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「自然」が受ける時代だ。食品でも動植物でも、「天然」「野生」と聞くと、ありがたみが増す。
そんな価値観からすると、「家畜」という存在はつまらない。人間の都合で作り替えられてきた、
いわば工業製品のようにも思える。
でも、その家畜を「人間の都合」を映した文化財として見ると、どうか。図鑑「日本の家畜・家禽」を
手にして、生きた文化財の魅力に引き込まれた。
土地柄に応じて、多様な品種がある。愛媛県の「野間馬」は国内最小の在来馬で、段々畑で
みかん収穫に活躍した。日本唯一の在来豚は南西諸島の「アグー」。体重が20~40キロしか
ない。冷蔵保存のなかった時代、一気に食べきって肉などを無駄にしないために都合が
良かったのだろう。
機械の発達とともに、こうした都合もなくなり、多くの品種が消えつつある。その保存に取り組む
上野動物園の小宮輝之園長が各地を回って写真を撮り、家禽が専門の秋篠宮さまと共に
書き上げた。(満)学研。3000円(税別)。
(2009年5月14日 読売新聞)
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