10/04/28 12:32:01
5月1日の“労働節(メーデー)”を目前に控えた2010年4月20日、北京市の中心にある
明・清時代の王宮“故宮”の北に位置し、北環状四号道路に面した北京国際会議センターで、
「2010年北京市労働模範・先進的労働者表彰大会」が開催された。この表彰大会は
5年に1度開催されるもので、過去5 年間に北京市の経済、政治、社会、文化の発展に
貢献した個人や団体を表彰するものである。
今回“労働模範(模範労働者)”および“先進工作者(先進的労働者)”として表彰
された人は1241人、“市級模範集団(市レベル模範団体)”191グループであった。
今回の大会でメディアが特に注目したのは、北京市が初めて市内に戸籍を持たない
外地戸籍者と外国人を“労働模範”および“先進工作者”として表彰したことである。
■外国人は2人で、うち1人は日本人であった
外地戸籍者の授賞者は124人であったが、その中でメディアが特に取り上げたのは、
“先進工作者”として表彰を受けた武術俳優の王宝強であった。王宝強は河北省南和県
大会塔村の出身で、北京市の戸籍ではない。1984年4月29日生まれの王宝強は27歳。
貧困家庭に生れた王宝強は、8歳で自ら志願して1 人で河南省の“嵩山少林寺”に行き、
在家弟子となって少林武術を学び、14歳で武術俳優を志して北京へ上京。北京で苦しい
下積み生活を送った後に、脚光を浴びて各種の映画賞を受賞し、今や押しも押されも
しない武術俳優として映画・テレビで活躍している。
一方、“労働模範”として表彰を受けた外国人は2人で、うち1人は日本人であった。
2人の概要は次の通り:
【1】リュック・ピカード博士(Dr. Luc Picard):フランス人で73歳
“首都医科大学”宣武医院の名誉教授。同氏は「インターベンショナル神経放射線学」の
権威で、世界インターベンショナル神経放射線治療学会議の元議長。1970年から中国人
医師を指導するとともに、1万人以上の医療労働者に教育と指導を行ってきた。
【2】岸明:日本人で大阪出身の56才
北京市経済技術開発区にある“北京泰徳製薬有限公司”(注)の技術専門家。大正製薬に
勤務していたが、1994年から技術指導員として北京泰徳製薬を度々訪問し、動脈硬化治療
などに使われる薬の現地生産の実現に貢献。2005年に50歳で大正製薬を退職して北京泰徳
製薬へ移り、現在に至っている。
(注)1995年に設立された日本企業「株式会社LTTバイオファーマ」と北京の「日中友好
病院」による日中合弁企業。
4月21日付の「新華ネット」は、「北京泰徳製薬に移った頃の給与は日本時代の3分の1しか
なかったが、自分は金のために中国に来たわけではないし、子供は既に独立していたし、
妻も働いていたので不満はなかった」と岸氏の談話を報じている。岸氏は北京泰徳製薬の
発展に大きく貢献し、今や北京泰徳製薬は日本の厚生労働省の認可を受けて日本向けに
「ターゲットドラッグ」の注射液を輸出する中国唯一の企業となっているという。
岸氏は自ら培った技術を伝授する形で後進の育成に努力しており、定年まで勤め上げる
と述べ、「職業人生の最後の10年を中国で過ごすことは日本にいるよりも有意義だ」と
語っている。
※続く
●“全国労働模範”の胸章
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