09/04/17 18:58:49 oONYR6Ni0
近くにちょっとした川があるんだよ。
流れが急で、溺死事件なんかが多かった所為か、子供の頃は年寄りから、
『あの付近に近寄るな、近寄ったら引きずり込まれるぞ』なんて脅されたもんだ。
大人になった現在では、俺にとってその河川敷は絶好のランニングコースだ。
そんな怪談の所為か、人も少ないしな。
その日も、家の近くにある橋から河口までのおなじみのコースを走っていた。
ふと水面に目をやると、子供が水面から顔を出して、手をバタつかせながら溺れていた。
まずい、助けなければ!
そう思ったのだが……前日の豪雨の所為か川の流れはいつもより急で、躊躇してしまった。
結局、子供はあっという間に流されて行ってしまった。
俺はその時、酷い後悔に襲われたよ。
でも、もしかしらた子供がどこかで岸に流れ着いているかもしれない。
そう思って、子供が流れて行った方へしばらく走ってみたんだ。
いつものランニングコースのざっと4、5倍は走った所で、俺は走るのを止めた。
いずれにしろ、飛びこまなくて良かったと思ってしまった。