10/07/20 11:58:43
「トラック運送業は、もはや戦国時代に突入している」と声を荒げる大阪の運送会社社長。
社長によると、5月の連休明けから荷動きが極端に低迷し始め、それに伴い運賃競争も激化
しているという。
先月は事業開始以来の驚くべき事態に遭遇。同業者が荷主に白紙の見積書を提示して仕事を
奪われたという。「運賃競争は激しさを増しているが、白紙の見積もりには参った。これでは
太刀打ちできない」と、あきれ顔で白旗を揚げてしまった。
同社は全国展開するホームセンターの荷物を扱っているが、物流センターから店舗に向けて
の商品配送と、メーカーから物流センターへの配送を行っており、多くの運送事業者が入り
込んでいる。
店舗への配送を行う便は朝一番に配送し、配送後は物流センターに帰って構内作業を行う。
何万アイテムという商品を扱うホームセンターでは各メーカーから物流センターへの配送も
多いが、店舗への配送と物流センターへの配送は各運送会社とも独立させて車をあてがって
いた。
しかし、物量が落ち込む中、店舗への配送を終えた空車便を利用して店舗近くにあるメーカ
ーの荷物を取り込み始め、「『物流センターへの帰りが空なので値段はいくらでもいい』と
白紙の見積もりをメーカーに提示するところが出てきている」という。
大きな得意先を失った同社は、「限られたパイの中での仕事の取り合いになっている。ダン
ピング合戦は激しさを増しており、輸送秩序も何もない」と嘆いている。
「尼崎(兵庫県)から水戸(茨城県)まで10トンのバラ荷物をネットで5万5000円
で出したら30秒で売れた。有り得ないこと」と話す別の大阪の運送会社社長。
「帰り便とはいえ、通常は7万円が妥当。6月から運賃相場が極端に下がっている。4トン
車で東京からの帰りが4万円を切るケースもあり、これでは高速料金が一律5000円になっ
ても高速には乗せられない」と危機感を募らせている。
設立から30年目を迎え、長距離を主体として事業展開する大阪の運送会社社長も「とにか
く、東京からの帰り荷がない。6月からは東京からの帰り便が空車になるケースが3割あり、
こんな事態は設立以来、初めて」と驚きを隠せない。「1日の半分以上は帰りの荷物探しに
明け暮れている」とし、7月に入っても動きは芳しくない。
ある事業者はタリフ(運賃表)を持ち出してきて、「平成6年の公示運賃では、大阪から
東京まで距離650kmとして、4トン車で基準が9万円。上限10万3500円で下限8万
4500円。16年前の下限運賃さえもらえていないどころか、半値で走っている」と怒り
をあらわにする。
また、「燃料もじわじわ上昇しており、経営環境は悪化の一途。真綿で首が絞められており
、こんな状態が続けば、来月あたりから消えてしまう事業者が相当数出てくるではないか」
と話している。
ソース:物流ウィークリー
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