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地の利どう生かす
4日で開港1周年を迎える静岡空港。年間搭乗者数は61万人余りと、県の需要予測の
半分にも満たない厳しい船出となったが、海外の航空会社などから、東京に近い“首都圏
空港”としての将来性を評価する声も上がっている。 (広瀬和実)
「チャーター便は台湾が100回を超え、定期便に近い形になっている。タイ、スイス
にも飛んだ」。川勝平太知事は5月末の会見で誇らしげにチャーター便の実績を披露した。
静岡空港に就航している定期便は、国内線が2社6路線、国際線が3社2路線。ほかに
この1年でチャーター便186便が運航。このうち112便を台湾便が占める。
昨年、台湾便67便を運航した台湾の大手「チャイナエアライン」によると、旭山動物
園に近い旭川空港、黒部立山アルペンルート観光で人気の富山空港に次ぐ便数という。
人気の背景を、県空港利用政策課の担当者は「富士山があり、東京観光にも便利な点が
評価されているのでは」と推測する。
「富士山など観光地が多い。首都圏から近く、新幹線や高速道路がある」。静岡空港開
港1年前の2008年6月、マレーシアの格安航空会社の幹部は岩瀬洋一郎副知事(当時
・県空港部長代理)に、就航先としての静岡空港の魅力を語った。
岩瀬副知事は「ほかにも当時、スリランカやモンゴル、ベトナムなど、さまざまな国の
航空会社から、接触があった」と振り返る。その後、世界同時不況で航空需要が落ち込む
などして、具体化しなかったとみられる。
航空アナリストの杉浦一機氏は「外国の航空会社にとって成田、羽田の発着枠は限られ
、“首都圏空港”として静岡空港が注目されている。県民の豊かさも魅力で、潜在能力は
高い」と語る。
県は開港後、他空港と連携した観光商品づくりで、外国人観光客を引き込む需要拡大策を
図っている。
先月9~14日には、中国東方航空で上海から33人が石川・小松空港に入り、各地を
回って静岡空港から帰国する中国人向けのツアーが実現した。
ただ今後、海外航空会社の受け入れを拡大すにはネックもある。静岡空港に2つある国
際線の駐機スポットは、午前10時すぎから午後2時近くまで、定期路線のソウル便、上海
便の離着陸が集中。時間帯によっては国内線を含めた5つのスポットがすべて埋まり、制約
になっている。
大韓航空静岡支店の金森慶多支店長は「国際線にとって、午後に入らざるを得ないと、
スケジュールを組みづらい」と話す。
県は本年度から2年間で、約6億4000万円かけて空港西側に新たなエプロンを整備
し、駐機スポットを3つ増やし、今後の需要に対応する。
杉浦氏は「駐機場の問題は需要拡大を考えれば緊急課題だが、施設を安く仕上げる視点を
優先し、使い勝手を考慮しなかった結果」と指摘。「とはいえ、赤字に苦しむ地方空港の
3分の1は打つ手がないが、静岡は可能性は大きい。行政は“待ち”ではなく、“攻め”
が必要」と語る。
ソース:中日新聞
URLリンク(www.chunichi.co.jp)