10/05/05 13:06:27
文=安井至(東京大学名誉教授)
「21世紀のクルマ」として電気自動車が脚光を浴びている。だが本当に電気自動車は「次世
代の主役」となり得るのか。東京大学名誉教授・安井至氏は「その見通しは甘い」と言い
切る。
電気自動車はエネルギー効率が高く、CO排出量抑制に有効であることは事実だ。だが
それをもって電気自動車を「地球環境問題の救世主」と持ち上げる人がいるなら、「甘い」
といわざるを得ない。なぜなら予想されるような普及はおそらくないからだ。理由は単純
で、電気自動車は「高くて、使い勝手が悪い」のである。
たとえば、今年4月から日本初の個人向け販売を開始する三菱のiMiEVについていえ
ば、販売価格は約460万円だ。これほど高額になる理由は、搭載されているリチウムイオ
ン電池が高いからで価格の半分を占めるといわれている。しかも寿命は約5年。フルに充電
しても走れるのは100km程度で、うっかり使い切ればその場で立ち往生というのが、いま
の電気自動車の姿である。
250万円あればプリウスが買えるのに、460万円払って、近隣しか走れず、5年後に
電池交換で200万円もかかる車をいったい誰が買いたいと思うだろうか。
<次世代エコカー関連用語>
*電気自動車 バッテリーに蓄えた電力でモーターを回し走行する。「燃やさない車」と
してCO2排出削減で注目される。次世代エコカーの中では燃費がもっとも良いが、リチウム
イオン電池の高価格、航続距離の短さ、充電インフラの整備など課題が多い。4月に三菱
自動車がiMiEVを個人向け販売開始。日産もリーフを日米で発売予定。
電気自動車の難点がバッテリーの高価格、航続距離、充電インフラの整備であることは
指摘されていた。にもかかわらず各社が普及に向けて開発を進めているのは、「量産すれば
安くなる」というロジックに基づいている。だが、それは疑わしい。なぜなら、複雑な工程
を踏む製品なら、大量生産によってラインを整えればコストダウンが可能になるが、電池と
いうものは、構造は単純で、コストに占める原材料費の割合が高いのである。つまり量産
したからといって価格を下げられない。普及するには、価格が10分の1になるか、寿命が
3倍になるか、どちらかしかないと考えるが、実現は難しいのではないか。
03年に創業した米テスラ社のEVスポーツカー「ロードスター」にはノートPCなどの
バッテリーに使われている「18650」という規格のリチウムイオン電池が6800本も
積まれている。1本400円として270万円以上になる。18650は三洋電機が年数億
本も製造しているが、それだけ量産してもこの価格なのだ。
ソース
URLリンク(news.nifty.com)
前スレ
【コラム】「未来のクルマ」はトンデモ似非科学ばかり 電気自動車も燃料電池車も普及しない [10/05/03]
スレリンク(bizplus板)