09/06/27 20:39:15 ncjjVv81
>>341
裁判の起訴理由はふたつあった。
一つは囚人を閉じ込めた教会の鍵を看守は開けることが出来たのでは
ないか?というもの
もう一つは、選別ということ。看守は自分の担当の囚人のなかから働けなく
なったものを選んでアウシュビッツへ送っていたがそこに個人的な感情が
あったのではないか?というもの。
ハンナの裁判での態度は、あまりにも自分に正直で裁判官を当惑させたり
他の看守と合わなかった。そこにいるのはすべての看守ではなく火事があったときの
アリバイのない者たちだけを集めたといったいい加減な召集のしかたを
されていたので、みんな自分たちには責任がないと逃げるつもりだったのに
ハンナが妙に正直に答えるので他の看守の反感を買っていた。
ハンナは責任者ではないのにそうされて一番目の罪をかぶることになった(冤罪)
マイケルがそれを明らかにすればハンナが囚人を選別していたという罪が浮上
してくると思った。マイケルはハンナに残忍な心や他人を貶めて喜ぶような
ところが全くないのは良く知っている。でもそのハンナの善良さや親切が世間一般の
ものとは少し違うところがあるので裁判官や聴衆がハンナを誤解してしまうかもしれない。
ハンナは誇り高く、こう証言しろといっても聞かないだろう。自分のやったことに
まったく罪悪感は感じていない、しかしそれは相手の立場になって考えるということが
できないからで、小さな朗読者の女の子たちの立場に立てば、つらいことだったのだ。
マイケルは文盲であることを言えば一番目の罪からは逃れられるが二番目の罪について
ハンナに余計なことは言わずただ親切にしてあげただけだと証言させることは難しい
と感じ葛藤していたのだと思う。余計なことを言わせないためにはまずハンナにハンナの
罪についてわからせ、何が問題となるのかを理解させ、ただ親切にしてあげただけですと
証言させなくてはならない。それは誇り高いかたくななハンナにさせるのは不可能だと
絶望したのだと思う。