10/05/14 21:12:49
6月11日開幕のサッカーW杯南アフリカ大会をめぐり、民間シンクタンクに異変が
起きている。大きなスポーツイベントでは経済効果を試算して公表するのが恒例と
なっているが、今回はやらないという。効果のほどが芳しくないから、というのが
その理由。芳しくないのは、日本代表が劣勢とみられているからなのか。その背景を
探った。
W杯は、五輪と並んで大きな経済効果が期待されるスポーツイベント。2002年の
日韓大会では、国内でのスタジアム建設や海外から大勢のサポーターが来日したこと
などから、効果は2兆円と試算された。
06年のドイツ大会では電通消費者研究センター(現・電通総研)が4759億円、
第一生命経済研究所も4171億円と試算。4000億円台の効果が見込まれた。
気になる今回の経済効果だが、電通総研、第一生命経済研究所とも試算・公表は
やっていない。理由は効果が芳しくなさそうだからだという。
電通総研の四元正弘・消費の未来研究部長に、「経済効果が大きく落ち込むのは、
日本代表が1次リーグ3連敗やむなしとか言われていて、盛り上がりが今ひとつの
ためですか?」と尋ねると、「それは否定はしませんが、違う理由で大きく効果が
減るので、公表しません」とのこと。
違う理由とは、薄型テレビやブルーレイディスク・DVDレコーダーの動向だ。
「ドイツ大会では経済効果の5割近くをデジタル家電の購入などが占めました。
でも、今は薄型テレビの普及が進み、W杯を機に購入というムードもない」(四元氏)
加えて、「薄型テレビの急激な低価格化も進んでいます。32型で20万円台半ば
からだったのが、もはや5万円台からで、単価安も経済効果減少の理由です」(同)
また、第一生命経済研の永濱利廣・主席エコノミストは「家電のエコポイント制度や
地デジ対応などもあり、純粋にW杯効果が判定しづらい状況にあります。そのため、
今回は試算を見送りました」と説明する。
経済効果についていえば、南アフリカは日本から直行便がないことや、治安の悪さが
指摘されており、観戦・応援ツアーがドイツ大会に比べて少ない。さらに「ドイツ
大会があった06年は経済成長期だったが、現在は不況で消費マインド全体が落ちて
いる」(永濱氏)ことも響いている。
3Dテレビへの期待もあることはあるが、対応放送も少なく、経済効果を盛り上げる
ほどではなさそうだ。
試算していないのを承知で、あえて経済効果を聞いたところ、永濱氏は「ドイツ大会
より1割強減って3500億円程度かな」、四元氏は「半分の2500億円程度」と
推測してくれた。
ただ、お先真っ暗ということでもなさそうで、「6月14日に行われる初戦のカメ
ルーン戦に勝てば、ムードは一気に変わる。代表の勝利は国民を勇気づけ、消費などに
もプラスになるでしょう」(四元氏)という。
経済効果は日本代表の頑張り次第ということのようだ。
●2006年ドイツ大会では、経済効果が4000億円台と試算されたが…
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