09/05/16 13:00:04 q9R+51qW
色々ご教示有難うございます。
異化と同化ですが、ハネケ監督は暴力を異化の道具として“用いている”というのが僕の認識です。
殆ど主体を排除するので投射は禁じていても、状況への同化は強いていると思います。だから体験として受け止められるし、リアルに不快でもある。
文学者と言われると、確かにタイプとしてはケッチャムでなくベケットだと思います。
しかし、ハネケの皮肉に対して、仮に僕が残虐行為を覗き見するのが趣味だとしたら、虚構の暴露に対して、反省も意気消沈もしないでしょう。作中の異常者と同じように、リモコンを使って好きなシーンを繰り返すだけです。
ハネケ作品は暴力愛好家に対して効果はないと思います。ただ道徳のコミューンに細波を立て、道徳律を校正させるだけでないでしょうか。胃腸薬みたいなもので、胃癌のような重篤患者に効果はない。
ハネケ監督の成果はまだ半ばに感じられてなりません。だからつい求めてしまうのです。