10/06/09 22:28:22
>>1のつづき
海外からの観光客誘致は、滞在人口を増やすことによる広義の人口政策といえ、国内需要
を高めデフレ歯止めにつながる。政府の新成長戦略のテーマにも「観光立国」が掲げられ、
訪日外国人を20年までに2500万人、将来的には3000万人とし、2500万人による経済波及効果
が約10兆円、新規雇用56万人とはじいている。訪日外国人の1人当たりの支出額は約18万円
と推計され、仮に2500万人の外国人観光客が来れば、400万人規模の消費人口増という効果
が期待できる。
しかし、08年の訪日外国人は約830万人で、フランスの8190万人の10分の1弱にすぎない。
年による変動も大きく、09年は円高や景気低迷により約700万人に激減、政府の試算に過大
感は否めない。
■早晩移民の争奪戦に
そこで、人口減の抜本的な食い止め策として、移民政策への議論は避けて通れない。現在
、日本では医療、教育、興行など14の専門的・技術的業種以外での外国人労働者の受け入れ
を認めていない。経済産業省では生産年齢人口をピークの95年水準に維持しようとすれば、
今後20年間で1800万人の外国人労働者が必要と試算する。が、就労・就学などで日本に滞在
する外国人登録者は約222万人(08年)にすぎない。
人口減に危機感が高まった00年以降、政界・経済界では移民に関する議論が活発化してい
た。03年に民主党有志6人が「移民1000万人構想」を発表、自民党でも08年に外国人材交流
推進議員連盟が同じく「移民1000万人受け入れ」を表明、09年1月には内閣府に定住外国人
施策推進室ができた。経済界でも08年に日本経団連が「日本型移民政策の検討」をうたって
いる。
しかし、昨年の民主党政権誕生以降、移民論議はピタッと消えた。リーマンショック後の
雇用環境悪化で国内の失業対策が急務であることと、移民政策に批判的な労働組合への配慮
からとみられる。