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「ジャーナリストの矜持」
「酩酊」記者会見で、世界に醜態をさらした中川昭一元財務・金融相が、
記者会見の直後に出掛けたバチカン博物館でもご乱行を重ねていた。
立ち入り禁止区域に入ったり、触ってはいけない美術品に素手で触ったり
していたというのだ。
▼警報まで鳴ったという。中川氏の事務所も後日、それを認めて謝罪して
いるから、相当ひどい状況だったのだろう。見学には、財務省の高官や
在バチカン日本大使館員らが同行していたが、誰もそれをとがめなかった
というから、これまた度し難い。
▼もうひとつ、理解に苦しむことがある。中川氏の酒席に同席していた
記者たちがいまだに沈黙していることである。財務省高官の国会答弁に
よると、中川氏がローマに滞在していた2日間に、食事をともにした記者は
延べ5人。だが、大臣が辞任するほどの騒動になっても、その状況を誰も
記事にしていない。それどころか同席していたことさえ公表していない報道
機関が3社もある。
▼どういうことだろう。酒席をともにしていたなら、大臣の状況も詳細に
知っているはずだ。それを正確に伝えるのが読者の関心に応えることでは
ないか。それをしないのは、ジャーナリストとしての自殺行為ではないか。
▼何か後ろめたいことでもあるのだろうか。それとも、権力にすり寄ることに
慣れ、それをチェックする使命を忘れてしまったのか。ジャーナリストとしての
矜持(きょうじ)が問われている。(石)
紀伊民報(2009年02月24日更新)
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