10/06/05 12:27:49
スマートフォン(多機能携帯電話)とそのアプリケーション(以下アプリ)の普及が進む
につれ、企業も個人利用者も、ネットを悪用した犯罪に直面しつつある。
米アップルやグーグルが運営するオンラインストアでは、25万を超えるゲームや金融サー
ビス関連のアプリを提供している。アップルのスマートフォン「iPhone(アイフォーン)」
などの端末は、アプリが販売促進のカギにもなる。だが、セキュリティー研究者や政府高官
の間では、悪意のあるソフトウエアを排除する取り組みがアプリの普及に追いつかないの
ではないかとの懸念が高まっている。
例えば、グーグルは昨年12月、同社のオンライン・アプリケーション・ストア「Android
Market(アンドロイド・マーケット)」から、ネット経由で銀行取引を行うためのモバイル
バンキング用アプリのうち、数十個のアプリを不正であるとして撤去した。問題のアプリは
「09ドロイド」という名の開発会社が開発したもので、世界の多数の銀行の口座にアクセス
できるとうたい、1ドル50セントで販売されていた。グーグルは撤去の理由を、商標規約に
違反していたためとしている。
携帯端末向けセキュリティー会社、米ルックアウトのジョン・ヘリング最高経営責任者
(CEO)は、撤去されたアプリは悪質というよりは、使い物にならないというだけだが、
そのままにしておけば顧客の取引用IDを取得できるよう更新されていた可能性もあったと
し、「アプリストアは、犯罪者に悪用されやすい状態になってきている」と述べる。
政府高官やセキュリティー研究者によると、無線対応の端末を使用して商取引を行ったり
、個人情報をやり取りしたりする企業や政府組織、個人が増えるにしたがって、コンピュー
ター犯罪者の餌食にされるケースも増えている。
米連邦捜査局(FBI)サイバー犯罪部門のゴードン・スノー副長官は「携帯電話は極め
て犯罪のターゲットにされやすい。犯罪活動は確実に増えている」と話す。
FBIサイバー犯罪部門は最近、アプリストアで販売されている悪質なプログラムに関し
て寄せられた情報を基に、多数の事件の捜査を行っているという。事情に詳しい関係筋に
よると、そうした事件の多くは、モバイルバンキングのセキュリティーを脅かすアプリや
、外国人がスパイ活動を行うために開発した悪意のあるソフトウエアに関係したものだと
いう。FBIでは、業務の安全性を確保するため、職員がFBIから支給されたスマート
フォンでアプリをダウンロードすることを禁じている。
携帯端末を使用したコンピューター処理のぜい弱性は、米空軍でも問題になっている。
米空軍では、軍事情報の窃盗や、個人情報を利用した空軍職員をターゲットにした詐欺や
ゆすりに対する懸念が高まっている。
ソース:ウォール・ストリート・ジャーナル 日本版
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