10:16:57 W217a/1e0
10/11
やがて神尾さんの住んでいるマンションの前に着く。
俺「ここだよ。ここの303号室。帰りはどうする?迎えに来ようか?」
舞「そうね…ちょっと待ってね」
姉は車から降りず、目を閉じる。
…なんだ?やっぱり、具合悪いのかな?
そう思って声を掛けようとすると、姉はすぐに目を開けてこう言った。

舞「…光一も来て」
俺「え…俺も?」
舞「そう。車置くところ、あるかしら?」
俺「あぁ、それはあっちにあるけど…良いのかなぁ。だって、女の子だけでしょ?」
舞「緊張する?」
俺「いや、しないけどさ…」
舞「…何か変なこと考えている?」
俺「んなっ…」
舞「冗談よ。車置いてきてね。ここで待っているから」
そう言って降りる姉。
俺は大人しく車を置いてから戻り、一緒に部屋に向かった。


69:赤緑 ◆kJAS6iN932
09/06/22 10:20:21 W217a/1e0
11/11
神尾さんの部屋に向かいながら考える。
姉があんな冗談を言うのは珍しい。いや、初めてかもしれない…?
やっぱり、ちょっと様子がおかしい気がするなぁ…と、何となく顔を見てみると、向こうもこちらを見ていたようで、目が合った。

俺「ん、何?」
歩きを緩めて、聞かれる前に聞く。
舞「…」
しかし姉は何も言わずに視線を逸らす。やっぱり変だ。具合が悪いなら、無理にでも連れて帰らないといけない。
俺「あのさ…」
舞「光一」
思ったことを言い出そうとしたところで、言葉を被せてきた。
俺「何?」

舞「何かあったら…ごめんね」

俺「…?」
何かって…何?
舞「早く行きましょ」
そう言って少し早足になり、先に歩いていく。
頭の中にハテナが一杯になったが、俺もそれに続いた。



70:本当にあった怖い名無し
09/06/22 11:33:18 M8At6Me20
おつです

71:本当にあった怖い名無し
09/06/22 13:24:28 E03V0V3XO
>>58
よそのスレまできて騒ぐな
赤緑氏の作品でも読んで落ち着けよ

72:本当にあった怖い名無し
09/06/22 16:06:58 Mugs87dFO
続き気になる~
ハァハァ フウ…

73:本当にあった怖い名無し
09/06/22 17:20:20 jvA+UUmX0
同じく気になる
ヒッヒッ フゥ-

74:本当にあった怖い名無し
09/06/22 17:25:47 ERp0XnAe0
産むのかよ!

75:本当にあった怖い名無し
09/06/22 17:29:52 lgix9bCj0
産ませてよ!

76:本当にあった怖い名無し
09/06/22 19:03:14 ZzaQ4zrtO
認知してよね!

77:本当にあった怖い名無し
09/06/22 19:04:31 Php6OvRd0
>>58
一行目の「ウニは洒落コワに来るな!」から
即、「氏ね!」となる論理の飛躍ぶりが素晴らしいね。
これだけ書いた人間の支離滅裂さが如実に現れてる文章もなかなか無い。

さて

78:本当にあった怖い名無し
09/06/22 19:30:04 6tUSAJ8t0
>>77
スルーしとけよ

79:本当にあった怖い名無し
09/06/22 19:35:41 LDSGriIZ0
スルースキルないんだろ

80:77
09/06/22 20:26:39 Php6OvRd0
>>78
>>79

確かにオレはスルースキルないかも知れんが、
それに対してコメントする君らも同様にスルースキルないなw

81:本当にあった怖い名無し
09/06/22 21:20:04 pbyqEd0GO
赤緑さんが来ていた

82:本当にあった怖い名無し
09/06/23 00:16:28 BXUBsKU5O
ウニ祭りの興奮冷めやらぬうちに投下って




赤緑、勇気あるなw

83:本当にあった怖い名無し
09/06/23 01:17:16 cDq2tgyR0
>>78>>82
読んでたら、イカ揚げ食べたくなってきた。何でだろ
スルスル言ってんだから、スルメが食いたくなるほうが妥当だと思うんだが
ウニと見ると磯の香りが、箱入りが、あぁ。。。

84:本当にあった怖い名無し
09/06/23 01:56:01 r3s+rB6n0
>>80
多分 73の流れを今少し続けたかったんじゃないか?
だから、気にするなよ!

85:本当にあった怖い名無し
09/06/23 05:00:37 Ptdn3leLO
>>72だけど~
ごめ~んなんか、変な流れつくっちゃたぁ?
でも 産ませてって 上手いなぁ すきよそういうこと ウフン

86:本当にあった怖い名無し
09/06/23 05:41:32 r3s+rB6n0
>>85
イイよ、イイよ、ごっつ良えよ。
なんかよう分からんけど、ホンマにええなぁ。
天から御言葉が降りてくる迄はただのグダグダやから。
ほやから、何でもありやん?
でも、続きで、「俺は認めへんぞ~!」って言うてみたかったなぁ。

87:本当にあった怖い名無し
09/06/23 08:15:18 KC8ta9p00
口直しにオセロやろうぜ

□□□□□□□□
□□□□□□□□
□□□□□□□□
□□□○●□□□
□□□●○□□□
□□□□□□□□
□□□□□□□□
□□□□□□□□


88:本当にあった怖い名無し
09/06/23 08:22:12 vbjBd7XCO
>>82
最近じゃ、シリーズ物としても赤緑氏の方が上になった

89:本当にあった怖い名無し
09/06/23 08:41:33 pTEragI00
      ,一-、
     / ̄ l |   / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
    ■■-っ < んなーこたーない
    `∀´/    \__________
   __/|Y/\.
 Ё|__ | /  |
     | У...  |

90:本当にあった怖い名無し
09/06/23 09:00:03 DwcAt5kuO
赤緑氏乙です。
っつーか、先読めちゃった気がする。
その展開だけは勘弁してくれ(´・ω・`)

91:本当にあった怖い名無し
09/06/23 12:19:00 xAp6Kih70
赤緑って投下以外のカキコしたことある?

92:本当にあった怖い名無し
09/06/23 15:56:46 iOnBIXKWO
投下以外のカキコはない、くらいのほうが懸命だろうな。
ただでさえアンチと信者で荒れるのに、そこに作者が入ってくると輪をかけてヒドクなる。
聞きたいことはあるかもしれないが、考察してるくらいがちょうどいいだろ。


93:本当にあった怖い名無し
09/06/23 17:07:08 Kjl0K9O40
最近、早朝に投下してた人見ないな

94:本当にあった怖い名無し
09/06/24 06:44:24 RO9JVvPf0
早朝バズーカ! ≡3

95:本当にあった怖い名無し
09/06/24 23:50:43 SKQYzvoFO
だれもいないの?
淋しい(TωT)ウルウル
私下手で何も書けないから 書ける人の投下待ってます。

96:本当にあった怖い名無し
09/06/25 00:45:22 a+L038V5O
教授終わった
兄ちゃん好きだ、漏れ...

97:本当にあった怖い名無し
09/06/25 05:44:09 9C5WhIcHO
教授はあまり好みではなかった…ネタ的に

98:本当にあった怖い名無し
09/06/25 07:30:11 XJCYN1pw0
前スレの◆mYnWQYHvl.の話が面白かった
また来て欲しい

99:本当にあった怖い名無し
09/06/25 08:40:51 Jb2dNqT5O
トンガラシがオカ板に撒いたっていう話って誰かが回収してくれたんだっけ?

100:本当にあった怖い名無し
09/06/25 09:05:19 hUg3hRQc0
なにそれ?

101:本当にあった怖い名無し
09/06/25 13:21:01 Jb2dNqT5O
>>100
「とっておきの話をしようか?」で始まる、未完作品のみで構成されたシリーズ
このスレにも一話だけ投下があったと思ったが…もしかして、オレ勘違いしてる?

102:本当にあった怖い名無し
09/06/26 07:02:17 EpIkOfrW0
【芸能】マイケル・ジャクソン、呼吸停止状態で搬送=米メディア
スレリンク(mnewsplus板)

103:本当にあった怖い名無し
09/06/26 15:44:11 hiZmy7It0
>>101
み…未完成作品のみ!?
さすがにそれは遠慮したいかなぁ(汗

104:本当にあった怖い名無し
09/06/26 17:30:29 zv4TyTeN0
tes

105:本当にあった怖い名無し
09/06/26 18:46:33 MKC9JetbO
>>96 教授マンセーはなんで一々ここに書くの?バカなの?


106:本当にあった怖い名無し
09/06/26 20:39:55 mLqV/ZDH0
>>105
なんで1日以上前のレスに今頃かみつくの?バカなの?

107:本当にあった怖い名無し
09/06/26 23:57:43 t7iiNKWJP
>>105
蒸し返し、乙
>>96


108:本当にあった怖い名無し
09/06/27 00:05:53 snhFArc2O
トンガラシは話的には好きなんだが、完結しないところがイラッとするんだよなぁ。
なんつーか、ハンター×ハンターの富樫みたいな感じ?
内容的には悪くないしファンも多いのに「おいおい、そりゃねーだろ・・・」みたいな。
書くからには、キチンと完結させて欲しいんだよな。

109:本当にあった怖い名無し
09/06/27 01:19:51 MGFz0fwuO
>>108
激同

ただその完結に辿り着く為のパーツとしての残り二話だか三話だかを、オカ板の複数のスレにバラバラに投下します…
みたいな書き込みがあったよね?某過疎板に投下された「妹編」みたいなのは誰かがリンク貼ってくれたから読めたんだけど、その後はどうなったのかと思って

マジで知ってる人いないですかね?

110:本当にあった怖い名無し
09/06/27 07:59:57 speHv+Mv0
test

111:本当にあった怖い名無し
09/06/27 10:37:45 zmDluLGS0
話を組み立てて、完結までもっていく力が無いだけじゃないかね。

物語の始まりってのはwktkで何でも面白いもんだ。
それを最後まで、自分でも飽きずに続けるってのがシリーズ物の一番大変な所だと思う。
それができないのだろうな。

112: ◆EXIyLXnLEI
09/06/27 13:58:35 speHv+Mv0
長いことアク禁喰らってた。
プロバイダ変えたいが家の都合で変えられない。
悲しい。
コテ鳥推奨になっているので取って見た。
高校生のとき演劇部の人です。
また、長いです。
そして、まだ怖くないです。

113:みどりさん ◆EXIyLXnLEI
09/06/27 14:02:45 speHv+Mv0
1/4
自分は霊感がないと思っている。
自分が高校生のときの冬休み、実家のばあちゃんの家に行った。
ばあちゃんは既にボケていた。
ばあちゃんは子供の頃裕福な家だったらしく、
家にはお手伝いさんがいてなんでも世話をしてくれたらしい。
そして、ばあちゃんはその頃に戻ってしまっていた。
ばあちゃんの家に入る前に、母から注意された。
「おばあちゃんは病気でボケちゃったの。ヘンな事言うかもしれないけど、
 話しを合わせてあげるのよ。ぜったい、違うとかおかしいとか言っちゃダメよ」
自分は取りあえずうなずいて、憂鬱な気分で家への引き戸を開けた。
この気分は病気になる前のばあちゃんを知っているから感じるのだろう。
いつも饅頭やら餅やら食べさしてくれたばあちゃんが
今や自分のこともわからないと聞いたときからこの気持ちはある。
そして、実際に会うとなると、ものすごく憂鬱だ。

114:みどりさん ◆EXIyLXnLEI
09/06/27 14:04:44 speHv+Mv0
2/4

ばあちゃんに会いに行くことになったのは一本の電話からだった。
「ばあちゃんがそろそろ危ないの」
父のお兄さんのお嫁さんから電話があった。
どうやらボケが進行しているのと別に身体の機能が低下していて、
たまに自発呼吸も止まってしまうらしい。
ボケていても家が大好きなばあちゃんは絶対に入院しないと言い張る。
身体の機能が低下しているだけで、脳以外どこも悪くないそうだ。
まあ、98歳まで生きればそのくらいなるか。
家族はそう納得して、自宅で介護していた。
何日か前の午後、ふとばあちゃんを除いたら真っ青な顔をして
ばあちゃんが寝ていた。
びっくりしたお嫁さんが救急車を呼び一命を取り留めたが
どうやら呼吸をしていなかったらしい。
(老衰・・・)
家族はそう思った。
ばあちゃんはボケているので、ぎりぎり一命を取り留めたのに、
気が付くと、
「私を家に帰せ!」
と病院で暴れたらしい。
医者から、病院で人工呼吸器をつけて延命するか、
自宅で過ごす(延命しないか)選んでください見たいな事を言われたそうだ。
親族会議の結果、ばあちゃんの大好きな家を選択した。
それから、親戚一同時間の許す限りばあちゃん家に訪問することとなった。
そして今日、自分はばあちゃんがボケてからはじめての訪問だった。
これが今生の別れになるかもしれないと言われると。
会うのが憂鬱だ、そんな事は言っていられない、そんな感じだった。
しかし、現実は・・・かなり憂鬱だ。

115:みどりさん ◆EXIyLXnLEI
09/06/27 14:05:31 speHv+Mv0
3/4

「こんにちは、ばあちゃん来たよ!」
いつものように引き戸をガラガラあけて土間に入る。
すると、奥からお嫁さんが小走りで現れた。
「寒い中ありがとう。ささ、上がって。」
そそくさと靴を脱ぎ畳の部屋へと通される。
その部屋の隣の5畳ほどのスペースにばあちゃんがベットに横になっている。
あれから寝たきりになっているそうだ。
「こんにちはばあちゃん。元気だった?」
まるで演技をしているかのような母の挨拶。
「今日は寒いね、あったかくしてる?」
父まで演技をしているようだ。
暫くの沈黙の後、
「今日はご苦労様です。どちら様でしたっけ?」
・・・・やっぱり、自分の息子も分からないんだ。
と、
「おや、みどりさん、こんな所で何してるんだい?
 はやく、私のお茶を用意してちょうだい!」
このばあちゃんの発言に一同仰天した。
みどりなんて人はこの今いる人間の中にはいない。
ばあちゃんが誰をみどりと呼んでいるか分からない。


116:みどりさん ◆EXIyLXnLEI
09/06/27 14:12:10 speHv+Mv0
4/4-1
しかし、消去法をしていくと・・・
みどりさんはたぶん女性?
今いる女性はお嫁さんと母と自分。
母にはどちら様ですかと聞いていた。
いつもいるお嫁さんは看護婦さんという設定らしい。

自分か?
・・・・・取りあえず返事をしろと小声で父が言う・・・
「はい、なんですか?」
言ってみた。
「何お客さんと一緒のところに座ってるんだい!
 お茶の支度をしておいで!お饅頭とかあっただろ!
 すいませんね、気が利かなくて。」
怒られた。
困り果ててお嫁さんを見る・・・
目で台所に来いと合図される。
自分はコソコソと台所に逃げた。
「いま、ばあちゃんの弟に電話してみどりさんについて聞いてみるから。」
そういって電話している間落ち着かない。
「わかったわよ、みどりさんはばあちゃんが実家にいる間いたお手伝いさんだって」
どうやらばあちゃんは18才ぐらいの記憶の中にいるらしく、
自分がその当時のお手伝いさんのみどりさんに似ているらしい。
・・・・・
仕方なく自分はそそくさと饅頭とお茶を運んだ。

117:みどりさん ◆EXIyLXnLEI
09/06/27 14:14:13 speHv+Mv0
4/4-2
それからというもの何をするにも自分を呼び出す。
ばあちゃんはみどりさんがいないと何も出来ない人だったらしい。
「みどりさん、お水頂戴!」
「みどりさん、タオルを変えて頂戴!」
今まで看護婦だったお嫁さんの仕事を全て自分に頼むようになる。
大忙しだ。
そして、夕方。
「ばあちゃんがみどりさんにいて欲しいというからしょうがないだろう
 頼むよ」
私はみどりさんとなり、ばあちゃん家に泊まることとなった。
父は3日ぐらいで迎えに来るといい、家に帰った。
着替えを夜までに届けてくれるそうだ。
それから自分の経験したことのない3日間が始まった。

118: ◆EXIyLXnLEI
09/06/27 14:18:02 speHv+Mv0
続きはまた今度。

119:本当にあった怖い名無し
09/06/27 15:24:23 jhpWpU3Y0
おー、いつぞやの演劇部の人だ。

120:本当にあった怖い名無し
09/06/27 16:59:48 LJ+ikzlo0
婆様が98歳か。かなりの高齢だな。
となると婆様の息子さんは、どのくらいの高齢なんだろうね。
主人公が高校生だから、そんなに歳は行ってない様な気がするが
どこかの世代でかなりの高齢出産をしたってことか。凄い高齢出産だな。

121:本当にあった怖い名無し
09/06/27 17:26:03 g5CG6+Jm0
婆ちゃんが35歳くらいの時に産んだ息子(父)が
若い嫁(母さん)と結婚したのかも知れんぞ
婆ちゃんも母ちゃんも35歳くらいまでに産めば
かなりの高齢出産って話でもないであろう

122:本当にあった怖い名無し
09/06/27 17:53:51 FpLLctUM0
婆様が35歳の時に産んだってことは
お父上は物語の中で63歳?その娘が15~18歳として
お父上が45~48歳の時の子か。
で、母様は父様より、10歳年下として53歳位か。
まあ、そういう形でイメージしとくわ。

123:本当にあった怖い名無し
09/06/27 18:16:53 gzQbf6hW0
これはきついな
別の意味で洒落にならない
が、ここからトワイライトゾーンに突入すると思うとwktk

124: ◆EXIyLXnLEI
09/06/27 19:08:52 speHv+Mv0
補足。あんまり細かく書くと長くなるから書かなかった。
父は男5人女4人9人兄弟の末っ子。
昔の人は高齢出産とか言う概念が無かったと思われ。
父は40後半で産んだ子らしい。
母もそんな感じだから、たいして気にして無かったよ。
大昔のど田舎はそんなもんだよ。

125:本当にあった怖い名無し
09/06/27 20:56:10 iRcyZQldO
いわゆる恥かきっ子ですな。

126:本当にあった怖い名無し
09/06/28 03:47:24 sEvKhUFpO
いや、それより続きが気になるじゃねーか

127:本当にあった怖い名無し
09/06/28 14:37:33 6I3tPGaEO
>>121
現在98歳の人が35歳で出産というのは、当時としてはかなりの高齢出産だよ
今じゃどうということもないだろうが

128:本当にあった怖い名無し
09/06/29 10:37:14 Ji5AmTIt0
>>127
いや、>>124‐125の流れの通り、昔は45前後まで
恥かきっ子の出産も多かったし、高齢出産って概念はないよ
第一子ならともかく、ね
ま、これ以上はスレチになっちゃうんで続きカモ~ン

129:赤緑 ◆kJAS6iN932
09/06/29 13:34:27 buqEHma+0
[対峙(後)]
1/12
神尾さんの部屋の前。
俺「ここだよ」
俺はチャイムを鳴らす。

ピンポーン
……

俺「あら?」

ピンポーン
……

応答なし。

俺「出ないな」
舞「…」
もう一度と、とチャイムを押そうとしたとき、姉がドアノブを掴む。
舞「開いているわ」
俺「え…」
そのままドアを開く姉。
俺「あら、本当だ」


130:赤緑 ◆kJAS6iN932
09/06/29 13:37:37 buqEHma+0
2/12
俺「無用心だなぁ。姉貴が来るからって開けておいたのかな」
舞「出て行った人が閉めなかったから、開いているだけよ」
俺「ほぇ?」
それでも中にいる人が閉めるんじゃ?と思ったが、まぁどうでもいいか。

玄関を見ると、見覚えのある靴が置いてある。古乃羽のものだ。
部屋の中は静かだけど、居るのかな?
俺「こんばんはー」
声を掛ける…が、返事はない。それはそうだ。チャイムを鳴らしても無反応だったし、誰も居ないのか…

…って!?
俺はここにきて、やっと嫌な予感というものを感じる。何と言う鈍感さだ…!
なぜ古乃羽から返事が来ないのか?
なぜドアが開けたままになっているのか?
靴はあるのに、こちらが呼びかけても何の返答もないのは?
そして姉の言った「何かあったら」って…何があるんだ?
俺「古乃羽…!」

俺は慌てて神尾さんの部屋に駆け込む。
見覚えのある神尾さんの部屋。

そこに2人が倒れている。まさか、死―

いや…バカな!


131:本当にあった怖い名無し
09/06/29 13:41:41 sNQvUAlI0
赤緑きたー

132:赤緑 ◆kJAS6iN932
09/06/29 13:42:07 buqEHma+0
3/12
俺「古乃羽!」
すぐに古乃羽の元に行く。
一体何があった?メールは何だ?玄関が開いているのは?
古乃羽を介抱しながら、軽くパニックになる。

すると姉がやってきて古乃羽の元に屈みこみ、熱を測るように額に手を当てた。
俺「何が?何があったんだ?2人は…」
舞「大丈夫。気を失っているだけ…」
そう言うと姉はゆっくり立ち上がり、今度は神尾さんの元に行く。

俺「だけっ、て…」
古乃羽を抱きかかえながら姉に言う。
舞「美加さんも無事ね」
俺「無事?これで無事?一体―」
舞「2人をベッドに運んであげましょ」
俺「あ…あぁ…」
確かに床に寝転がしておくのも何なので、2人をベッドに運ぶ。

舞「怪我も無いみたいね。よかった…」
ベッドに寝かせた2人の髪や服を整えながら、姉が言う。
俺「あぁ、そうだね…」
舞「…怒っている?」
俺「いや、何が何だか…」
舞「ごめんね。2人の気が付いたら、話すから…」

弱弱しく言う姉。そんな風に言われると、何も言えなくなる。
俺は大人しく、2人の意識が戻るのを待った。


133:赤緑 ◆kJAS6iN932
09/06/29 13:46:01 buqEHma+0
4/12
どこをどうしたのか知らないが、姉が「触った」ためか、2人はすぐに目を覚ました。
気が付いた2人は俺たちが居ることに驚いた様子だったが、そんな2人を姉が落ち着かせ、尋ねる。
舞「2人とも、何があったのか覚えている?」
神尾「古乃羽、覚えてる…?」
古乃羽「…うん。美加は?」
神尾「私も覚えている。佳澄が―」
2人がここで起きたことを話してくれる。

白谷さんのことは俺も知っていた。2人の友人、ってレベルだけど。
その白谷さんに古乃羽が異常なものを感じ、更にそれを察した神尾さんがとっさに姉に電話をした、ということだった。
古乃羽「佳澄、今まで何ともなかったのに…突然、すごく嫌なものが見えたの」
舞「見つからないように隠していたのね。でも…」
姉が棚の方を見て、言う。
舞「あの子がそれを解いてくれたみたいね」
棚の上には、俺も見覚えのあるヌイグルミが置いてあった。

神尾「ラット君…」
ラット君。そうだ、あの少女はそう呼んでいた。
神尾さんがベッドから立ち上がり、ヌイグルミのところに行く。
神尾「守ってくれたんだ。ありがとう…」
手に取り、ギュッと抱きしめてキスをする。一瞬、ラット君が照れたように見えたのは、まぁ気のせいだろう。


134:赤緑 ◆kJAS6iN932
09/06/29 13:49:08 buqEHma+0
5/12
俺「それで、電話でおかしいことに気付いて、姉貴はここに来ようって言ったのか」
神尾「気付いてくれて良かった…舞さん、ありがとう」
古乃羽「ありがとう。雨月君も、ありがとうね」
神尾さんと古乃羽がお礼を言う。
そう、気付いてよかった。助かってよかった…

でも―

神尾「舞さんが来るって分かったから、佳澄は逃げて行ったみたいね」
古乃羽「佳澄、舞さんのこと知っていたのかなぁ」
それも疑問だ。
しかし俺が不可解に思ったのはそこだけじゃない。

舞「佳澄さんと少し話をしたのよ」
姉が言う。
古乃羽「あ、じゃあそれで分かった…のかな」
神尾「舞さんには敵わないと思った、ってこと…ね」

それなら余計おかしい。
敵わないと思って、なぜ2人を放っていく?利用しようとしないものか?報復が怖いとか、そういうことか?

考えすぎかも知れないけど、何となく古乃羽と神尾さんの言い方も不自然だ。
おかしいことに気付いていて、触れないように、誤魔化しているように思えてしまう。


135:赤緑 ◆kJAS6iN932
09/06/29 13:54:16 buqEHma+0
6/12
舞「…光一」
俺「うん…?」
黙ってる俺に、姉が声を掛けてくる。

舞「気になることがあったら、言っていいのよ?」
俺「ん…」
古乃羽と神尾さんが何か訴えるような目でこちらを見ている。
腑に落ちない点があるのは確かなようで、なんだか色々と託された感じだ。

俺「じゃあ…。えっと、電話でさ、どんなこと話したの?」
軽いことから聞いてみる。
舞「簡単な挨拶。私のこと、名前は知っていたみたいね。ハッキリと嫌いって言われたな。それと、2人のことで軽く脅されたわ」

脅された。2人がどうなってもいいのか、と脅されたのだろう。
そうだろうな。姉のことを知っていたなら、そうするのも分かる。
それで…?

俺「それでなんで…2人に何もしないで去って行ったのかな」
舞「…」
俺「それと、なんで姉貴は…急がなかったの?」
一番聞きたかったことを聞く。この事態に、なぜあんなにゆっくりと来たのか?
話を聞いてれば、俺はもっと…死ぬほど急いで駆けつけただろう。取り返しのつかないことになる前に。


136:本当にあった怖い名無し
09/06/29 13:55:41 sNQvUAlI0
ワッフルワッフル

137:赤緑 ◆kJAS6iN932
09/06/29 13:58:25 buqEHma+0
7/12
急いできた訳じゃないことを、2人は知らない。
だから2人の前で聞くべきじゃないとも考えたけど、敢えて聞いてみた。
姉のことを信じているから。これからもそうありたいと思っているから。2人もきっと同じだろう。

車で急ぐと危ない。事故を起こすかも知れない。そう思ったから?
そんな答えは聞きたくない。
いくら急いでいたって、俺はそんな運転はしない。それに車以外のところでも急げるところはあったはずだ。
あんな…慣れない冗談を言う時間もなかったはずだ。

しばしの沈黙。
姉に対する疑惑…嫌だ。そんなの感じたくない。俺は姉貴を信じたい。

舞「どれだけ急いでも…」
姉が口を開いた。
舞「間に合わないと、すぐに分かったわ。佳澄さんには自信と余裕があった」
そう言いながら姉貴は立ち上がり、窓に向かう。
舞「電話をしながらだって、彼女は行動に出られたと思う。…もし私が動く気配を見せたら、すぐにでもね」
姉はカーテンを少しめくり、外を眺めながら話を続ける。


138:赤緑 ◆kJAS6iN932
09/06/29 14:01:45 buqEHma+0
8/12
俺「だから…諦めた?」
仕方ないのかもしれない。どれだけ急いでも無駄なら、確かにそうかもしれない。
でも、諦めては欲しくなかった。2人に危険が迫っていたんだ。たとえ無駄と分かっていても、諦めて欲しくなかった。

舞「すぐに助けに駆けつけるのは、諦めたわ」
俺「…」
舞「でも、ただ諦めるだけじゃ2人が危ないと思ったから…別の方法を探したわ」

何か言い難いことがあるのか、そこで姉は黙る。
でも何か良い方法があって…それが上手くいってこうなったのなら、それを聞かせて欲しい。この不信感を取り払って欲しい。
俺「別の方法って?」
俺は話を促す。…そしてすぐ後で、俺はそれを後悔する。

舞「佳澄さんって―」
俺たちに背を向けたまま、再び話を始める姉。
舞「ものすごくプライドが高くて、自己中心的で、欲しいものは何をしてでも手に入れるタイプ。そして何よりも私のことが嫌い。話をして、そう分かったわ」
…そんな人だったのか、彼女。
舞「だから、ね…」
少し言い淀むが、続けてこう言った。

舞「そんな大嫌いな私のお下がり…私が使い古して捨てたものは、絶対に拾わないと思ったの」


139:赤緑 ◆kJAS6iN932
09/06/29 14:05:01 buqEHma+0
9/12
俺「え…?」
何故か姉の声が少し震えている…。言っている意味もよく分からない。お下がり?使い古して…捨てたもの?
舞「人を物か人形のように扱う彼女は、すぐに分かってくれたわ」

あ…!
舞「だから彼女にこう言ったのよ。光一と2人は私の―」
…ダメだ!

俺は慌てて立ち上がる。と同時に神尾さんが言う。
神尾「古乃羽!ほら…ここと台所、片付けないと」
古乃羽「あ…うん、そうだね。全部出しっぱなしだ」
すぐに答える古乃羽。

俺「姉貴、帰らないと…俺、お袋に何も言ってないから心配してるよ」
そう言って姉の手を取り、玄関に引っ張っていく。
俺「神尾さん、古乃羽、また今度…ごめん!」
古乃羽「うん。気を付けてね」
神尾「はーい。またねー」

外に出て、そのまま車に向かう。
姉は手を引かれるまま、何も言わない。


140:赤緑 ◆kJAS6iN932
09/06/29 14:28:07 buqEHma+0
10/12
姉を乗せてエンジンを掛け、車を出す。
助手席の姉は、ただ俯いている。

なんてことだ。こんな…

舞「私ね…、光一と2人は、私の…」
姉がぽつりと喋りだす。
俺「いいって!分かったから」
舞「…」
姉は口を固く結んで言葉を切った。
そしてその目から一筋だけ、涙が流れていった。

本当に、なんてことだろう。
姉が何をしたのか、よく分かった。

俺、古乃羽、神尾さんの3人を自分の所有物―言葉を借りれば”自分の人形”であると、相手に伝えたのだろう。
そしてそれを捨てた。一切の助ける素振りも見せず、もう要らないものとして捨てたのだろう。そんな物はもう要らない、と。
そうして相手が2人に興味を無くすように…2人の”人形としての価値”を失わせた。
相手はそのプライドの高さから、人が捨てたものは拾わない。ましてや嫌いな人が唾を付けて捨てたお下がりの人形など、決して拾わない。そう考え、それに掛けたのだろう。


141:赤緑 ◆kJAS6iN932
09/06/29 14:30:59 buqEHma+0
11/12
姉の性格から考えると、例え誰であれ、人のことをそんな風に言うなんて考えられない。口が裂けたって言わないはずだ。
白谷佳澄。彼女はそれを言わせた。一体何の目的で、何をしようとしていたのかなんて俺には分からないが、ハッキリと分かることが1つ。

この件で一番傷付いたのは、姉だ。

様子がおかしいと気付いていたのに、最後まで分からなかった。
姉は怖かったのかもしれない。部屋に行って、2人が無事かどうかを確認するのが。
でも逃げる訳にもいかなかったから、俺を一緒に連れて行ったのだろう。

そして…あの場で言わせてしまうところだった。
身を切る思いで言ったであろう言葉を、また言わせてしまうところだった。
自分がしたことを隠せない。悪いと思う事をしてしまったら、それを隠しておけない。姉貴はそんな性格だ。

謝らないと…。でもこういうとき、何て言えばいいのだろう?
気付かなくてごめん?一瞬でも疑ってごめん?
うーん…違うな。ここはやはり思ったことをそのまま…

俺「あのさ…」
舞「…」
俺「ありがとう…」
こういうのは中々照れくさい。


142:赤緑 ◆kJAS6iN932
09/06/29 14:37:14 buqEHma+0
12/12
舞「…」
姉は何も言わない。うーん、困ったぞ…。
一筋とはいえ、姉の涙なんて何年ぶりに見るだろう。こういう時にはどうすれば良いやら、まったく検討がつかない。

俺「えっとさ…」
舞「いいの」
やっと喋った。
舞「みんな、とても大切な人…」
俺「うん…」

舞「…少し寝るから、着いたら起こしてね」
そう言って姉はシートに身体を沈める。
俺「ん。もうすぐ…」
っと。
姉はすぐにスヤスヤと眠りだした。


最近色々なことがあって、姉のことを何だか遠い存在に感じていた。
病気が治ってから、急に人が変わってしまったように思っていた。

でも違った。寝顔を見れば分かる。
真面目すぎて、傷付きやすいところがある。軽い冗談でも言うのは苦手。
お袋にワガママは言わないけど、俺には言う。照れくさいことがあると、話を逸らす…場合によっては寝ると言って本当にすぐに寝る。
昔から何も変わっていないじゃないか―。

俺はゆっくりと車を走らせ、遠回りで帰ることにした。




143:本当にあった怖い名無し
09/06/29 16:09:16 K8+LgOC0O
乙ー

144:本当にあった怖い名無し
09/06/29 17:43:40 bXvrMsjq0

面白かった。

145:本当にあった怖い名無し
09/06/29 18:22:46 kzIg+TJJO
乙。そうくると思わなかった

146:本当にあった怖い名無し
09/06/29 22:59:39 yuko9Y4F0
二人が無事で良かったというべきかな。

147:本当にあった怖い名無し
09/06/29 23:40:48 4z6nHxNJO
>>146








きめぇwww

148:本当にあった怖い名無し
09/06/30 12:07:53 EuXJEvuO0
二人の精神は乗っ取られました的な展開を予想してたw
ナイス回避w

149:本当にあった怖い名無し
09/06/30 16:13:49 P2p3GJ640
みどりさん ◆EXIyLXnLEI の続き待ち~

150:本当にあった怖い名無し
09/07/01 07:14:20 AFGxcZGlO
私も~待ってます。

151:本当にあった怖い名無し
09/07/01 17:28:53 j75dnN100
>>146
入りきってるな、ぷっ!

152:本当にあった怖い名無し
09/07/01 21:54:23 GtDd+9E1O
>>151
何かと思えば




そば飯返せwww

153:本当にあった怖い名無し
09/07/01 22:26:07 ahF+oajM0
赤緑氏乙

154:本当にあった怖い名無し
09/07/02 13:40:27 d4mlsoHEO
二次ヲタ、乙

155:本当にあった怖い名無し
09/07/03 14:53:29 lh7aeK9nO
赤緑なげーよ。誰か読んで荒筋教えてくれよ。

156:本当にあった怖い名無し
09/07/03 15:02:35 vPfjHuxH0
ゆとり乙

157:本当にあった怖い名無し
09/07/03 15:55:28 XYN5Bqz+0
>>155
霊感少女と性悪魔女の決闘

158:本当にあった怖い名無し
09/07/03 15:58:44 U2BIt+tCO
>>157
まとめすぎw

159:本当にあった怖い名無し
09/07/03 15:59:12 m7gNAZ2/0
携帯はこれだから……

160:本当にあった怖い名無し
09/07/03 16:16:08 0ShpgDO+O
性悪魔女って言ったらリリスか…
エヴァも破が公開になったようだし
昔オカ板にあったメリィさんスレが懐かしい

ってスレ違いスマソ

161:本当にあった怖い名無し
09/07/03 23:42:29 93eHRtmiO
わかってるなら書き込むな、ハゲ

162:本当にあった怖い名無し
09/07/04 00:03:54 2C6ifuTe0
>>157
どっちが俺の彼女になってくれるんだ?

163:本当にあった怖い名無し
09/07/04 06:46:31 w1RUw14r0
>>162
和田アキ子に似た女がお前を見つめてるぞ。
早く気付いてやれよ。

164:本当にあった怖い名無し
09/07/04 12:47:10 1RAY6RUyO
赤緑って、黒い下着=非処女みたいな感覚を持ち続けてそう

そんなことを、ふと考えてしまうのは土曜出勤のせいだね、うん

165:本当にあった怖い名無し
09/07/04 23:46:25 wZaK+ghnO
>>164
言い得て…w


166:本当にあった怖い名無し
09/07/05 17:29:53 dw8wEc8m0
言いえてウ~・・・、?

167:本当にあった怖い名無し
09/07/05 17:39:58 gn7nE6T8O
ついてる神社に行くと な、なんと ただで浄霊してもらえます

168:本当にあった怖い名無し
09/07/05 18:05:11 DzXC5+f8O
ウニ来るかな?

169:本当にあった怖い名無し
09/07/05 18:25:22 mWWH10FK0
最近は日曜の夜に出没するんだっけ。

170:本当にあった怖い名無し
09/07/05 23:35:10 Ak4pun23O
ウニさんまってま~す!

171:本当にあった怖い名無し
09/07/05 23:39:09 i+kHgKUJ0
キモイね電話

172:本当にあった怖い名無し
09/07/07 01:11:13 b2IdL7mv0
おいおい、まる一日、書き込みなしかよ。
どんだけ過疎ってんだ、このスレ。
みんな少しは盛り上げていこうぜ。

173:本当にあった怖い名無し
09/07/07 10:43:04 nrGEPlRW0
理屈先行で最近のは怖くもなんともないからね

174:本当にあった怖い名無し
09/07/07 12:02:25 MyX0Nv0wO
前向きに考えれば、オカ板にいさせてもらえるだけでも有難いって話だよ

175:本当にあった怖い名無し
09/07/07 12:11:36 TPFV4LKs0
待つ身のつらさよ
盛り上がる方法があればおしえて

176:本当にあった怖い名無し
09/07/07 12:34:55 IpVlgRzx0
週1くらいで心霊スポットに凸してその体験を書くとか
いや、俺はやらないよw

177:本当にあった怖い名無し
09/07/07 13:30:03 kMBD9wuj0
霊感のある友だちがいないとただの日記で終わりそうw

178:本当にあった怖い名無し
09/07/07 15:15:30 NyQvYjpK0
お前らは回転寿司屋のメニューだけ読んでりゃイイんだよ!
しゃしゃるんじゃネーヨ。

179:本当にあった怖い名無し
09/07/07 15:47:26 9dx8jygr0
霊感持ちを見つけて友達になろう!

180:本当にあった怖い名無し
09/07/07 17:42:22 jGOZXXoB0
霊感持ち見つけて友達になってもさ、ここってぱっと出の新人はお断りなんでしょ?
叩かれるの怖くて投下できない人も居るんだと思うよ。

181:本当にあった怖い名無し
09/07/07 20:38:07 FNEQ5Wd8O
ぱっと出の新人はむしろ歓迎されてるが
今は創作と分かるものが多いからシンプルであればあるほどウケるよ

182:本当にあった怖い名無し
09/07/07 21:05:27 KpoK7+vB0
>>180
霊感持ちの友人はいるけどここに書く程ドラマチックな事ないしな。
大抵の人はそうだと思う。

183:本当にあった怖い名無し
09/07/07 21:44:12 3uMi/3Co0
>>181
よお、携帯。ここは創作でもおkなスレだ。
シンプルな方が受けが良い?お前が長文読めないだけの話だろ?

184:本当にあった怖い名無し
09/07/07 21:50:26 m9YaKZTP0
ぱっと出ってなんだ?PADがブラからはみ出してんのか?( ゚д゚)萌えるなソレ!

ぽっと出のが一般的な気がするんだぜ

185:本当にあった怖い名無し
09/07/08 01:15:51 Uuuqam72O
>>184 お前はブラからパットがはみ出てるのに萌えるのか
普通は萎えるんじゃまいか

186:本当にあった怖い名無し
09/07/08 01:24:23 ZVyWxf6c0
>>185
性癖が一般的ではないということだろ

187:本当にあった怖い名無し
09/07/08 01:33:40 AS9stxWR0
>>184
ひと段落
確信犯
後で後悔する
全然いいよ

間違いのほうが認知されつつあり、近年使われるようになってきた単語

188:本当にあった怖い名無し
09/07/08 01:38:27 ZVyWxf6c0
「ぱっと出の新人」って言葉には向いてないな・・・後で後悔する新人を想像してワロタ

189:本当にあった怖い名無し
09/07/08 08:09:24 PYc1Cl1w0
>>187
物書きには気をつけて欲しいよな、そういうとこ。

190:本当にあった怖い名無し
09/07/08 13:32:48 GZE9AgQ70
ところでみどりさん ◆EXIyLXnLEI は何時になったら続きを書くんだ?


191:本当にあった怖い名無し
09/07/08 14:15:28 uSiOQQt8O
ウニと忍以外は来ないで欲しい

192:本当にあった怖い名無し
09/07/08 14:48:35 CKJjILGo0
>>191
こういう頭沸いてる書き込み嫌いじゃないぜ

193:本当にあった怖い名無し
09/07/08 15:16:33 4S0TG95E0
そういや祟られ屋の話題はここでいいのか?
今はあれが一番の楽しみ

194:本当にあった怖い名無し
09/07/08 18:29:16 eZZXESRe0
つまらねーモンを楽しみにしてんなよ。
なんか不憫になってきたよ。

195:本当にあった怖い名無し
09/07/08 19:24:37 l+IMSKJf0
師匠とか祟られ屋みたいなあきらかにフィクションってつまらないよ


196:本当にあった怖い名無し
09/07/08 19:59:00 AS9stxWR0
師匠のこと書くと儲がわらわら沸いてくるからやめて
あっちのスレで大変なことになってた

197:本当にあった怖い名無し
09/07/08 20:36:20 HLivDf7F0
書店に並んでるフィクションの方がつまらないことが多いから
ここのシリーズ物楽しみにしてる
短いからすぐ読めるし手軽

通勤途中用に色々小説買ってるけど
適当に選んでるからか、読んでて当たりよりハズレのが多い気がする

198:本当にあった怖い名無し
09/07/08 23:04:24 NRIrbScG0
>>197

同感
それに携帯でも読めるから、夜寝る前の暗闇の中とか、お風呂の中で読んだりする

199:本当にあった怖い名無し
09/07/09 01:23:54 pHS1rWyb0
携帯で創作小説を読みたいなら

小説家になろう
URLリンク(syosetu.com)

があるな。

200:本当にあった怖い名無し
09/07/09 01:35:27 3EH2KEygO
大宇宙エネルギー療法をやると勝手にダレでも霊感をもってることに気づき出

201:本当にあった怖い名無し
09/07/09 10:28:00 LY8eILDAO
>>200
それは良かった^^

ところで耳から脳ミソ出てるみたいだけど平気なの?

202:本当にあった怖い名無し
09/07/09 17:42:43 S5Sd2FpR0
>>201
ワロタw

203:本当にあった怖い名無し
09/07/09 23:03:39 R6PNAC3p0
>>200
すごく心配です
その後、お加減は・・・?

204:本当にあった怖い名無し
09/07/10 17:22:14 3GGKTklYO
残念ながら、お宅の>>200さんは地獄に堕ちました。

205:本当にあった怖い名無し
09/07/10 19:43:18 D0366cz20
残念ながらおいなりさんは地獄におちました
に見えた

206:本当にあった怖い名無し
09/07/10 20:01:14 II3DxAdH0
>>205
ねーよw

207:本当にあった怖い名無し
09/07/10 21:07:02 OK7tTkCp0
>>187
一段落まちがえて覚えてたorz
ついでに檄を飛ばすの意味も…

208:本当にあった怖い名無し
09/07/12 20:54:47 Wz19T1OO0
土日はウニが来ないと静かだの…

209:本当にあった怖い名無し
09/07/12 21:01:23 Lvd6+smF0
おお、土日連続カキコなしかと思いきや、ストッパー現る。
ウニなら師匠スレで次回作で発表するもんの投票やってたよ。
一ヵ月後には出すって。

210:本当にあった怖い名無し
09/07/12 22:23:06 KJLNQW5NO
保守

211:本当にあった怖い名無し
09/07/12 23:02:28 Wz19T1OO0
うーん…やっぱあっちのスレ行ってしまったか。
当然と言えば当然か…

212:本当にあった怖い名無し
09/07/13 00:00:13 dJ3BpjoAO
アンケートならあっちだろ
あと1ヶ月後じゃなくて1ヶ月以内じゃなかったっけ?うろ覚えだから違ってたらスマソ

213:本当にあった怖い名無し
09/07/13 00:28:08 zGSorone0
676 名前:ウニ ◆oJUBn2VTGE [ウニ] 投稿日:2009/07/12(日) 00:09:16 ID:sf78TjCo0
(´・ω・`)
締め切ったよ。
まとめてくれた人のを参考にするとこうなったよ。

①「毒」 …15
②「館」 …9
③「レインメイカー」 …14

(´・ω・`)というわけで「毒」を書くことになったよ。
座りしょんべんをちびりそうだよ。なんとか1ヶ月以内に第一弾を投下できるように
がんばります。その後は1週間ごとに第二弾、第三弾といきたいね。
(´・ω・`)多分結構長いのでいくつに分かれるかはまだ不明だよ。
でわ。

214:本当にあった怖い名無し
09/07/13 00:54:46 NVD9OZfRO
さて、晴れてココはアニヲタ専用のラノベスレとなったわけだが




もういらないだろ、こんな糞スレ

215:本当にあった怖い名無し
09/07/13 01:51:26 BuGZkb7A0
ウニ自身はその時の話の内容に応じて、師匠スレ・ここ・洒落怖を使い分けてるようだけど?
なんであっちに書き込んだからもう要らないってなるのさ単細胞くん。

216:赤緑 ◆kJAS6iN932
09/07/13 10:28:37 a+8/Hdvg0
[夢の記憶]
1/10
夢を見る…。

よく同じ夢を見る。
女の人が泣いている夢。
顔は分からないけど、その声や仕草で女性と分かる。年の頃は二十歳くらいか。
大人がメソメソと泣いて…みっともない。

傍に男が居る。
泣いている原因はこの男だろうと想像できる。
女に何かを言っている。
決して慰めている訳ではない。威圧的に、嘲るように、悪意を持って何かを言っている。

女も何かを言い返すが、男はまったく動じない。
むしろそれを楽しんでいるかのように見える。

見える…。見える…?
そこに居るけどそこに居ない私は、どこからこれを見ているのだろう?

やがて2人の姿が消える。…いつもここまでだ。
この先を見ることはできず、全てが闇に包まれ、大きな波が訪れ…
時を告げる音と共に、私は目を覚ます。


217:赤緑 ◆kJAS6iN932
09/07/13 10:30:46 a+8/Hdvg0
2/10
名前に意味はない。

私は初めからここに居る。
いつ自我に目覚めたのか?その瞬間を覚えている人間なんて居ないだろう。
私は目覚めた時からここに居て、この姿を持っていた。
一般常識といえる知識と…呪いや占い、霊に関してのたくさんの知識を持っていた。
そして鏡を見たとき、自分を美しいとも思った。
自分を完全な存在だと思った。

…でも、名前だけが無かった。

私はこの中を歩き回り、名前を探した。
そしてふと、床に落ちていた1つの名札を見つけた。
そこにはこう書かれていた。

「白谷佳澄」

これを私の名とした。


218:赤緑 ◆kJAS6iN932
09/07/13 10:32:56 a+8/Hdvg0
3/10
私の持つ価値観。

それが他人とは大きくかけ離れていることは、よく分かっている。
人は全て、物。その思考・感情には何の意味もない。
それが正しいとか間違っているとか、そんなことはどうでも良い。
きっとこれこそが、私の存在理由だから。

…時計の音で目が覚めたものの、今日はこれと言ってすることが思いつかない。
もう、美加や古乃羽の傍にいる必要も無くなった。
私のものにして、大切に可愛がってあげようと思ったのに…。

既に他人が愛でた物。ましてや、あの女が唾をつけてから捨てたものなんて、冗談じゃない。
壊してやろうかとも思ったが、何だか虚しくなってやめてしまった。

あぁ…今日はもういいや。
また眠ろう…。
ひょっとしたら、今日こそ夢の続きが見られるかもしれない…。

そう願い、私は再び目を閉じた。


219:赤緑 ◆kJAS6iN932
09/07/13 10:35:06 a+8/Hdvg0
4/10
夢を見る…。

よく同じ夢を見る。
あの日のこと。
頭から冷水を浴びたような衝撃。激しい怒りに身を震わせた日。
夫を失うことになり、結果として他の大切なものも失うことになった、あの日。

あれからもう何年も経つのに、いまだに夢に見る。
最近は物忘れも多くなったというのに、これだけは忘れらない。

「全ての罪を被る」

そう言われても、残された私たちから罪の意識が消える訳でもない。

陸は、上手く折り合いが付くようにしてくれた。
少しでも世のために働くことで償いになるだろうと、除霊を行うように提案をしてきた。
ならばと思い、私たちはそれを行っていたのだが…それで陸が命を落とすことになってしまった。


220:赤緑 ◆kJAS6iN932
09/07/13 10:37:26 a+8/Hdvg0
5/10
予感はしていたのだ。
陸の中には、どこかしら死を望むようなところがあったから…。

今は、舞が除霊を手伝ってくれている。
私はそこにも一抹の不安を感じてしまう。
彼女も陸と同じように、死を望んではいまいか、と。

舞が何を考えているかなんて、私には到底分からない。
そもそも彼女は、誰かに心を開くことがあるのだろうか?
家族ならあるのかも知れないが、他人にはどうなのだろう。

彼女はとても魅力的だ。女の私でもそう感じる。
陸が生きていれば、お嫁に…なんて思ってしまう。
まぁ、陸には勿体なくて釣り合わない気もするが。

舞には幸せになって欲しいと思う。
私の家族は、ことごとく不幸な道を辿った。
彼女を家族と呼ぶのはおこがましいが、幸せな道を歩んで欲しいと切に願う…。


221:赤緑 ◆kJAS6iN932
09/07/13 10:39:36 a+8/Hdvg0
6/10
夢を見る…。

よく同じ夢を見る。

…って、違うか。
今の私には寝る習慣が無いから、これは一般に言う「夢」ではないのだろう。
物思いに耽っていると、どこからかやってくる記憶だ。
捕らえようとすると遠ざかってしまう記憶。漠然としか捕らえられない記憶。

以前から見ることはあったが、あの病院に行って…あの手形を見てから、頻度が上がった。
そのお陰で、段々と内容が分かってきた。

部屋の中。小さい女の子が人形で遊んでいる。
この女の子は…私だ。これは間違いない。
お勉強をさせたり、着替えをさせたり。
お行儀が悪いと言って叱り付けたりもしている。


222:赤緑 ◆kJAS6iN932
09/07/13 10:42:06 a+8/Hdvg0
7/10
誰かが私を呼ぶ声がする。
でも私はまだ遊んでいたい。
遊んでいたいが…呼んでいる人の言うこともきかないといけない。

私は返事をしつつも、玩具の櫛で人形の髪をとかしている。
優しく声を掛けながら、そうやって遊んでいる。

しかしやがて、私を呼ぶ声が大きくなる。
あまりに来ないので、怒っているのかもしれない。

怒られるのは嫌だ。
普段は優しいけど、怒ると怖いもの。…は。
……
ここは思い出せない…。

仕方が無いので、私は行くことにする。
きっと夕飯の時間とか、そんなことだろう。


223:赤緑 ◆kJAS6iN932
09/07/13 10:44:17 a+8/Hdvg0
8/10
私は立ち上がるが、人形は連れて行けないので置いていく。

私はその子に言う。
帰ってきたらご飯にしますからね。
良い子でお留守番しているのよ?

私は行く。
その子は1人でお留守番だ。

でもその子は文句1つ言わない。良い子で待ち続ける。
黒いボタンでできた目で、おめかしをした格好のまま、私が帰って来るのを…迎えに来るのを、待ち続ける。

私は急いで戻り、その子を安心させてあげるのだ。
そしてご飯を食べさせてあげる。
その子の好きなものを食べさせてあげる。
美味しいデザートもつけて…。
寝るときも一緒に…。


224:赤緑 ◆kJAS6iN932
09/07/13 10:46:47 a+8/Hdvg0
9/10
そうして記憶の波が去る。

私はこうなると、いつも悲しい気分になってしまう。
初めて記憶の断片を掴んだときは、我知らず涙を流していた。

きっと、私にもそんな時代があったこと、それを思い出せないこと、
そしてもしかしたら、どこかであの子がずっと待っているかもしれない…、そう考えてしまうから。

……そんなことを思いながら、街を歩く。
1つの目的を持って。

やはり私は行かないといけない。もう一度、あの病院に。
とても嫌な場所だったけど、あそこに何かがあるのは間違いない。

もちろん以前決めたように、1人で行く気はない。
そこにあるものに縛られ、飲み込まれてしまったら、私はきっと…。
せっかく手に入れた自由を、手放すのは嫌だ。

誰か一緒に行ってくれる人は居ないかなぁ…と考えると、やはりあの人。舞と名乗っていた、あの女の人。
あの人と行ければ良いのだけど…如何せん、どこにいるやら分からない。
うーん、連絡先でも聞いておけば良かったな。ちょっと後悔だ。

でも仕方ない。他にも頼りになりそうな、私を見ることができる人は居るはずよ。
もっとも、死相が浮かんでいたらアウトだけどね。


225:赤緑 ◆kJAS6iN932
09/07/13 10:49:08 a+8/Hdvg0
10/10
彷徨いながら、力になってくれそうな人を探す。
…これって、幽霊がする典型的なことかな。
成仏するために願いを叶えてくれそうな人を探して、取り憑くなんて。
迷惑がられたら止めよう、うん。無理に取り憑くのは悪い霊のすることだ。

できればカッコイイ男の人で…思わず私に惚れちゃうとか。
最後には悲しい別れが待っているかも知れないけど、そんな映画みたいな展開も悪くない気がする。

そんなことを考えているうちに、私はとある駅に着いた。
あの病院の最寄り駅と言えるこの場所。ここは人の出入りが多い。
…よし、決めた。
私は近くのベンチに腰を下ろす。

ここで待とう。運命の人が現れるのを。
あの子みたいに、私も待ち続けよう。

いつか…
いつか、きっと帰るから。迎えに行くから。
それまで良い子にしていなさいね?

私の、大切な…。



226:本当にあった怖い名無し
09/07/13 11:00:13 TgRjv06eO

誰だこれ

227:本当にあった怖い名無し
09/07/13 11:03:22 KW8DmKbB0
初っ端からツッコミはいりましたぁ!

228:本当にあった怖い名無し
09/07/13 11:36:48 KsGd4dn+0
ふーん

229:本当にあった怖い名無し
09/07/13 12:29:46 NVD9OZfRO
>>215
だからね?w
今現在、ウニが使い分けしてるのは洒落怖と師匠スレの二ヶ所
このスレには見切りをつけてる状況なんだよ
理解できるかな?w

230:本当にあった怖い名無し
09/07/13 12:39:21 hfwpXxaDO
こないだプールの話あったよ。

231:本当にあった怖い名無し
09/07/13 13:11:19 NVD9OZfRO
>>230
ホントだ
プールは師匠スレに投下されたものと思い違いしてたようだ

>>215
ごめんな

232:本当にあった怖い名無し
09/07/13 13:20:48 BuGZkb7A0
        \  ヽ     ! |     /
     \    ヽ   ヽ       /    /       /
        お断りだああああああああああぁぁぁ!!
        \          |        /   /
                        ,イ
 ̄ --  = _           / |              --'''''''
          ,,,     ,r‐、λノ  ゙i、_,、ノゝ     -  ̄
              ゙l            ゙、_
              .j´ . .ハ_, ,_ハ   (.
    ─   _  ─ {    (゚ω゚ )   /─   _     ─
               ).  c/   ,つ   ,l~
              ´y  { ,、 {    <
               ゝ   lノ ヽ,)   ,



233:本当にあった怖い名無し
09/07/13 16:44:41 w4Il17Tm0
赤緑乙

234:本当にあった怖い名無し
09/07/13 16:51:29 V6nu9HsMO
アク禁大杉な

235:本当にあった怖い名無し
09/07/13 18:00:58 Zzq0VUWL0
視点が3つあって思い出すのに時間が掛かった

236:本当にあった怖い名無し
09/07/13 22:11:00 DU6uY4jO0
もう赤緑とウニ以外に、このスレに書き込む奴は居ないのな。

237:本当にあった怖い名無し
09/07/13 23:56:10 oLBFAUhk0
ここは殺伐とした空気の中に身を置くことで徳を積むスレです
ありがたや ありがたや

238:本当にあった怖い名無し
09/07/14 00:15:13 VJgA/trC0
舐めててぇぇ~~

239:本当にあった怖い名無し
09/07/14 04:34:42 fl+ybr0m0
ねぇ。
舐めててぇぇ~~
で、スレが止まるって、どんな気分?

240:本当にあった怖い名無し
09/07/14 06:32:49 m3fyb9GeO
お、赤緑氏、乙

241:本当にあった怖い名無し
09/07/14 06:35:24 m3fyb9GeO
>>193
祟られ屋は主人公がガチムチDQN過ぎて好きになれん

242:本当にあった怖い名無し
09/07/14 13:34:42 VJgA/trC0
>>239
なんだか今日いけそうな気がするぅぅう~~

243:本当にあった怖い名無し
09/07/14 14:42:24 vshsdhbb0
あると思います!

244:本当にあった怖い名無し
09/07/14 18:34:57 LuoGrgO70
ねぇよw

245:本当にあった怖い名無し
09/07/14 20:03:31 GW9Xv2Ky0
俺は崇られ屋のマサさんシリーズ好きだけどな
主人公がアウトローってのがまた他の怪奇ものと一線を画している
あと、「崇り」というだけあって、サスペンスやミステリーの要素があるのもポイント高い
なんといっても、事件の背景に必ずある「人の悪意」の怖さが存分に描かれているのが好みだ。



246:本当にあった怖い名無し
09/07/14 21:00:23 z2vxC+050
まあ、祟られ屋が好きなのは結構だが、祟られ屋は、ここに書かないぞ。

247:本当にあった怖い名無し
09/07/15 18:24:03 wPAi78ea0
祟られ屋さんは洒落コワまとめサイトの掲示板と独占契約を結んでいます。
他の掲示板に転載したり、当作品について語ったりするのはご遠慮願います。

248:本当にあった怖い名無し
09/07/16 01:02:32 8CUpE0h3O
語るのもダメとか頭わいてんのか?

249:本当にあった怖い名無し
09/07/16 01:38:06 xv0Jv4XR0
祟られ屋はフィクション臭が強すぎて

250:本当にあった怖い名無し
09/07/16 01:58:25 t69P8w8s0
祟られ屋と寺生まれのTさんって同じタイプだろ?

251:本当にあった怖い名無し
09/07/16 02:38:45 qO9Jcwmu0
祟られ屋の主人公の生まれにも因縁があったってあたりはいらなかったな
霊感ゼロだった奴が荒業で霊能力者にされたのがおもしろかったのに

252:本当にあった怖い名無し
09/07/16 09:32:21 duIY/xwn0
あのドラゴンボールみたいな世界はさすがに引く

253:本当にあった怖い名無し
09/07/16 09:37:49 it0xx4VL0
向こうに書いてやったら?
その方が本人も喜ぶだろう
否定的な感想は消されるようだけど

254:本当にあった怖い名無し
09/07/16 12:05:24 ElvSNF6a0
祟られ屋もこっちくればいいのに

255:本当にあった怖い名無し
09/07/16 14:52:11 D6VmNVt30
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 ’‘     +   ,..       . ..; ',   ,:‘
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                初 め て で す          .. ' ,:‘.
:: . ..                            .. ' ,:‘.
      ハ,,ハ
     ( ゚ω゚ )


256:本当にあった怖い名無し
09/07/17 22:26:07 PHgJ/EotO
>>245
アウトローではなく、巷のDQNぽい
一匹狼とも違う、むしろツルミたがる走り屋系

257:本当にあった怖い名無し
09/07/17 22:45:15 pWhs47Pn0
よくいるヤンキー系だよな
むしろそこが新鮮でよかったんだが
子供の頃の話は確かに微妙

258:本当にあった怖い名無し
09/07/18 04:11:05 DXe9hkyMO
しかし見ていると、日本史に絡む因縁系の類はオカルトに欠かせない要素なのかね
どの話も、長期化するやつには裏設定としてやたら用いられているな

259: ◆i9Nf8biD3.
09/07/18 14:44:29 nZ6sbpEr0
テスト

260: ◆0fO6jMfX/o
09/07/18 15:06:29 nZ6sbpEr0
私にも昔霊感もちの友達がいた。

いや、いまでもいるのはいるのだが、精神を病んでしまって繋がりは薄くなっている。

ステレオタイプな話しかないので面白くはないでしょうが暇つぶしにどうぞ。




261: ◆0fO6jMfX/o
09/07/18 15:07:09 nZ6sbpEr0
その友達はCといった。
小学校の4年生からの付き合いだ。
もともとオカルティカルなものが好きな私に比べて、彼女はそういったものには
興味がなさそうな、そういう話を振っても乗ってこないような子どもだった。

あるとき、中2病まっさかりな私がパワーストーン的なものにはまった。
だが、石を買うたびにすぐに割れてしまったり、なくなってしまったり、
なくなったといっても家の中で置き場も決めておいたのに目を離したら忽然と消えるような
ちょっと気持ち悪くなるくらいそういった事が続いた。


262: ◆0fO6jMfX/o
09/07/18 15:08:14 nZ6sbpEr0
放課後、Cと遊んでるときになにかの拍子に石がなくなるという話をした。

まあ元々そういったことに興味のなさそうな子だし、流されるだろうなと予測してた。

「石っていうのは、意思を持ったものなんだよね、だから相性の合わない人の所にはいつかない」
「いつかないだけだったらまだいいけど、場合によっては不幸を招く」
「それだけなくなる、破損するって事が続いてるってことは相性が悪いのは決定的だから石をお守りにするのはやめたほうがいい」

???でした。
オカルト的なことにまったく興味なさそうだったCがいきなりなにを言い出すんだと、

「私も石とは相性が悪いらしい、お寺さんで言われた」
「あんまり軽々しくそういうものに関わるのはよくないよ」

お寺さん?
なんなんだ?

263: ◆0fO6jMfX/o
09/07/18 15:08:55 nZ6sbpEr0
「私の家系は霊感強いから、相談に乗ってもらってるお寺がある。住職さんが強い力を持ってるから頼っている」

もう、わくわくてっかてかの私を尻目に、それ以上はその話を話してくれないCでした。

この頃小学校の高学年くらいだったと思うけど、その後思春期の大分部をCと過ごすことになり、
おそらく、霊感の強いという彼女とやたら一緒にいたせいで色々怖い目に遭う。



264:本当にあった怖い名無し
09/07/18 15:56:51 qohI9iSP0
わくわく

265: ◆0fO6jMfX/o
09/07/18 16:41:56 nZ6sbpEr0
中学生のときにあった話

中学生のとき、CとYと中間試験前の寒い日にカラオケに行った。
中学生で元気一杯なのでフリータイム7時間。

2時間くらいして少しまったりしてきたあたり、そこのカラオケのドアは扉の真ん中よりは
少し上にはめごろしの窓がついてた、店員が中の様子確認するのに使うんだと思うけど、

んで、歌うのにも飽きてた私はぼーっとその窓を眺めていた。

スー、って感じですべるような足取りで廊下を白い着物を着た女の人が歩いていった。
この時期にあんな浴衣みたいな薄い着物じゃ寒かろうに?
入り口からトイレ(突き当たり)までの一本道な感じの作りだったので、トイレに行ったんだろうなーって
ぼけーって眺めてた。


266: ◆0fO6jMfX/o
09/07/18 16:42:37 nZ6sbpEr0
しばらく経って、また先ほどの着物の女の人が通る、

またしばらく経って通る

おいおいトイレ行き過ぎだろwって思った。

で、いい加減何回も見たので少し面白くなって、CとYに、
「なんかさっきから何回もトイレ行ってる女の人がいるよ、この寒いのに白い浴衣なんだよw頭おかしい人なのかなー?」
言い終わるか終わらないかの刹那、Cが
「言っちゃだめ!」
Cが叫んだ瞬間、背後に(ドアが私の背後だった)ただならぬ気配を感じて振り返ると、

はめごろしの窓にびっちりと、(3~4人?)緑色の顔の人が張り付いている、
うわぁ・・・
とりあえずフロントに助けを求めようと内線を取ろうとして気づく
足が動かない、
粘着質な液体で部屋の中を満たしたみたいに部屋の中の空気が重い

ここまできてやっと気づいた、
これって心霊現象?

そもそも最初から全部おかしいじゃないか、真冬じゃなくたって、今の時代に無地の浴衣でカラオケなんか来るか?
トイレのほうに歩いてる姿は何回も見たがトイレから戻るところは一回も見ていない
窓に張り付いた人の顔を見たとき、幽霊じゃなく変質者っていう発想しかなかった
あんなに緑色の顔をした人間がいるのだろうか?-

267: ◆0fO6jMfX/o
09/07/18 16:44:07 nZ6sbpEr0

そもそも魅入られていた?
「どうしよう?」
情けない声でCに聞く、
「とりあえず、今更だけど気づいてない、関係ないって顔をしよう、それしかない。」
徐霊だのなんだのはできないんですか?そうですか。
とりあえず空気が悪すぎるのでなんとかしようってことで、ひょっこりひょうたん島を入れて3人で熱唱。
何回も何回もひょうたん島
30分くらい経っただろうか、空気が軽くなって足が動くようになってる、
今だ、ってダッシュで逃げ出す3人。
「出れてよかったねー」
「なんだったんだろうねー?」
と、さっきまでの恐怖を振り払うようにとぼけた会話をしつつ解散した。

次の日、遅刻がデフォルトだった私が、3時限目の放課あたりに学校に行くと、
教室の隅で泣きそうなYと深刻な表情のCが
「どうした?」
聞くとYが半泣きで答えた
「昨日、帰った後ですぐに眠くなって寝ちゃった、で、夜中に目が覚めて勉強しようと思って机のうえを見たらノート一冊に 死ね 殺す ってずっと書いてあった、私の字じゃない、乱暴な感じの字で・・・」

うぇ?
なんでY?
「とりあえず私が預かってお寺に持っていって処理してもらう。Yに憑いてるかもしれないからそれも見てもらう」
とC。
「Yも行かないといけないの?」
「住職さんの力が強いから直接会わなくても大丈夫だと思う」
「ノート見た感じでも今Yを見た感じでも大丈夫だと思う」

翌日、
「もう大丈夫だって。」
とだけCに報告された、
突っ込んで聞いてもはぐらかされて細かいところは教えてもらえなかった。

268: ◆0fO6jMfX/o
09/07/18 16:44:47 nZ6sbpEr0
数年たったある日聞いてみると答えてくれた。
「あれは、ただの浮幽霊的なものでそんなに力も強くないし大丈夫だった。」
「問題はYで、多分なにか精神的に弱ってたと思う、たいした力のない霊でも、Yに憑く事で力を増幅させてノートに字を書くっていう形で現実に干渉してきたんだと思う。」

たしかに、CはYとはそんなに仲がいいわけではなかったので知らないだろうが、その時期のYは家庭内の問題でひどくナーバスになっていた。
ただ、本当に複雑な事情があったし、世間体のいい話でもないので、Yがそういう状態にあるっていうのを知ってるのは私だけだった。

結局、私も後々関わることになるくだんの住職が超絶パワーの持ち主なので憑いてた霊に関しては消滅させてくれたらしい。(消滅っていう表現であってるかは分からないが)

まあよくある話だし、ステレオタイプだが、私にしてみれば人生初の心霊体験だったので本気で怖かった。

で、はっきり幽霊だと認識できるような状況なのにそれを認識せず興味を持って幽霊に対して気づいてる事を気づかせるという私の体質はここから始まった。

269:本当にあった怖い名無し
09/07/19 00:05:04 MnNUUQjO0
久しぶりに来た、ウニと赤緑以外のシリーズ物に対して、なんの感想も無いとは
凄まじい過疎っぷりだな。

270:本当にあった怖い名無し
09/07/19 02:16:46 SuDpkvfI0
気の利いた感想は言えんが乙。
Cって女性?

271:本当にあった怖い名無し
09/07/19 03:26:34 m922rjwqO
おっ!久し振りに新シリーズですなw
乙!
住職さんの方も面白そうだ
期待してます


272:本当にあった怖い名無し
09/07/19 03:59:05 ESy+qED6O
保守

273:本当にあった怖い名無し
09/07/19 08:28:25 H2B1i1Hw0
おもしろかった。乙
ただ名前はCとかYじゃなくて仮名でもいいから
伊東だとか斉藤とか付けてくれると読み易い。

274: ◆0fO6jMfX/o
09/07/19 20:35:37 gubiI5H20
>>270
Cは女性です。
Yも。
基本的に自分の中学生~二十歳頃までの話になりますので、
登場人物は基本的に女性です。

>>271
住職さんとは直接の接触はそんなにはないですが、実際お会いした際には
興味深い話をしてくださいました。

>>273
仮名をつける事も考えたのですが、仮名だとごっちゃになっちゃって
誰が誰だか書いててわからなくなってしまうのですよ。
実名のイニシャルで書いてます。

実話なので、最終的にきれいにまとめることはできないと思いますが、
時間のあるときに続きを書きます。


275: ◆0fO6jMfX/o
09/07/19 21:09:38 gubiI5H20
二十歳の頃の話。

当時住んでたところは、俗に言うところのB地区。
住んでるマンションの周りはヤ●ザの事務所だらけ、
オートロック、家具つき、浴室乾燥機付の当時としては
すごく設備の充実したマンションだったのに家賃6万。

まあまあ日本の5大都市の一つといっても過言でない場所なのに
結構な安さだった。

そのマンションはもうとんでもなくひどかった。心霊現象おきすぎ。
通り道ってやつだったんだと思う。
毎日毎日金縛り、ラップ現象、有線放送の異常、
数えたらきりがない怪異のオンパレードだった。

そんな一人暮らしの日々の中のインパクトのある幽霊さんの話。

普通、普通なのかはわからないが、幽霊ってけっこう短時間しか姿を現さない、
一瞬の邂逅はあっても継続的な対峙はないものだって思ってた。
そもそもが、実際何回も心霊的な現象に遭っててもそれが幻覚じゃないとは
言い切れないままに過ごしていた。
自分の中の狂気の具現かもという仮定を否定できないままでいた。


276: ◆0fO6jMfX/o
09/07/19 21:10:18 gubiI5H20
仕事を終わった帰りはいつでも深夜だった。
その日も1時を回った頃だろうか、マンションに帰り着いた。
狭い玄関を抜けて部屋の灯りをつけた瞬間、固まった。

部屋に入って左側の壁にベッドをつける形で置いて、右側は作りつけの鏡台が
張り付いてる、突き当たりは一面窓、そんな配置だった。
そのベッドの枕元、窓側の30センチくらいのスペースに女の人がたっていた。
まっすぐに前を見据えてピクリとも動かない。

目と目があってしばらく、30秒くらいだろうか、段々慣れてきた。
女の人はあまりにもはっきり見えているし、向こう側が透けて見えるわけでなし、
確かにそこに存在してるように見えた。
ガン見してる私に対して、視線を合わせるわけでなし、動くわけでなし、
私のことは意識してないようだった。
絶対に幽霊だっていう認識で見ていたが、果たしてそうなのだろうか?
ひょっとしたら生身?
部屋は2階だ、壁をよじ登ることも可能なんじゃないか?
女の人の横を横切り、というか並ぶような位置関係で窓を確認。
開いてない。
玄関は鍵がかかっていたし、カードキーだったので外部から開ける事は不可能に近い。
やはり幽霊か?

ここで、触れてみようかなという考えが浮かんだ。
だが、触れて認識されてしまったら?前述の通りこの部屋はちょっと特殊だ、
ほっといたってガンガンオカルティカルな事が起こる部屋に住み込みの幽霊はきつい。
どうしよう?
とりあえず知ってる限りのお経らしきものを唱えてみる。
消えない。
どうしよう、どうしよう?
何回見てもいる。消えてくれる見込みもなさそうだ。
時間は2時、もう1時間経過している。
1時間もずっと消えるわけでなく、動くわけでもなく佇む女の人、

277: ◆0fO6jMfX/o
09/07/19 21:11:07 gubiI5H20
そのまま寝てしまおうかとも思った、
だが場所が悪すぎる。枕元にあんなのがいる状態で寝れる程図太くない。
とりあえず、外に出よう。出てから考えよう。
繁華街まで徒歩5分の好立地、よく行くバーに逃げる事にした。
訳のわかる状態でマンションに帰るのは怖かったので死ぬほど飲んだ。
太陽が完全に顔を出している時間、その時間になってやっと帰った。


消えていた。
消えていてくれた。

まあ実害もないし、なんなんだかって話なのだが、よく考えてほしい。
寝起きの夢か現かも分からない状況の話ではないのだ。
仕事が終わった後すぐの完全に覚醒した状態、しかも1時間以上もじっくり観察した。
どれだけ私の中のなにかが狂っていたとしても、幻覚なんじゃないかという
疑いを持って、1時間も必死で眺め回したものが気のせいって事はないのではないだろうか?

オカルト好きではあったが、何回も霊的なものを見つつもどこかで実在を否定してた
私の前提を完全に否定してくれる出来事だった。


278:本当にあった怖い名無し
09/07/20 14:20:29 tWoagYBA0
乙~

279:本当にあった怖い名無し
09/07/20 17:43:11 NbAo2HKpO
乙。久々でいいな…こういうの。

280:本当にあった怖い名無し
09/07/20 23:24:11 VeR5RjQd0
霊に対する反応が冷静すぎて面白いw

281:本当にあった怖い名無し
09/07/22 05:56:28 v1NosXRLO
新投下キター(^^)/~~~乙!
こういう淡々としたのを待ってたんだ
感想に返しレスは避けた方がいい気もするが…

282:本当にあった怖い名無し
09/07/22 14:06:04 PSNDxHOyO
大体の経緯は把握しつつも空気読まずに…


















ケイさんの人来て欲しい

シリーズ物は大体好きだし

283:本当にあった怖い名無し
09/07/22 17:24:21 8gsKOldAO
ケイさんと藤原君と坂さんを同時期にやってた作者なんだから、似たような作風の見かけたら本人だと思うよ。
シリーズ物は投下しなくなってもスレには地縛霊みたいに残ってるし。
あ、本人ならごめんね。

284:本当にあった怖い名無し
09/07/22 23:49:57 PSNDxHOyO
>>283
thx!!!

スレって本スレの方ですか?
クレクレすみません。

285:本当にあった怖い名無し
09/07/23 09:30:55 D0/Tu89A0
作者が同一かは置いといてケイさんはもう来ないだろ・・・
経緯は忘れたけど手酷く粘着されて大変な事になってた。

>>277
乙です。
微妙な間が味わい深いです。

286:本当にあった怖い名無し
09/07/23 12:40:45 XMTATZI00
執拗に叩くバカのせいで、何人か作者が離れて行ったよね

287:本当にあった怖い名無し
09/07/23 13:41:05 ukUDuci5O
今さらだけど、スレタイがセンスないと思ってたのはオレだけですか、そうですか

シリーズ物ってのがどうにも安っぽいというか...いかにもヲタ臭い連中が寄ってきそうじゃない?
ここにウニの投下があるのが奇跡だよな


288:本当にあった怖い名無し
09/07/23 13:51:57 XMTATZI00
じゃあ例えばどういうスレタイならいいのか
案も書かずに批判だけしてもな。

289:本当にあった怖い名無し
09/07/23 18:49:53 B8w5hmrtO
>>285
経緯は調べました←
色々と有難う御座候ます。

290: ◆0fO6jMfX/o
09/07/23 19:22:52 VesrkPpZ0
中学生の頃の話

カラオケで見た後、半年以内くらいの出来事だったと思う。
夜中に目が覚めた。
うちは両親が商売やってたので、0時過ぎまでは一階に人気があるし、
両親が起きてたらすぐわかるので、0時は確実に過ぎてたと思う。

原因はカーテンの隙間でなにかがバタバタと動いてる。
泥棒?
と、恐怖におののきつつよく見てみると、飼い猫が窓に飛びついてるだけだったorz

やめてくれよ・・・
と思いつつ、猫を抱きかかえカーテンを閉めようとした。


291: ◆0fO6jMfX/o
09/07/23 19:23:32 VesrkPpZ0
ふっと、外が気になって窓を見る。
窓から2m程離れた場所に同い年か少し年下くらいの男の子が立っていた。
半ズボンにポロシャツ、ぱっとしねーな、こっち見るな。
と思いつつカーテンを閉めた。

って、ちょっとまてよ?
私の部屋は2階だ。窓から見て水平の位置にその男の子はいた。
屋根部分に乗ってる?とかも考えたが2mも離れたらそこは完全な空中だ。

おいおいおいおいおいおい、
もう一回カーテンを開けて確認しようとは思えなかった。


292: ◆0fO6jMfX/o
09/07/23 19:24:13 VesrkPpZ0
結局、窓の外に向かっていこうとする猫をぎゅっと抱きしめたまま、
まんじりともせずに夜を明かしました。
明るくなってカーテンを開けてもなにもいませんでした。


293:本当にあった怖い名無し
09/07/24 11:00:20 MP/wqkaN0
なんつーか、この主人公おもろいw
とことん冷静なツッコミだと思う

294:本当にあった怖い名無し
09/07/24 13:41:15 vm7bA62B0
霊感があると「見えるのが普通」だからいちいちオーバーアクションしない。
某スレのこの手の話はその辺で失敗してることが多い。

295:本当にあった怖い名無し
09/07/24 16:05:02 MP/wqkaN0
>>294
そうゆうもんなのか。
俺だったら絶叫しながら朝まで気絶コースだorz

296: ◆0fO6jMfX/o
09/07/24 19:48:01 K+6K8T8s0
住職の話

長くなってしまうと思いますので、とりあえず前半

幼馴染にCという子がいた。その子は結構な勢いで霊感が強いらしく一緒にいた私まで少し見える位になってしまった。
何回か困った事になったのだけど、その度にCが相談してたのが、C一家がお世話になってるお寺(仏教系だとは思うけど詳しい宗派は分かりません)
なんでもそこの住職さんがとても力の強い人でお払いだのお札だのお守りだのくれるらしい。

間接的に毎回幽霊騒動を解決してくれてた住職、そんな住職と直接お会いしたのは一回、お寺に行ったのは二回。
実はそんなに関わってはいない。

住職に直接会うに至ったのは私が20歳になるかならないかの頃。
その時住んでたマンションが本当に最悪だった。
毎日金縛りだし、毎日なにかがいた。
一緒に住んでた弟は夜中に包丁かざしながらブツブツ言ってる私を目撃して逃げ出した。
思えば少し憑かれていたのかもしれない。


297: ◆0fO6jMfX/o
09/07/24 19:48:42 K+6K8T8s0
それでも定住してるような幽霊さんはいなくって、まあ無視できるレベルだった。
耐えられなくなったのは春先、地元の神社で花見をしたときだった。
ガリガリに痩せた子猫がいた、猫好きの私は可哀想に思って、持ってきてたお弁当をあげてじゃらしていた。
しばらくすると猫がゆっくり移動しだした。
「猫ー、待て待て」
猫を追いかけていくと境内のわきあたりに朽ちたダンボールがあった。

猫は多産である、群れてる事が多い子猫が一匹だけしかいなくって、歩いていった先にあるダンボール。
嫌な予感しかしない。
見なければいいのに中を見た。
3匹、子猫が並べられていた。奇妙なのは首に切られた跡があったこと。
普通に考えて餓死なはずなのに、明らかに誰かに殺されている。
綺麗に横に並べてあるのも不自然すぎる。
変質者のいたずらだろう。
可哀想な子猫たちに哀れみと殺した変質者に激しい怒りを覚えた。
そのまま放っておくのもなんだが、埋めてあげるほどには時間がない。
ダンボールから出して、少しだけ掘った地面に子猫を置き、上から砂と落ちていた葉っぱをかけておいた。

298: ◆0fO6jMfX/o
09/07/24 19:49:46 K+6K8T8s0
その晩からだ、毎日のように夢を見る。
どこかの駐車場の脇のアスファルト、学校の校庭、部屋の床、様々な場所であの子猫たちが死んでいる。
喉をかき切られ、だらんとした体で並んで死んでいる。
それを見る度に激しい虚無感に襲われて目を覚ます。
目覚めると必ず金縛り。
耳元で子猫の鳴き声。
ずっと続いていた。
無視できないレベルだった、確実に憑いている。
通りすがりではない、明らかに自分がターゲットになっている感覚に気が狂いそうだった。

普通の暮らしの中で視界の端々を横切る小動物の後姿に心底おびえていた。
限界だった。
今回ばかりは本当に発狂しそうだ、明日にでも死んでしまいたい。
そう思いながら少しずつ身辺整理をしてたときにふと思い出した、
心霊現象といえば、あいつがいるじゃないか、Cだ!

299: ◆0fO6jMfX/o
09/07/24 19:50:55 K+6K8T8s0
郊外の地元に住んでいるCとは少し疎遠になっていた、が、そこは幼馴染なので連絡先だけは知っていた。
Cに今までの経緯を話す。
「聞いてるだけでこっちにきそうだし、電話切っていい?」
ふざけて言っている感じではあったがこの差し迫った状況で笑える冗談ではない。
「いや、まじで、助けて、お願い。」
すがるように言うとCは少し考えて、
「私じゃ多分解決できない、お寺に行こう。住職と直接会うのが一番手っ取り早いと思う。」
すでに夜だったので次の日のお昼、住職に会えるように段取りしておくとCは言い、電話は切れた。

300:本当にあった怖い名無し
09/07/24 19:52:25 K+6K8T8s0
過疎りすぎなので、少し上げておきます。

301:本当にあった怖い名無し
09/07/24 20:15:17 MP/wqkaN0
なんというか、そのマイペースさが(笑)

302:本当にあった怖い名無し
09/07/24 20:18:36 TbPkigAHO
見てるから続きお願い

303:本当にあった怖い名無し
09/07/24 20:47:44 pNZ6O2ov0
僕は支援ってのが出来る

304:本当にあった怖い名無し
09/07/24 21:56:16 JWlaI7C6O
>>283
まとめで読んだけどその作者は秀逸だね
長さも調度良い感じに余韻あり
シリーズ物とはいえ、長くし過ぎると話があまりに無理っぽくなる

305:本当にあった怖い名無し
09/07/24 23:07:47 MP/wqkaN0
◆0fO6jMfX/o はもう寝ちゃったのか、TV見てるかだと思う。
どのみち忘れてるか明日にまわすのかな? マイペースすぎるがソコがいいw

306:本当にあった怖い名無し
09/07/25 05:00:53 uWuzo2ES0
>>296-299
紫煙
上げないけど・・・。次の晩にでも後半読めるとうれしいです。

307:♯マツダ
09/07/25 05:51:27 QGxFCKHw0
テスト


308: ◆2Io4DQNHH2
09/07/25 05:52:48 QGxFCKHw0
テスト

309:本当にあった怖い名無し
09/07/25 09:11:11 jaAh7lt40
>>307 >>308
マツダさんは何のテストをやってるのやら。

310:本当にあった怖い名無し
09/07/25 10:39:12 PjcqCjJp0
DQN検定中のようです。そっとしておきましょう。

311:本当にあった怖い名無し
09/07/25 17:31:17 YemqI4nN0
>>304
そういう自演がいやなのよ。
あんな駄文きょうび中学生でも書かんぞ?


312:本当にあった怖い名無し
09/07/25 18:59:04 d5yOnAG80
もちつけよ。
坂さんと藤原君は俺も好きだ。
名文かどうかは別問題。(駄文って言ってる訳じゃないぞ)
リアル鬼ごっことか恋空がベストセラーになっちゃう世の中だぜ。
どんなに駄文にファンがついても全然おかしくない。



313:本当にあった怖い名無し
09/07/25 23:32:34 BM1ALL6T0
 大学のときの先輩(女の人)ですごい人がいたなぁ。
 シリーズどころか、ひとつしかエピソード知らないけど。

 自分の友人(男)も霊感がある。思念の存在している場所が感覚でわかるらしい。
 「ほかに、誰が霊感強い?」と聞いたら、開口一番「F先輩はすごいね」。
 彼に言わせれば「いるな」とわかる程度のレベルではないそうだ。
 「霊が見えるんですか?」と本人に聞いてみたら、いっつもにこにこしているF先輩が、口調も顔も変えず
 「いやーあんなの気にしてたら生活できないですよ」と、さらっと答えた。

 マジビビッタ。

 当時、ひとり暮らしだったF先輩のエピソード。
 ある日、夜中の一時に、友人が来る用事があったそうだ。試験対策用のノートを取りにくるとか何とか。
 で、起きてた。のに気づいたら

 二段ベッドの上で寝ていた。

 そんなところで寝た記憶はない。というより、上の段で横になることはない。
 ベッドを持ちこんだはいいが、天井が近すぎて圧迫感があったかららしい。
 目ざまし時計は壊れてた。ひっきりなしに針がぐるぐると回っている。
 部屋で唯一の時計だったので、そのときの時間はわからなかった。
(十五年くらい前の話で、当時携帯はほとんど普及してなかった)。

 不思議なのは寝方だった。左腕をまっすぐ垂直に上げていた。
 で、薬指の根元―手の甲の側に、きれいな正三角形の傷痕があって、血がつうつう滴り落ちてた。
 血はなかなか止まらなかったそうだ。
 結局その日、友人が来ることはなかった。

 F先輩とボウリングで会ったとき、「左手の包帯どしたんですか?」と聞いたら、この話をしてくれた。
 いつも通りのにこにこした顔と口調で。

 世の中にはマジもんがいるんだ、と信じるようになったのは、F先輩のおかげ。


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