09/04/28 22:42:51 DRpKHgU30
客3人の時の話
秋山 立つ
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その後、浦和ロックンロールセンターの計らいで、
埼玉県蕨市のライブレストラン”にんじん”へ出演するようになった。
しかしそれは常にフュージョン・バンドとの共演であった。
この国では、プログレは円熟する前にフュージョンへと変貌してしまった。
しばしばプログレはフュージョンと同ジャンルだと誤解された。
プログレ最大の屈辱である。満杯の客の前での演奏も、完璧に無意味であった。
スモーク・オン・ザ・ウォーターの屈辱に加え、フュージョンの屈辱がMANDRAKEを
襲った。
我々は浦和ロックンロールセンターのボスに、ワンマンでやらせて欲しいと懇願した。
晴れてワンマンの叶うその日、MANDRAKEは期待に胸を膨らませていた。
田島ヶ原効果、そしてフュージョンとの共演の成果が客数にあらわれる日だ。
ステージに上がった瞬間、虚無感が襲った。
観客は、何度数えても3人であった。
演奏が終わると、一人の客が立ちあがって猛烈な拍手を送ってくれた。
そして、「すばらしい!」と叫んだ。
秋山 勝彦である。
しかし、もう”にんじん”には出られない。