10/06/07 22:53:34
>>1のつづき
--現状については
「そういう意味では最後のチャンスが来ている。それは団塊ジュニアが30代半ばまで来
てしまったということだ。団塊ジュニアはバブル崩壊後の厳しい労働環境の下で家族を形成
しにくい、子供を持ちにくい状況で失われた10年、15年を過ごしてきてしまった。この
膨大な世代をこのまま40歳になるまで見送っていると、本当に日本社会は再生不能になる。
あまりのんきな議論をやっている状況ではない」
--子ども手当など民主党政権の少子化対策には不安も多いが
「子ども手当は決して間違った政策ではない。団塊ジュニアの世代は非常に経済状況が悪
い状態で社会に出ているのだから、社会的な賃金補助という意味で子ども手当は正しいと思
う。ただ、問題は所得制限を付けるかどうかだ。技術的な問題もあって所得制限を付けられ
るかというのもあるが、所得制限以外の方法がある。私は手当が月2万6千円になったら
子ども手当を所得税の課税対象にしてもいいと考えている。そうすれば20、30代で子供
を持っている世帯でも高所得の世帯には課税され、実質所得制限と同じ効果が出てくる。
手当の完成型ではそういう議論もすべきだ」
--金額については
「先進国で手当が所得に占める割合というのはだいたい平均賃金の4%くらいで、金額に
直せば2万円くらいだ。子ども手当が2万6千円になると5%を超える。先進国の平均的な
子ども手当に比べればやや高い感じはする。ただ、手当がきちんと出ている国、つまりGDP
に対して家族給付が充実している国というのは子供の貧困率が低い。そういう意味では、
子ども手当の目的には経済困難な世帯への応援もあるから、それは間接的な少子化対策には
なるだろう。直接的な少子化対策としては効果が足りない部分もあるので、当然仕事と子育
ての両立支援政策もやらなければならない」
--現金と現物のバランスを取らないといけない
「この辺は財政的な制約もあるわけだから、きちんと国民に説明して、両者のバランスを
よくしていく。政策目標が複数ある場合、今の話でいえば経済対策、両立支援、出生率の
改善、就学前教育みたいなものがテーマになっているわけだから、一粒で4つもおいしい
政策はないわけで、4つの目標があれば4つの最適な政策の組み合わせをしないといけない。
そのための安定財源も確保すべきだ」
--保育所改革も急がれるが
「保育サービスへの参入障壁を下げて、民間保育所にどんどん入ってもらい、場合によっ
ては幼稚園にも入ってもらう。しかし、予算制約があれば、それこそ保育所の設置基準を下
げてまるで『水で薄めたミルクを出す』しかなくなる。すでに日本の保育所の面積や人員配意
基準はパリやストックホルムなどの大都市の保育所と国際比較してもかなり低い方になって
いるから、水で薄めたミルク、つまりこれ以上質の低い保育サービスを出すわけにはいかない」