10/07/01 02:30:14 fjB9i5Sx
「サマー・オブ・サム」
スパイク・リー作品。
実在した連続殺人鬼をキーとして、その時代とNY都市住民の心理を描出する群像劇をやりたかったのかな。
今ひとつどこを楽しめば良いのか分かりにくい作品だった。
ちょっと下卑た感じの小男で妙にモテモテの美容師が主要登場人物として出てくるのだが、
変に下世話なラブシーンなどの性愛描写もしつこく、どちらかというと不快。
他の映画で後に戦場でピアノを弾く事になる鼻の長い気弱な顔したあの俳優がセックス・ピストルズ真っ青の
バリバリのパンクミュージシャンで登場してたのにはつい笑ってしまったが、全般的にどこに視点を置けばよいのか難しい。
ブロンド女性ばかりを狙った殺人鬼という存在自体が、通常の性愛からの疎外を主要原因として生じていると見なし、
それゆえに変にモテモテの小男の性愛を丹念に描くことで、その犯罪動機の構造を見せようとしたのか。
確かにその俗っぽいモテ男は、その浮気性ゆえに妻の愛を失いまた職も失って社会的に追い込まれた状態になって
無理やりに全く無関係の上記ミュージシャンを真犯人として勝手に決めつけ仲間とともにリンチしてしまうという、
この猟奇連続殺人犯の陰画であるような社会的暴力性をラストに発揮して見せたりもするのだが。
主要人物である夜な夜なダンスクラブに繰り出してモテてるチンチクリンのトラボルタみたいな小男の設定からして
戯画化されたものであって、もっと全体を喜劇的に捉えて楽しむべきなのだろうか。
監督のスパイク・リー本人も作品内にレポーターとして登場し、下層の黒人を全く現実に理解してないなどと非難を
浴びせられる台詞を劇中でスラムの黒人に吐かれてたりもしてるので、スパイスは効いてるのかもしれない。
でもNYなんて知らない田舎者の私にとってはやっぱり分かりにくい映画だったよ。