09/04/29 17:53:45 NX8Hv8u50
私のじいちゃんは、私が小さかった頃によく山の話をしてくれた。
その頃はまだその話を信じていたけれど、
年を重ねるごとに、それらの話はじいちゃんが私を楽しませる為にしてくれた与太話だと思うようになっていた。
しかし、最近母ちゃんからある出来事を聞いたことで、じいちゃんの話は本当かもしれないって感じてきたんだ。
ちょっと記憶が曖昧な部分があるんだけども、じいちゃんから聞いた話を投下するよ。
伝聞語尾は鬱陶しいから外すね。
じいちゃんが小学校に通っていた頃。
じいちゃんは山間部の小さな村に住んでいて、よく山に入っていた。
遊び……もあるけども、山に入る理由の大部分は茸や山菜を取ったり、ウサギを捕まえるといった食料収集だったのだ。
しいちゃんって6人兄弟の末っ子なんだけども、じいちゃんと三男・五男のじいちゃんの兄ちゃんがその仕事を割り当てられてたんだ。
で、最初の頃は3人で茸なんか取ってたんだけども、その内じいちゃんも慣れてきたからっていうんで、3人バラバラに山に入るようになった。
ある日、じいちゃんはウサギを捕まえる罠を仕掛けに山に入っていった。
罠を仕掛けるポイントってあるんだけど、今日は違うポイントを発掘しようといつもとは違う場所にやってきた。
道なんてない。樹木と雑草で覆われた荒れた所を、ずっと登って行った。
で、この辺りかなと思われる場所にやってきて、さぁ罠を仕掛けるぞと腰を屈めた時だった。
ガサガサ
じいちゃんの後方から、物音がした。
ウサギだったらラッキーだけど、猪だったらどうしよう……と罠を仕掛けようとした手を止め、おそるおそる後ろを振り返った。
草陰に隠れ、よくは見えない。けれども草陰に隠れるのならばウサギかウリボーだなと思い、すくっと立ち上がってみた。
しかし、そこにいたのは鶏だったのだ。
村で鶏を飼っている○○さん(名前忘れた)のとこのかな?と思ったのだが、こんな山奥まで鶏を放すわけがない。
野鶏か!とも考えてみたが、こんな山奥にいるというのに汚れ一つ見当らない、とても綺麗な毛並みだったので、それも違うと考えた。
では何故こんなところに鶏が?
しばらくボーっとその鶏を見つめていたじいちゃんだったが、ある所に気がついた。