09/05/28 19:15:19 1ml7x3Fa0
『実は、お客さんの前に、男を乗せたんだけどね』
M子さんを追い越して行ったサラリーマンだ。
『その男がね、××重機で降りたんだよ』
タクシーの中で、男は携帯で電話していた。
(もうすぐ付くから)とか(何分後だ)とか話していたのだという。
そう言えば、運転手はしきりに夜勤がどうの、××重機がどうの
と言っていたのを思い出したが、なぜここまで通り過ぎたのかが
分からない。M子さんが尋ねると
『お客さんは、××重機の人じゃなさそうだし、火曜日もここまで
来たでしょ。まあ良いか、とは思ったんだけどね』
××重機の事務所は電気点いてないし、あの男もここの社員じゃない
んだろうなぁとボンヤリ考えていたら、道の反対側にワンボックス
が一台停まっていたのに気が付いたのだそうだ。
『4人くらい乗ってたかなぁ。それがライトが当たるとね、サッと
隠れたんだよ。あやしいだろう。しかも運転席に居たのは
間違いなくあの男だったからねェ、何かあっても俺も怖いし』
M子さんは携帯で母親に話したのを思いだしてゾッとした。
(うん・・今駅。タクシーに乗るから・・××重機まで・・)