10/04/30 16:19:05
宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、太陽からの光の粒子が反射する力をたこのように
薄膜の帆で受け、燃料を使わずに航行する「宇宙ヨット」を5月に打ち上げる。航行技術の
実験は世界で初めて。
同機構は27日、種子島で5月18日午前に打ち上げ予定のH2Aロケットに、国産初の金星
探査機「あかつき」とともに「イカロス」を搭載すると発表した。イカロスはJAXAが
15億円を投じ、14メートル四方の正方形の帆に薄膜太陽電池を貼り付けたたこ状のもの。
都内で会見したJAXA月・惑星探査プログラムグループ・サブチームリーダーの津田
雄一氏によると、この帆が受ける太陽光圧は0.1グラム程度で、秒速約100メートルで宇宙
空間を進むことが可能だという。
帆は放射線や紫外線に強いポリイミド樹脂でできており、厚さは0.0075ミリメートルと
髪の毛の太さの10分の1程度。膜自体の重さは15キロ。ポリイミド樹脂は携帯電話やデジ
タルカメラなどの基盤として利用されている。
薄膜太陽電池は米パワーフィルム社製で出力500ワット程度。発電の実証試験も行う予定。
将来は、太陽光圧と膜による推進のほか、発電した電力をイオンエンジンの電源として活用
するハイブリッド推進を目指す考えだ。
津田氏によると、宇宙ヨットでのハイブリッド推進技術の確立は2020年代前半の実現を
目指す木星圏探査を可能にするためのもの。木星探査機では、すでに米国がプルトニウム
電池を電源として利用している。木星に向かう時には太陽から離れて行くため、太陽電池の
出力も弱くなる。より大きな面積での発電が必要になることから、帆に太陽電池を貼り付け
ることになった。
ソース:Bloomberg
URLリンク(www.bloomberg.co.jp)