09/02/05 18:54:00 0
ジョージ秋山の有名な劇画が原作、手だれの脚本家(岡田惠和)の脚色である。
貧乏育ちで金しか信じられず、自分をコケにした人々への復讐の鬼と化した主人公・風太郎
(松山ケンイチ)が、殺人までして次々と野望を遂げてゆく。父親によって幼い時に左目に
怪我をさせられ、母親は貧乏で医者にもかかれず死に、これでもかこれでもかと悲惨が続く、
よくあるピカレスク物語である。
毎日新聞がワンクールごとに記者やテレビウォッチャーを集めてドラマ判定会を記事にしているが、
今期の中では6人の内4人もが◎の評価を下した番組なのだが、さて。筆者にいわせれば
笑止千万である。この6人はおそらく劇画世代で、めまぐるしく起こる事件を繋いだ
ハードボイルドタッチに目くらましされているのであろうが、作品としては決して高級なドラマではない。
何故なら、人間を描くというよりは、おどろおどろしい事件の羅列により、
一見人間を描いていると錯覚しているだけで、浅薄なのである。
風太郎は目的の金持ちの家に潜り込んだが、そこの娘は顔に痣があり下半身は車椅子、
これもハンディキャップ要素に寄りかかって『鬼面人を驚かす』。毎度口を酸っぱくしていっているが、
ドラマは普通の人を描いて、そこに人間の在り様や真実を問うのが本道であり、
その作業は至難の業なのである。『鬼面人を驚かす』だけなら負の要素ばかりつなげて事足れり。
これでは良質なドラマといえない。
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