09/05/03 02:49:17 FtB2cIYl0
(この話はフィクションです。「俺」と作者は別人であり、当然筆者は殺人事件に関与はしていません。)
おれはとある殺人課の警部なんだが、聞いてくれよ。今回の事件はまったく奇妙奇天烈なんだぜ。
とある豪邸が、仕掛けられていた爆弾によって突如爆発した。
そして四散した瓦礫の中から、粉々になって焼け焦げた男の死体が発見された。
この事件、訳がわからないのは自称「犯人」が五人も自首してきたってことなんだよ。
しかも全員が自分の単独犯だと言い張るものだから、訳がわからない。
A「俺がやりました。あいつはソファで寝る癖があるから、前もって家に仕掛けておいた時限爆弾で吹っ飛ばしてやったんです。」
B「犯人なら俺だよ。あいつはいつもソファで寝る癖があるんだ。その日俺が近づいた時は、気分が悪いのか、ソファで白いマフラーを首に巻いた格好で、何故かびしょ濡れの状態でガクンと首を項垂れて俯いてるから、血まみれになるまで腹を滅多刺しにしてやったよ。」
C「あいつを殺したのは俺。いつものように、白いシャツをだらしなく着た状態でソファでふんぞり返ってびしょ濡れで寝てるから、
背後から近づいて、前もって用意していた白いマフラーで絞め殺してやりました。」
D「あいつには結構前前から恨みがあってさあ。遠くのビルから狙撃してやったよ。白いマフラーに赤いシャツを着てソファで項垂れながら寝てるところらしいのがファインダーから辛うじて見えたから、銃弾を頭に撃ち込んでやったさ。」
E「あいつは白いシャツ姿でふんぞり返って寝てたから、丸出しになっていた首筋にスタンガンを当てて感電死させてやった。あいつ、風呂上がりなのか全身びしょ濡れだったから電流が良く通ったのか、即死だったぜ。
あれだけの高圧電流を流してもピクリともしなかったんだからな。」
俺は部下の刑事を呼び出した。
「犯人は誰だと思う? 誰が毒―いや、殺したんだろうな。」
危ない危ない、つい「毒殺」というところだったぜ。そう、実は犯人は俺なんだ。
遅行性の毒物を、奴が常用するカプセルにすり替えておいたからな。うっかり口を滑らせるところだったぜ。
でも鈍い部下は、俺のそんな失言にも気付かずにのんびりと答えた。
「そうですよね。誰が被害者を溺死させたんですかね~。」