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社員の「うつ」、幹部ら陰口メール フルキャスト謝罪
2009年2月27日6時50分
人材派遣大手フルキャストホールディングス(東京都渋谷区)とグループ
会社の幹部らが1月、パワーハラスメントが原因の「うつ」を診断書を
添えて訴えた男性社員に対し、診断に疑問を示し、「採用時から『ろれつ』
は回っていない」など、侮辱ともとれるメールを交わしていたことがわかった。
男性が入る労働組合は「心の病気を笑い物にする人権侵害だ」と抗議し、
同社は今月謝罪した。
男性社員(28)は、グループ会社トップスポット(東京都新宿区)に勤務。
労働組合派遣ユニオン・フルキャストグループ支部(フルキャストユニオン)
は、一昨年から男性社員を含む組合員へのパワハラをめぐり、会社に
改善を求めてきた。これに対し、フルキャスト側はパワハラを否定。
派遣ユニオンは昨秋、東京都労働委員会にあっせんを申請していた。
男性社員は昨年12月、診断書を都労委に提出。メールはこれを踏まえて
書かれたとみられ、1月中旬、交渉に関係する幹部数人が受け取った
メールに内容を残したまま、書き足していく形で送受信を重ねた。その際、
一人が男性社員に誤って送信し、発覚した。
一連のメールのうち、フルキャストのコンプライアンス責任者は、個人情報
である男性社員の持病を明らかにしたうえで、「鬱(うつ)かどうかはわかり
ません」との疑いを表明。さらにパワハラの影響を否定し、「採用時から、
『ろれつ』は回っておりませんでした」などと書いた。
男性社員は、ろれつが回らないというのは事実無根の言いがかりだとし、
「メールを見たときはショックと悔しさで眠れないほどだった」と話す。
同ユニオンは会社に強く抗議。これに対しフルキャストホールディングスは
今月6日、社内メールの「不適切な記載」を認め、漆崎博之社長名で男性に
「お詫(わ)び」の文書を出した。関係者を処分するとともに再発防止策を
講じるとしている。
フルキャスト広報室は朝日新聞の取材に対し、「労働委員会のあっせん中
であり、コメントは差し控える」としている。(清川卓史)
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