09/05/05 11:52:12 /hTRpFau
北野武は座頭市で本格的な監督になれた気がする。
お笑いを映画にすることは失敗続きだったと思ったが、
「アキレスと亀」で初めて成功した。
狂気をきちんと描けば笑いにもなるし、突き詰めれば
物語にもなる。今まではビートたけしの演技で狂気を
演じようとして失敗したけれど、アキレスでは主人公
の描いた作品で狂気を完結に見せた。
主人公も子供時代、青年時代、中年以降を三人で
演じることによって、主人公のキャラクターを抑えて、
絵を描くことでしか救済されない人生が映画になった。
ただし、この映画はファンを選ぶ。アートや絵画についての
知識がないと笑えない。特に70年代のヒッピームーブメント
のアートが、主人公を狂気に追い込んだ。
この時代の騒乱と混沌を若い世代は理解できないだろうが、
それができれば、こんなに優れた映画は、日本の映画界においても
近年稀な傑作。
個人的にはソナチネで見せた才能が開花した感じだ。
アキレスと亀で、北野武は日本を代表する映画監督になった。