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菅直人副総理兼財務相の経済アドバイザーとして2月に内閣府参与に就任した大阪大学の
小野善康教授(59)は、政府の金融・経済政策運営について、日本銀行の金融政策に依存
した手法では、内需は喚起されず、20年来続いてきたデフレ状況からの脱却はできないとの
考えを示した。
小野教授は14日にブルームバーグ・ニュースとのインタビューで語った。同教授は、日銀
がコントロールできる貨幣量であるハイパワード・マネー(現金と日銀当座預金)と物価の
関係は「バブル(崩壊)以前はマネーを増やせば、物価が上昇する関係が成立していた」
が、バブル崩壊以降は全く物価上昇には効いていないと説明。
その上で「こうした状況で日銀が金融緩和して、デフレ脱却ができるわけがない」と指摘
し、日本がデフレ脱却で金融政策に依存してきた背景には「財政当局が増税で逡巡し、景気
については日銀に押し付けたことが問題だった」と述べた。
参院選を控え日銀への政府の追加緩和圧力が今後さらに強まるとの見方がある半面、小野
教授を参与に指名した菅副総理の発言に微妙な変化を見てとる向きもある。シティグループ
証券の村嶋帰一チーフエコノミストは、金融政策に対する菅副総理の発言は「ここ1週間
ぐらいトーンがちがう」と指摘。「日銀に対する政治圧力は基本的に弱まる方向」とみている。
実際、菅副総理は今月12日、都内の講演で「日銀は、金融緩和は一定程度デフレ対策には
効果があるが、ある意味では限界もあるという認識をお持ちのように思っている」と述べた。
増税してでも雇用創出を
小野教授はマクロ経済学が専門。1973年に東京工業大学を卒業、菅副総理とは同窓となる。
現在は阪大社会経済研究所の所長も務める。自民党・小泉政権下の構造改革には批判的な
論陣を張った。約10年前に雑誌の対談で知り合った菅副総理に請われ、2月26日付で参与に
就任。すでに5回ほど開催された幹部官僚を入れない政務3役などとの私的勉強会では日本
経済に関する持論を説明したという。
同教授は、デフレを、物を消費するよりも現金を保有したいという志向の表れとみて、
政府が内需の源泉となる新たな雇用を創出することで、消費や資金の流れを良くする好循環
を作り出すべきだと主張する。そのため、政府が、不況期には増税してでも新しい仕事を
創設し、逆に景気が良くなれば、減税し政府事業を減らすと約束することで、消費が活発化
し、デフレの脱却につながると説く。
ソース:Bloomberg
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