10/07/09 11:44:24
奈良県立奈良病院(奈良市)に勤務する産科医の当直勤務は違法な時間外労働に当たるうえ、
割増賃金も支払っていないとして、奈良労働基準監督署が、同病院を運営する県を労働基準法
違反容疑で書類送検していたことがわかった。
同病院は昨年4月、産科医2人が当直勤務に対して割増賃金の支給を求めた民事訴訟の
奈良地裁判決で、計1540万円の支払いを命じられ、控訴審で係争中。
公立病院の医師の勤務実態に関して、刑事責任を問われるのは異例という。
捜査関係者らによると、同病院では、産科医らが当直中に分娩(ぶんべん)や緊急手術など
通常業務を行っているが、病院は労基法上は時間外労働に相当するのに割増賃金を支払って
いなかったうえ、同法36条に基づき、労使間で時間外労働や休日労働などを取り決める
「36協定」も結ばず、法定労働時間を超えて勤務させた疑い。
昨年4月の民事訴訟判決で、奈良地裁は「当直の約4分の1の時間は、分娩や緊急手術など
通常業務を行っている」などとして、医師の当直勤務を時間外労働と初めて認め、割増賃金の
支払いを命じた。
判決後の同9月、県外に住む医師が県を労基法違反容疑で告発し、奈良労基署が調査を進め、
今年5月に送検した。
県は2004年から、36協定締結について労組側と協議したが、現在まで協定は締結
されていない。ただし、県は06年の提訴後、2万円の当直手当に加え、当直中の急患や
手術の時間に応じて割増賃金を支給し、当時5人だった産科医を7人に増員するなどの措置を
取っている。
武末文男・県医療政策部長は「書類送検されたことを重く受け止めており、協定をできるだけ
早いうちに結びたい。割増賃金については、引き続き県の主張を説明する」としている。
県立奈良病院は1977年開院。
病床数は430床で、内科、外科、小児科など16の診療科がある。
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