09/09/08 00:39:44 pAFMHWBk0
では、オカ板らしく、在隊中に聞いた怖い話でも。
私が、海上自衛隊で最期に乗艦した護衛艦がSだった。
Sは1988年に施行した護衛艦なので、とかく古い艦だった。然るに、所謂「心霊話」が豊富だった。
曰く、艦橋上部に旧海軍士官が立っているのを見た。
曰く、艦橋上部に繋がるタラップ(梯子)の隙間に病死した司令の顔を見た。
曰く、見張り中に肩を叩かれて、振り返ると誰もいなかった、等といった具合である。
「鉄道員」で好評を博した浅田次郎氏が「自衛官は肉体を信奉しており、そういった幽霊等、およそ肉体的とは言い切れない得体の知れないものに対して畏怖をする傾向にある」と述べているのには納得した次第である。
あの話を聞いたのは、確か7月だったと記憶している。その日、護衛艦Sは射撃訓練の為、予め指定された海域に向っていた。
当時、Sは海士が不足しており、三等海曹と言えども見張りに回される事が多かった。
私も御他聞に漏れず見張りだった。
見張りは、通常航海直で2時間、艦内哨戒第三配備が令されると3時間、立ちっぱなしで備え付けの望遠鏡を覗き込まなければならない。
日中は訓練等で気が紛れるが、深夜直では2~3時間の仮眠しか取れないこともざらで、眼鏡の接地部に顔を預けて熟睡する二等海士が後を絶たなかった。
その日、私は2345~0245の直に着いていた。この時間帯の直は、睡眠時間が余り取れず、嫌われていた直であった。
私は幾度かの危ない瞬間を乗り越え、何とか寝ずに見張りの任務を全うしていた。やがて時間が経ち、交代の人間が艦橋に上がってきた。私と交代するのはY海曹という古い兵隊だった。
測的目標等の申し継ぎを終え、解散を命ぜられた私は、どうにも目が覚めてしまい、仕方が無くY海曹と煙草を呑みつつ他愛も無いことを喋っていた。そして、「心霊話」へと話題が移り、その話を聞いてしまった。