10/07/07 21:08:16
専業主婦になりたい若い女性が増えているという。「男は仕事、女は家庭」という価値観は
とっくに過去のものになったと思っていたが、なぜだろう。背景を探った。
「いい会社に入って、いいだんなさんを見つけたい。働く自信はあるが、特にやりたいことは無い。
それよりも、専業主婦になって気楽に伸び伸びと過ごしたい」
こう話すのは、お茶の水女子大2年生(20)。大学の友人は「夫に『養ってやっている』と思われたくない」
「夫と対等でいたい」などと、結婚後も働き続けることを希望するが、その発想が理解できない。
「いいだんなさん」とは、一流企業に勤め、自分が働かなくても家族が余裕ある生活をできる経済力のある男性だという。
結婚するまで裁縫の先生をしていた専業主婦の母親(54)は「女性も働く時代よ」と、
娘に公務員を勧めるが、工業大生の姉(22)も専業主婦志望。「育て方を間違えたかしら」と母親は首をひねる。
国立社会保障・人口問題研究所が既婚女性を対象にした「第4回全国家庭動向調査」(08年7月実施)では、
「夫は外で働き、妻は主婦業に専念すべきだ」と考える既婚女性の割合が、前回(03年)よりも3・9ポイント高い45%となった。
93年の調査開始以来、初めて増加に転じた。
特に顕著なのは29歳以下の増加で、前回よりも12・2ポイントも高い47・9%に達した。
30、40代も増加しているが、50代、60代は変わらず低下した。
不況や「格差」の広がりが要因との指摘もある。08年秋のリーマン・ショックによる世界同時不況を機に、
就職市場は売り手市場から“氷河期”に一転した。
上智大4年の石居里実さん(21)は小学生の時海外で暮らした。大学2年まではツアーコンダクターや同時通訳を志したが、
その後専業主婦志望に転向。きっかけは、専業主婦である友人の母親が趣味のアートを優雅に楽しむ姿にあこがれたことだが、
それだけではない。昨年10月以降、旅行、ホテル、航空など二十数社を受験したが、内定はまだ。
友人の8割は就職先が決まり、「主婦になってこの状況から逃げたい」との思いもある。
マーケティングアナリストで「下流社会」(光文社)などの著書がある三浦展さんは、専業主婦志向の強まりを
「ないものねだり」と言う。働く女性が珍しかった時代は働きたい女性が増え、不景気で共働きが増える今は、
逆に専業主婦にあこがれる女性が増えているというのだ。
「不景気で女性の仕事が減る中、たとえ正社員になれても入社2、3年目で居酒屋などの“名ばかり店長”となり、
残業代も無く深夜まで働かざるを得ないような状況が増えている。年収200万~240万円で、収入が増える見込みも無い。
そういう状況で専業主婦を望むのは、当然の感情です」と三浦さんは話す。
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