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"ガッカリ観光地"になる!? 廃墟の王様『軍艦島』の未来
2009/2/4 11:00
廃墟マニア垂涎の"軍艦島"こと長崎県・端島。
9階建ての鉄筋コンクリート造は当時の最先端技術だった。
長崎市の南西に浮かぶ「軍艦島」(正式名称:端島)といえば、廃墟好きを中心に、
多くの人に知られている近代遺産だ。石炭採掘のために開発された島は、まさに
"廃墟の王様"の名に劣らず、圧倒的に異様な外観で見るものを惹き付けている。
2008年には文化庁の世界遺産暫定リストにも登録され、目下ユネスコに世界遺産
登録申請中の軍艦島には、日本だけでなく、アメリカやフランス、ドイツのクルーまでもが
取材に押し寄せるという。
しかし、そんな軍艦島は、これまで安全上の理由から一般客には開放されておらず、
クルーズ船で海から眺めることしかできない「遠い島」だった。そんな事情から不法に
上陸をする不届き者が後を絶たず、安全面の不安やマナーの悪さなどが指摘されていた。
そのような状況を打開するために、地元長崎市では軍艦島を本格的に観光施設として
整備しようと目論んでおり、この春から遊歩道が敷設される予定だ。
これでようやく憧れの廃墟に足を踏み入れることができる、と廃墟マニアが喜びの声を
上げたのも束の間。「ちょっとガッカリしてしまうかもしれない」と語るのは、
「NPO法人 軍艦島を世界遺産にする会」理事長であり、軍艦島ガイドを務める坂本道徳さんだ。
「遊歩道が敷設されるのは、ドルフィン桟橋と呼ばれる船着き場からわずか220メートル。
廃墟として人気の高い住居跡や炭坑跡などには、崩落の危険もあり立ち入ることができません」という。
どうやら観光地化され、解放されたとしても、その魅力を存分に味わうことができず、
寸止め状態の歯がゆさを味わうことになりそうな軍艦島。これでは、軍艦島の魅力が
全国に広まるどころか逆に"ガッカリ観光地"の仲間入りをしてしまうかもしれない。
やはり軍艦島の魅力は、日本で初めて鉄筋コンクリートで造られた集合住宅や、
高度経済成長を支えた石炭の採掘場の廃墟探索だろう。