08/11/14 02:28:41 mbt4fzes0
彼の涙に釣られたのかもしれない。私の目に涙がたまり何も見えなくなっていく。目に映る全てが歪み不確かになる。遂に私の瞳のダムは決壊した。
止め処なく溢れる涙の粒が頬を伝って落ちていく。最初の一粒が地上に落ちた時、私も我慢できなくなって彼に抱きしめられらがら泣いた。
暖かな体。温かな心。温かな涙。暖かな彼の温もり。陽だまりに居るようで気持ちもぽかぽかしていく。あったかな涙は止まらず、でも少しも悲しくはなかった。
私には彼がいるから。僕がここにいるからと彼の温度が伝えてくれたから。きっといつか笑顔になれる。笑い会える日が必ず来る。
この瞬間私は疑いようもなくそのことを信じていた。そのことを彼のぬくもりのせいにした。
こんなに泣かされたのは生まれて初めてだ。
あったかな涙に包まれて、そのとき私は確かに幸福のなかにいた。
---柔らかな彼の声がこれほど歪むのを聞いたのは後にも先にもこの一度きりだった。---