10/06/10 21:13:45
接待用の“二軒目の酒”だったウイスキーが目覚ましい復活を遂げている。
昨年の販売数量は酒税の減税があった年を除き、21年ぶりに回復。酒類需要が全般的に沈む中、
年明け以降も約2割増ペースが続いている。
きっかけは昨年来のハイボールブームだ。サントリー酒類の水谷徹ウイスキー部長は「今年に入っても
想像以上に広がっている」と驚きを隠さない。実際、同社のウイスキー販売量は1~4月累計で
前年比31%拡大。安価な「角瓶」に至っては同77%も膨らんだ。一方、アサヒビール傘下の
ニッカウヰスキーの販売数量(国産のみ)も、同期間には同16%増えた。
炭酸で割ったハイボールは新しい飲み方ではない。が、サントリーなどが外食店での取り扱いや
広告等を通じた認知向上に力を入れたところ、なじみの薄かった20~30代が食いついた。
「苦いビールや甘い酎ハイなどと違い、スッキリした味わいが食事に合うと受け入れられたのだろう」と
水谷氏は分析する。
不況も追い風となった。低価格の商品なら、炭酸割りだと一杯単価はビール以下。「家飲み」のお供として
需要が増加したほか、外でも「高い店ではなく、居酒屋などでワイワイ飲むお酒としてなじんできた」
(アサヒビール洋酒焼酎部の上川裕二部長)という。
ブームを機に高級品も売れ始めている。サントリーでは「山崎」や「響」などの販売数量が年明け以降、
前年比2割を超す水準で推移。ニッカの「竹鶴」も同15%増えた。高級品を使ったハイボールを出す店が
ジワジワと増えていることに加え、往年のファンがウイスキーに戻りつつあることなどが要因だ。
酒類各社の商戦も熱気を帯びている。昨年10月にサントリーがハイボールの缶商品を投入すると、
今年5月にはアサヒが従来品より飲みやすさを意識した新商品で対抗。一方、キリンビールは2月に
発売したウオツカベースのハイボールという変化球で勝負に挑む。
外食向けでも、3月末にサントリーが東京ドームで観戦客への移動販売を開始するなど、取り扱いは
今後も一段と広がる見通しだ。
「ブームは始まったばかり。今後も入り口となるハイボールの普及を続けたい」(アサヒの上川氏)と、
各社とも意気込むが、ウイスキー完全復活には課題も残る。ハイボールから高級品にステップアップしたり、
常飲するほどのファンになるのはごく一部。
今後は「ワインと同様に奥深く、夢やロマンがあることを伝えるなど、さらに興味を持ってもらうための
施策が必要」(サントリーの水谷氏)。勢いはどこまで続くか。
ソース:東洋経済
URLリンク(www.toyokeizai.net)
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