10/05/05 13:07:19
>>1のつづき
電気自動車の普及を阻むもう1つのデメリットが充電だ。戸建てで駐車場があればいい
が、マンションなどの共同駐車場では難しい。充電スタンドのインフラ整備なども同時に
進めなければならないが、急速充電器は少し前まで1基350万円もした。
また、日本のメーカーを救うという意味でも、電池とモーターを動力とする電気自動車は
、エンジン主体のガソリン車をベースとした日本の自動車産業を支える規模にはなり得ない。
モーターに必要なレアメタルは中国がほとんど握っており、勝ち目は薄いのだ。
これだけデメリットが多いにもかかわらず、電気自動車を持ち上げる論調が多いのは、
1つには「エコ」といえば何でも良いとするメディアの誤解も大きい。昔はソーラーカーが
未来のクルマといわれていたが、太陽電池の発電量が少なすぎて、ソーラーカーレースで
見かけるような一人乗りの超小型車が限界である。
次世代エコカーとして未だに燃料電池車が語られるが、これもナンセンスだ。燃料電池は
できるが、「燃料電池車」はできない。なぜか。燃料となる水素の元素としての性質が悪
すぎ、製造・貯蔵・運搬・クルマへの搭載の4工程すべてに難題があって供給インフラが
できないからだ。水素をエンジンで燃やして走る水素自動車も、同じ理由から実現は不可能
といっていい。
もう1つの論調が、「電気自動車は世界の趨勢。乗り遅れれば日本は敗北する」という
ものだ。たしかに携帯電話の分野で起きたガラパゴス化は痛恨の極みだ。また、いま米国は
電気自動車とともに国を挙げて「スマートグリッド」という電力網システムで世界標準を
取ることに躍起になっている。日本も参入しなければ電気自動車でも米国の下請けになると
いう意見もある。
しかし「だから電気自動車に参入しないと、日本が取り残される」という主張には、「
そのシナリオ自体が間違っている」といいたい。先にもいったように電気自動車が普及する
という大前提に疑念があり、また仮に普及したとしても欧米、中国と競争することは難しい。
それでも電気自動車が世界的な趨勢であることに間違いないというなら、日本にとって
勝ち目のある電池技術で勝負していけばいいのである。スマートグリッドについていえば、
あれは米国が自国の電力網の老朽化に合わせて推進しているもので、日本には必要ない。
輸出用としてスマートグリッド技術やそれに載せる製品を開発するのは非常に結構だが、
日本のインフラまでスマートグリッドにして、米国の「顧客」となる必要はまったくない
のだ。
*燃料電池車 水素などを反応させて電力を発生させる燃料電池で電気モーターを駆動させ
、走行する車。通常のバッテリーとの違いは燃料を供給し続ければ継続して走れることだが
、水素供給インフラの整備など難点が多い。
*スマートグリッド 発電設備から末端の電力機器までを通信網で接続し新しい機能を持た
せた「賢い」電力網。太陽光発電や蓄電池、電気自動車やプラグインハイブリッド車の充電
など、分散化・多様化する電力需要に対応する次世代電力網としてオバマ政権が今年4500
億円の予算を組み標準化を進めている。