10/06/07 11:09:56
景気を安定軌道に乗せ財政も立て直す―。
日本経済のかじ取りで菅直人新首相に課せられた使命である。
鳩山内閣が陥った政権公約(マニフェスト)至上主義を脱し、
柔軟な発想で、成長と財政再建の両立を図るべきだ。
新首相は、民主党代表選に向けた会見で、「無限に借金が増えるような方向性は正していく」
と、財政健全化に意欲を示した。ならば、2011年度予算でさっそく具体化する必要があろう。
副総理・財務相在任当時から、菅新首相はすでに布石を打っていた。
11年度予算における国債の新規発行額を、10年度の44兆円以下に抑えたい、と述べたことだ。
国債発行に一定の歯止めをかけなければ、10年度末で862兆円に達する国と地方の
長期債務の膨張が続き、国債の信用が失われかねないのが現実だ。
財務相として一連の国際会議に出席し、我が国の財政事情の深刻さを再認識させられたことも
背景にある。「国債発行44兆円以下」発言を一応は評価したい。
だが、これでも当初予算の国債発行額としては史上最高だ。
44兆円を上限に、これをどう減額していくかが肝要である。
最初に取り組むべきは、歳出の抑制だ。
10年度予算は、マニフェストに盛り込まれた政策が歳出を膨らませた。子ども手当、
農家に対する戸別所得補償、高校授業料の実質無償化などである。
こうしたバラマキを続けることは不可能だ。
マニフェストへのこだわりを捨て、真の無駄減らしに取り組む必要がある。
歳入確保の面では、消費税率の引き上げが避けられない。
毎年、1兆円規模で増え続ける社会保障費を賄う財源としても、消費税は極めて重要だ。
増税による景気への影響も懸念されるが、新首相は、増収分を医療・介護の充実などに回せば
雇用が創出され、景気は良くなるとの見方を示している。
そう言う以上、夏の参院選で消費税率引き上げの是非を国民に問うてはどうか。
理解を得たと判断すれば、景気動向に目配りしながら、具体案作りに入るべきだ。
参院選の公約取りまとめ作業と並行して進む、「中期財政フレーム」と「財政運営戦略」という
二つの指針作りも重要である。
前者は11年度から3年間の予算の大枠を決め、後者は中長期的な財政運営の道筋を描くものだ。
二つの指針の中身次第で、新首相のやる気が判断されよう。
ソースは
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