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暴力団資金、条例で規制…自治体に広がり
暴力団の弱体化を目指して、独自の条例や要綱で、資金源や暴力団
事務所の開設を封じ込めようという自治体が目立ち始めた。
中でも、暴力団の対立抗争が続く福岡県では今月、暴力団に資金提供
した企業や個人を対象に、罰金や懲役刑などを科す全国初の条例案
を公表し、来春の施行に向けて準備を進めている。
警察庁は、他の都道府県に対しても暴力団弱体化に向けた対策を促す
方針で、今後、全国に広がるか注目される。
福岡県の条例案は個人や企業を対象に、相手が暴力団と知りながら
金品などの利益を供与することを禁じるのが特徴。暴力団の威力を
商取引に利用する目的だった場合など悪質な利益供与には、罰金や
懲役刑を科す。罰則の詳細は未定だが、懲役1年以下、罰金50万円
以下程度で調整している。
条例案を作るきっかけは、同県を地盤にする指定暴力団道仁会の分裂に
端を発した九州誠道会との対立抗争。2007年8月には道仁会会長が路上
で射殺されるなど約3年間に15人が死傷し、07年には15件、08年も
13件の発砲事件が起きている。
県警も暴力団員を狙い撃ちにした職務質問を徹底するなど取り締まりを
強化したが、二つの組織の構成員は昨年末時点で1140人に上り、05年
末の910人よりも逆に増えるなど弱体化の兆しは見えていない。
背景として、県警は「企業や個人が暴力団に協力する風土がある」(県警
幹部)と分析しており、前県警本部長の田村正博・早稲田大客員教授は
「従来型の取り締まりでは対応できる状況でなく、資金源を封じる必要が
あった。罰則が明記されれば、関係を断つきっかけになる」と力説する。
07年11月、道仁会と九州誠道会の抗争で、病院の入院患者が間違われ
て射殺された佐賀県では昨年、道仁会が県内の元保養施設に拠点を
移そうとしていたことが判明した。(続く)
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