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ドミニカ共和国で取材中の筆者は、このところ立て続けにショキングなニュースに
直面している。1つはアレックス・ロドリゲスのステロイド使用問題で、本人が過去に
使用したことを認めるコメントをしたことだ。以来、彼の写真入り記事が立て続けに
3日、新聞のスポーツ面1面を飾った。
A・RODショックはその後も延々と続く様相を呈していたのだが、今度は同国出身
のミゲール・テハダがオークランド・アスレティックス時代に禁止薬物を使用していた
にもかかわらず、偽証していたことが発覚。地元紙は大きく「CULPABLE」(罪人)
と見出しをとり、騒ぎはテハダのほうに飛び火した。
おりしも、2月11日にはWBCドミニカ共和国のキャプテンを、モイセス・アルーが
務めることが発表され、本人やスポーツ大臣など臨席のもと、大がかりな記者発表
が行われて「さあ、これから」と息が上がったばかりだった。WBCには史上最強
チームを送り出すはずだったドミニカ共和国。候補に挙がっているスーパースター
たちの相次ぐ不祥事発覚で国中に衝撃が走っている。
ステロイドと言えば、数日前、サンペドロ・デ・マコリスの球場で練習していた15~
17歳くらいの少年たちが、注射器を手に何やら話をしている場面に遭遇した。これ
からメジャーリーグの球団が持つアカデミーのテストを受けるということだったが、
彼らの手に持っているのは、どう見てもステロイドの溶液の入った注射器だった。
しかも、全くコソコソした様子はなく、注射器を仲間の間で堂々と持ちまわしていた。
考えてみれば、彼らにとって、アカデミーのテストに受かる、受からないは死活問題。
1人の少年の肩に家族全員の生活がかかっているのだ。そこには、この時点から
薬の力を借りて、競争に打ち勝たなければならない少年たちの悲劇が潜んでいる。
もちろん、薬物などに染まることなく、まっとうに取り組んでいる選手がほとんどだ。
だが、少年たちからメジャーのトップスター選手まで、この1週間で見聞きした現実は、
あまりにも衝撃的で、歪められた競争、その負の遺産を突き付けられた思いがした。
日刊スポーツ MLBコラム 鉄矢多美子「Field of Dreams」
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