10/07/20 17:31:35
３月決算企業で、２０１０年３月期末に経営上重大なリスクを抱えているとして
「継続企業の前提」に注記が付いた上場企業（東証、ジャスダック証券取引所）が
計４１社に上ったことが、両取引所の集計で分かった。世界的な不況を受け、
企業の監査ルールは０９年３月期以降、大幅に緩和されているが、それでもなお
経営的に“危ない企業”は多い。
会計ルールにより、上場企業の経営者は自分の会社に経営を続けていく上で重大な
リスクを抱えていると判断したら、リスクの中身と対応策を決算書などに明記しなく
てはいけない。
また、経営をチェックする監査人も、担当企業に重大リスクが存在すると判断した場合、
監査報告書に注意を促すための「注記」を記載する。投資家にとって注記は、監査人が
認めた「イエローカード企業」という意味合いがある。
東証の集計によると、１０年３月期末に「注記」が付いた企業は、１部で７社、２部で
８社、マザーズで７社の計２２社。このうち１８社が第３四半期（０９年１０～１２月期）
からの継続組だ。
注記が付いたＪＶＣ・ケンウッド・ホールディングスは、１０年３月期に５７２億円の
連結純損失を計上。さらに、１年以内に予定される借入金の借り換えについて、金融機関
と交渉中であることから注記が付いた。
また、花月園観光は、花月園競輪場（横浜市）を所有しているが、神奈川県競輪組合との
間の同競輪場の賃貸借契約が更新されず、競輪自体は今年３月３１日で廃止に。最近は
赤字決算が続いていることもあり、「注記」が付いた。
１０年３月期末に新たに「注記」が付いたのは、不動産のメッツ、機械の明治機械、
電機の日本インター、不動産の大和システムの４社となっている。
業績改善などで経営上のリスクを解消、１０年３月期末に「注記」が外れたのは、コ
ロムビアミュージックエンタテインメントなど５社。
コロムビアミュージックは１０年３月期連結決算で黒字に転換。営業損益が３億３７００
万円の黒字（０９年３月期は９億２２００万円の赤字）、純損益が５億６９００万円の
黒字（同６億３２００万円の赤字）となった。氷川きよし（３２）や木村カエラ（２５）
らの作品が好調だったことが、業績を押し上げたという。
一方、ジャスダックの集計では、１０年３月期末に「注記」が付いたのは１９社（東証１部
と重複上場のアークを除く）。すべてが第３四半期からの継続組で「常連さん」が名前を
連ねた格好だ。
金融庁は世界的な経済危機を受けて、特例措置として０９年３月期からリスクの開示基準を
緩和。景気が持ち直して多くの企業が業績を改善させるなか、それでも「注記」が付く
企業はかなりリスキーといえる。
民間信用調査機関の幹部は「今回は注記が付かなくても、その予備軍のような企業は
多くある。投資家は、有価証券報告書などで営業キャッシュフローがマイナスになって
いないかしっかりとチェックした方がいい」と注意を促している。
※続く
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