10/06/11 08:47:26
ソースは
URLリンク(www.bloomberg.co.jp)
6月11日(ブルームバーグ):中東に日本の原発を売り込め―。
政府は今月、ヨルダンとの原子力協定締結に向け交渉を開始する。
三菱重工業と仏アレバが狙うヨルダンでの原子力発電所建設受注を後押しする。
海外での原発受注では、ベトナムでロシアに、アラブ首長国連邦(UAE)では
韓国に敗退しており、日本勢としては中東で原発を受注することで反転攻勢に
つなげたい考えだ。
外務省は10日夜、交渉の第1回ラウンドが13日からヨルダンの首都アンマンで始まると発表した。
ヨルダン政府は当初、経済代表団を6日に訪日させる予定だったが、鳩山由紀夫前首相が
突然辞任したことを受けて見送っていた。
突然の首相辞任に出鼻をくじかれた形だが、鳩山首相が4月に来日したヨルダンのアブドラ国王と
原子力協定交渉を開始することで合意しており、新政権になっても事務的協議は継続することが
確認された。
アレバと三菱重が折半出資しているアトメア(パリ)は原発アトメア1建設受注を目指して
ヨルダン政府と交渉している。アトメア1は飛行機の衝突にも耐えられる構造になっており、
テロ攻撃の懸念がある中東への大きなセールスポイントになっている。連戦連敗の日本としては
のどから手が出るほど受注したい案件だ。
■値引きや金融支援の必要も
早稲田大学政治経済学術院の山本武彦教授は、外交が原発の売り込みに大きな役割を果たし
国家の安全保障にも重要だと指摘。ヨルダンで原発を受注するには原子力協定の締結が不可欠だが、
値引きや金融支援、原子炉の安全性、外交上の利益などが鍵を握るとみている。
ヨルダンはエネルギーをほぼ全面的に輸入に頼っている。5月13日付地元紙ヨルダン・タイムズに
よると、ヨルダンで原発受注を目指しているのは、三菱重・アレバ連合のほかにはカナダ原子力公社、
ロシア国営アトムストロイエクスポートの3者に絞られている。
日本貿易保険法務グループ長、石川和洋氏によると、アトメアが受注し三菱重から
申請があった場合にはフランスの貿易保険とともに保険を付与することを検討している。
三菱重の澤明原子力事業本部長は3日、仏アレバと共同で製造する110万キロワット規模の
中型原子炉を2030年までに10基受注したいと意欲を示した。
澤氏は「アトメア1は電力需要が小さい中東、東欧、東南アジア、中南米にとって適した原子炉」
と説明した。三菱重はヨルダンを足がかりに国際市場で積極攻勢をかける構えだ。
中型原子炉では手を結んでいる三菱重とアレバだが、大型では競争に火花を散らしている。
アレバは出力165万キロワットの原子炉を開発した一方、三菱重は米欧で170万キロワットの
加圧水型原子炉の売り込みを開始した。
日本エネルギー経済研究所のグループリーダー、村上朋子氏はアトメア1について、
アレバの大型原子炉のミニチュア版に三菱重の技術を組み合わせたものと説明した。
村上氏は「安全基準は高いが、安全面を強化した分だけロシアやカナダと比べ
割高になるかもしれない」と述べた。
ヨルダン原子力委員会のハーリド・トーカン委員長は3月、同国初の原子炉の決定を年内に行い、
19年末の完成を目指す方針を示していた。
-以上です-