10/06/21 16:44:58
サッカーのワールドカップ南アフリカ大会が始まった。
テレビ観戦のため、当分のあいだ、世界中でずる休みが多発しそうである。
英国の小規模企業連盟は先日、経営者に対して、社員が業務中にワールドカップ中継の
ラジオを聞くこと、テレビを見ること、早めに帰宅することを認めるようにアドバイスした。
ずる休み防止のためである。
ただし、イングランドの試合の日とその翌日に病欠を電話で伝えてくる社員がいたら、
診断書を提出させるべきだとしている(「フィナンシャル・タイムズ」紙、6月7日付)。
世界で最も多く仮病で会社を休む国はどこか?「BBCフォーカス」誌が報じたところによれば、
1位アイスランド、2位スペイン、3位ノルウェー、4位米国、5位フィンランド、6位カナダ、7位フランス、
8位アイルランド、9位オーストラリア、10位イタリアである。
このランキングは、サラリーマンの病気休暇日数を基に作成されている。
病気による欠勤にはずる休みが必ず一定割合含まれている、という前提が当然視されている点が興味深い。
制度によって病欠を申請しやすい国とそうでない国があるはずなので、
上記ランキングの厳密性は大目に見ておく必要があるだろう。とはいえ、欧州などでは、
有給休暇の完全消化に加え、給料が減らない範囲で病欠を積極的に利用する人が確かに多い。
英国は上記ベストテンに入っていない。しかし、241の民間、公的組織の人事管理者によると、
病欠の15%は仮病だという。昨年は延べ2700万日のずる休みがあり、雇用者は25億ポンドの
損失を被ったという(前掲誌)。
ロンドンに滞在していると実感するが、多くの労働者は基本的に残業もしない。夕方5時台の地下鉄はものすごい混雑だ。
そういった話に比べると、日本人サラリーマンは、給料が増えなくともがんばって働いている。
しかし、そのまじめさが皮肉なことにデフレの1つの要因になっているようにも思われる。
英国の場合、昨年は全般に賃金のベースアップが凍結されたが、今年は引き上げざるをえないと
考える経営者が多い。そうしないと、「もうまじめに働くのはやめた」と労働意欲が露骨に減退する社員が続出し、
生産性が大幅に低下する恐れがあるからだ。
英国はサービス産業中心の経済なので、労働者の意欲を維持することは重要である。
賃金が上昇していくイメージを持っている人が依然として多いため、消費が大幅に縮小してデフレ期待が
強まる悪循環は今は起きていない。
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